立憲デモクラシーの会中野晃一教授の9分弱のスピーチです。スマホで撮影した人の動画がFacebookで拡散されていて、とても簡潔でわかりやすいので埋め込もうと思ったところ、IWJでは全文書き起こし付きでアップしてあったので、そちらからコピーします。

引用ここから。
【スピーチ全文掲載】「野党に踏み絵を踏ませよう! 国家権力の暴走に組みするのか!? それとも個人の尊厳を守る私達の側に来るのか!?」―中野晃一氏が大演説「1002安倍政権NO! 」大行進

「これは個人の尊厳、人間の尊厳を求める闘いだ!」

 上智大学教授である中野晃一氏が、壇上から参加者に向かって訴えかけると、会場は破れんばかりの拍手と歓声に包まれた。

 未明まで吹き荒れていた強風はピタリと止み、心地よい秋晴れの空が広がった2015年10月2日、集会「安倍政権 NO! ☆ 1002大行進 民主主義を取り戻せ!戦争させるな!」が日比谷野外大音楽堂で開催された。


 安保法制の強行採決にとどまらず、川内原発1号機の再稼働、沖縄米軍基地、秘密保護法、TPP、消費税増税、社会保障、雇用・労働法制、農業・農協改革、ヘイトスピーチ、教育など、安倍政権が打ち出す政策のすべては国民世論に逆行しており、独裁的で、民主主義を愚弄しているばかりか、憲法も無視している、「戦後最悪の政権」だとして、集会にあつまった参加者は「安倍政権NO!」の声を上げた。

 以下、中野氏のスピーチ全文と動画を掲載する。



国会議員は代理人にすぎない! 我々の存在こそが「民主主義」そのものなのだ!


 「みなさん、こんばんは。

 あまちゃんが終わったときに『あまロス』という言葉が流行りましたが、皆さんの中には『デモロス』になっている方いらっしゃいませんか? 毎週、毎週、木曜日、金曜日と来ていたころは、もううんざりだな、と思っていたかもしれませんが、なくなってくると寂しいと言いますか、物足りないと言うか、そんな思いあったんじゃないでしょうか。

 私は先日妻からSEALDsのかっこいいTシャツをもらいまして。そんなにしょんぼりしているように見えたのかなと思ったんですけども。そしたら、本当は本人がかっこいいTシャツを欲しいと思ったら、XLしかサイズが残っていなかったので、くれたようなんですけども。さすがに大学に着ていくのは恥ずかしいので、自宅や近所の酒屋に行くときに着ていますけども、見かけたらそっとしておいて下さい。

 なんでここのところ、デモに行って、それが皆怒って来ているんだけど、ある種の喜びというか、嬉しさがあったのか、そのことについてちょっと考えてみたいんです。それは、やはり私達一人ひとり個人として、声を上げる場を、SEALDsや総掛かりが、そして今日のようにいろんな運動体から支えてくれた人たちが作ってくれた。それに対する感謝の思い、嬉しさというのがあったんだと思います。そのこと自体が、『デモなんかやっても無駄だ』という冷笑するような人たちに対しての答えになっているんだと思うんですね。

 私たちは一人ひとり自分で考えて、自分で動いて、そして、国会前やいろんな場所で会って、もっと強くなった。それだけで、凄いことだと思います。

 ただ、これだけではありません。

 国会の議事堂の中というのは、英語で言うと、”REPRESENTATION”と言いますが、『議会制民主主義』、あるいは『代表選任主義』ということになっています。ところが、この”REPRESENT”という言葉は、英語で”RE”という言葉、『再び』という意味の言葉と、”PRESENT”、これは『目の前にある』という意味なんですね。“PRESENT”というのは『目の前に存在する』ということなんです。

 ですから、”REPRESENTATION”といったら、これは『再現する』の意味でありまして。言ってみれば、代表選任主義というのは、民主主義を再現しようとしているものに本当はすぎないわけです。

 ところが、我々の代表、言ってしまえば代理人に過ぎない人たちが、暴走して勝手なことをしたその時、主権者である私たちが立ち上がって、民主主義そのものになるまさに『民主主義って何だ?』『これだ!』そのことなんです

 今日ここにあるのが民主主義であって、国会の中で行われるのは、再現しているものに過ぎない。その再現に失敗した連中は追い出すしかない」



オキュパイ運動の「その後」を見よ! バーニー・サンダース候補の押し上げに結実しているではないか!


 「もうひとつ、こうやってみんなで集まることに意味があります。よく言われた事なんですけれども、4年前ですか。原発事故があって、その後から日本でも脱原発の運動が始まっていって、今、ここまでの大きな流れになってきているわけですが。アメリカでも4年前の秋にオキュパイ運動というのがありました。皆さん、ご記憶だと思います。

 あれは、その後どうなったんだ。あんなに集まったのに、意味が無かったんじゃないかと冷笑する人もいます。もっと勉強しろと言ってやってください。

 なぜか。

 今、ヒラリー・クリントンに差をつけるほどのリードを取る勢いで、民主党の候補として、大統領選で頑張っているバーニー・サンダースというアメリカでは極めて珍しい、社会主義者を自称する候補者がいます。その人を支えているのはまさにオキュパイ運動で集まった人たちだったんです。

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 何かというと、私たちがこうやって集まって、国会前で最後の方になって、『賛成議員を落選させよう』、そして野党を応援していった。そこに共産党の志位委員長が早速応えた。そして、今ようやく議論が始まっている。

 道のりは遠いかもしれないけれども、私たちの代理人の尻を叩くことによって、我々の言うことを聞く、そういう代理人を国会議員に送り出すことができる。アメリカで今起きているということは、そういう可能性をうかがわせるものです。

 仮にサンダースが勝たなくったって、ワシントンで行われる議論が大きく変わっていく。そうやって、我々は主権者である限り、私たちの民主主義を守り、育んでいくのではないでしょうか。

安倍政権にいちいち反対しているのではない。どんなイシューにも共通する国家の暴走にNO!と言っているのだ


 「私たちは、じゃあなんで安倍政権にNOと言っているのか。これは安倍政権がやることにいちいち反対したくて反対しているわけではありません。

 なぜか。

 それは、安倍政権がやっていることにひとつの共通点が、どんなイシューを見てもあるからです。今日のこの運動を支えているグループの様々な活動。それぞれは一つ一つのイシューかもしれない。

 しかし、脱原発安保法制への反対憲法を守る運動特定秘密保護法に反対するTPPに反対する消費税増税、あるいは社会保障、そして、雇用労働法制沖縄米軍基地農業・農協改革ヘイトスピーチ教育問題。さまざまですが、共通しているのは、安倍政権が国家の暴走によって、我々を踏みにじり、我々を屈服させようとしていることに対して、私たちは非暴力で不服従の運動に立ち上がっているということです」

個々人の命と尊厳を守るための闘いだ! 野党にも踏み絵を踏ませよう! どっちにつくんだ!?

 「それでは、私たちの旗頭はなにか。

 私は、これは個人の尊厳人間の尊厳を求める闘いだと思います。

 辺野古で海上保安庁が人々をけ散らかすとき、あるいは国会前で警察が過剰規制をするとき、そういうときに私たちは国家権力の暴走を目の当たりにするわけですが。それにとどまらず、教育問題にしても、TPPにしても。

 いったいどこを見て政治をしているんだ。

 私たちの生活、私たちのちっぽけかもしれない、しかし尊い命。その尊厳を守るための闘いだ、というふうに私は考えています。野党の共闘にも、ぜひその踏み絵を踏ませようじゃありませんか。

 どっち側に着くんだ?

 国家権力の暴走に組みするのか?

 それとも個人の尊厳を守る私たち個々人の連帯の側に来るのか?

 はっきりさせようじゃありませんか。

 それまで、私たちはどんなに踏みにじられても、必ず立ち上がる。人間の尊厳を守る闘いに負けるわけにはいかないからです。

 若い人たちが立ち上がって、私たちに勇気をくれた。高齢者の方たちも、頑張って来てくださっている。そして、ここには来れないけれども、本当は来たくてしょうがない人たちが、たくさん、たくさん、私たちの背後にはいる。

 一緒に安倍政権を叩き出し、そして、個人の尊厳を守り育んでいく政治のために、頑張ろうじゃありませんか。ありがとうございました」

(取材:佐々木隼也、阿部洋地、沼沢純矢 記事:青木浩文)


引用ここまで。
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世界の潮流が変化しつつあることが、かなり明らかになってきました。

バーニー・サンダース上院議員がヒラリー・クリントンを大統領選でリードしている話が出てきましたが、これまでツイッターやFacebookでもサンダース議員の発言は、世界じゅうで壊れかけている政治を糾弾する内容なので、私たちも何度もシェアしてきています。

また、英国の最大野党、ついこの間までの与党であった労働党の党首選出に"急進左派"のジェレミー・コービン氏が6割近い支持で圧勝しました。

ブレア政権の頃までは、労働党も保守党もどちらが与党になっても大して変わらない政策になっており、これはアメリカの民主党と共和党も似たようなもんでした。日本で民主党が結局自民党の傀儡となっていたのと同様に、どこの政府も既得権益の手先になっており、これ以上我慢できない人がどんどん増えていったわけです。

経済成長という信仰が錦の御旗として使えない代物だということもだんだんバレてきました。地球を敵に回して搾取し続けようとしても無理なわけです。

格差や貧困の強烈さは若干違うとしてもフランス革命などのときも、こういった状況だったんじゃないかと最近よく思います。(一見、今のほうがマイルドに見えるとしたら、極貧と究極の非人道的仕打ちを、国内外の弱者、そして未来の人類にに巧妙に転嫁しているだけです。)