最近たまたま通信制高校学費について調べることがありました。Webリサーチだけではなくて、実際にいくつか一括資料請求のサイトで、いくつか資料を取り寄せてみました。

通信制といえば、勤労学生のための通信制大学しか知らなかったのですが、ここ数年で学校法人立だけでなく、株式会社立も含め、私立の通信制高校が全国に広まっていてびっくり。

高等学校全体の数は2002年の5,507校から2012年の5,022校まで減少していますが、そのうち、通信制高校の数は29校から81校まで増加しているんです。別の統計でみたのですが、現時点で、高校生のうち5%が通信制高校に在籍しているとか。20人に1人となると、これはかなりです。

これだけインターネットが普及したのだから、通学よりも在宅のほうが向いている生徒のために、日本でもいいかげん、通信制の学校がもっと普及しないのだろうかとは思っていたのですが、世の中変化してたんですねww。

最初は不登校の受け皿として、高卒資格までとらせることを主目的とした場合が多かったようですが、いまでは多種多様な通信制高校が誕生しています。

資料請求後に受信した確認メールのひとつに以下のようなことが書かれていました。

「私どものような通信制高校は、かつてのように、登校不安などがあって少ない登校日数で高校を卒業するために存在するわけではありません。

現在の全日制高校が、決められたカリキュラムに縛られて本当に生徒が学びたい事ができないという現状の中で、通信制高校はカリキュラムを独自に組むことができる他、最先端のICT教育を取り入れる等、特色のある学校づくりを目指すことができます。

偏差値社会の中で、学力で高校を決められ、決して良くはない環境で学校生活を送るよりは、枠にとらわれず自分のやりたいことを中心に学校生活が送れる方が生徒にとってはプラスではないかと考えます。」


実際、進学実績や就職率を誇っている通信制高校もいくつもあります。

一般に、コンピュータやインターネットの活用に関しては、日本の学校界や役所というのは驚くほど遅れているし、永久に全員が同じ時間だけ教室に座って授業を受けるという勉強の仕方が続くとは思えないので、こうした多様化は自然な流れでしょう。
 
通信制高校のサポート校であるKTC中央高等学院によると、いまの通信制高校は大きく4つのタイプに分類されるそうです。

1.予備校型 国公立大や難関私立大への進学を目指すための学校。
2.専門型 高卒資格と併せて専門的なスキルを身につけることが可能な学校。
3.自由型 自分のことは自分で管理しましょう、という自主性を育成することに力を入れている学校。
4.バランス型 やりたいことがあり過ぎて1つに絞れない、いろんなことに挑戦したい、という人にオススメの学校。

KTCは通信制高校ではありませんが、ある程度通学を希望する生徒を高卒まで支援するサポート校として、この「バランス型」の教育を追求しているとのこと。

予備校型の側面では、個別指導コースが選べるようになっており、専門型という側面では「トライアルレッスン」として好きな科目を自由に選べるようになっています。たとえばエアメイク、検定科目、卓球など。

また、「自由型」という側面では、の登校日数や投稿時間、担任の先生を生徒が選べるようになっています。

ただ、全国の通信制高校をざっと調査した限りでは、多くの全国広域で生徒募集をする通信制高校では、基本的にこれらを兼ね備えている場合が多いです。たしかに、いろんな専門コースを少しずつ追加料金なしでつまみ食いできるKTCのようなシステムは珍しいですが。

高校卒業だけを目指すのであれば、そして、月1度とか年数回のスクーリング以外は独学ができる人であれば、就学支援金を活用すれば、月数千円程度で私立の通信制高校でも行けるようになっています。学費補助がなかった頃の公立高校の授業料レベルです。

通信制高校だけに入学するにしろ、サポート校という、所謂、塾にあたる教室を併用するにしろ、週に1~5日登校する場合は、追加料金がかかることが多いのですが、週に何度かバイトをすれば捻出できるような額ともいえます。
こちらのサイトにサンプルが出ています。(各都道府県の通信制高校の学費情報も出ているようです。)

「サポート校に通うと学費はかなり増える?|通信制高校の学費を比較する」


全くひとりで在宅学習というのは、よほど独学向きの人か、自己管理力がある人でないと難しいですが、たとえはネットで視聴した授業に基いて、先生にメールで質問できる形態であれば、週1日の登校だけでも、孤独感は激減すると思われるし、友だちも作れるのではないかと思います。相性のいい先生に当たれば、年に1~2度のスクーリングとメールQ&Aだけでもいいかもしれません。

インターネット授業を取り入れている場合、停止やリプレイができることを考えれば、従来の教室での授業より、わかりやすいのではないかと思います。

たとえば、これ。ルネサンス高校のウェブサイトに埋め込んでありました。

ルネサンス高校グループの名誉校長の犬塚 清和先生の化学の授業。

高校の時に好きで化学を選択しながら、あまりに授業が退屈でサボりまくった記憶がありますが、毎回こういう授業だったら絶対化学好きになっただろうと思います。

ルネサンス高校をはじめ、生徒にiPadなどのタブレットPCを持たせてそれを授業に使っている学校が徐々に増えているようですが、こういう形で授業を進めるなら、メモもとりやすいし、聞き逃してもリプレイできるし、すごく効率がよくて楽しく学習できると思います。こういう選択肢がある世代が羨ましいです。

高校は大学と違って、すでに卒業していると「科目履修生」としてしか受け付けてくれないですが、いろいろ物色していると、あちこちの通信制高校の学校生活を夢想してしまいます。

20代でカフェオーナーになるために、レコールバンタンに通うとかもいいな、とか、屋久島でのスクーリングを受けるだけのために屋久島おおぞら高等学校に入学というのもいいな、とか。独学の自信がないから、その場合は最寄りのサポート校であるKTCに週1で通って、授業料が増える分は、どっかでバイトかな、とか。

他にも、書ききれないぐらいたくさん、これから通う高校を物色するような年齢だったら、試してみたいと思う所だらけ。

通信制高校は底辺校みたいに言ってる人たちが未だにいますが、消去法ではなく、積極的に選ぶ人が徐々に増えていくだろうと思います。

もし、バイトなどもして3年で卒業するのが大変だったら、就学支援金は4年間おりるので、4年かければいいじゃないですか。社会にでる年齢が1つや2つや3つ違ったって、あとになったら微々たる差だとわかります。

YouTubeで発掘したのですが、2009年のTBSドラマ「いのちの島」の動画。ここに出てくる屋久島そよかぜ学園高等学校というのは、屋久島おおぞら高等学校がモデルになって、全国にその名が知られるようになったんですね。


実生活で中高生がたまたま身近にいないと、全然情報抜け落ちてて知らないことだらけ…。

いずれにしろ、通信制高校という選択肢、今の中学生以下の人とそのご家族には、ちょっと心の片隅にでも入れておいてはどうかな、と思いました。

地元の高校に行くのももちろんいいですが、大学進学前の、あるいは社会にでる前の3~4年をどう過ごすかは、もう両親の世代とは違う選択肢が出てきているわけです。

SNSで日本じゅう、世界じゅうの人と繋がる経験をしている人なら、もう一歩踏み出すのもいいんじゃないでしょうか。

実は、私がこの調査にちょっとのめり込んだのは、東日本から西日本へ放射能汚染から避難する決心がつかない人たちのことを考えていたのもあります。

全国にネットワークを持つ高等学校の存在を知るだけで、少し身軽になれる人たちがいるんじゃないかなと思いました。

でも、この通信制高校の近年の変化を見て、各校の取り組みを知るにつれ、これが学校教育そのものに大きな変化を起こすきっかけになればいいとすら思うようになりました。


2014~2015年版 全国通信制高校案内



こんな進路があったのか!~不登校からの進学~