株の格言で「もうはまだなり、まだはもうなり」という言葉がある。競馬にも共通する格言で、騎手視点であれば「そろそろかと思って仕掛けると早すぎて、まだまだと待っていると仕掛けが遅れ届かない」ファン視点であれば「もう大丈夫と思い馬券を買ったら来なくて、まだ買い時ではないと見送ったら来る」という感じだろうか。
今回行われる有馬記念は、この二つの思惑が交差するレースと言える。まず2周する特殊なコース形態は勝ち時計もまばらで、過去10年で最も遅かった2011年と早かった昨年の差は5秒5もあるのである。完全な前残りもあれば後方待機馬が独占する展開は騎手たちの心理が関係していることは間違いない。
そして秋のGⅠ戦線を戦ってきた馬たちによる総決算だけに、連戦の疲れが顕著に現れることも特徴である。そして秋の東京・中山とは違い暮れの荒れた馬場をものともしないコース適性も問われるのである。
故に、展開に左右されない脚質、フレッシュな状態で挑むことができる馬が有利とされるが、今年は牝馬が上位人気を占めそうだ。
まずファン投票1位のクロノジェネシス。前走天皇賞・秋ではアーモンドアイと僅差の3着。宝塚記念や京都記念での重馬場の適正を見る限り荒れた馬場を得意とするが、早い上がりにも対応できるポテンシャルは随一だ。加えて姉ノームコアと本馬と同産駒のステラヴェローチェもこの秋GⅠ戦線で活躍していることも血統的な追い風がある。ジャパンカップをパスしたことでフレッシュな状態で参戦できることも魅力の一つ。
引退レースのラッキーライラック。オルフェーヴル産駒の活躍が目立つが本馬も代表産駒として息の長い活躍をしてきた。どちらかというとパンパンの良馬場が向きそうで早い上がりを使えない馬場となった時にどうか。ステイゴールド系が強い有馬記念だけに引退の花道を飾ることができるか注目である。
牡馬ではフィエールマンが一矢報いたいところ。古馬王道路線は昨年の有馬記念から天皇賞・春を除くジャパンカップまで牝馬が勝利。天皇賞・春こそ勝利したものの、牝馬の参戦は格下のメロディーレーンのみだった。むしろ今年の古馬戦線は短距離も全て牝馬が勝利。今回も牝馬に負けてしまうのか、それとも牡馬が勝つのか、もうはまだ、まだはもうとはこのことである。
昨年も大本命アーモンドアイが生涯唯一の惨敗
を喫しただけに一筋縄ではいかないレースだが馬券的妙味は十分。いいレースを期待したい。
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