最近はツイッターやFacebookでは政治談議になることが多いのですが、3.11の原発事故から3年近く経つというのに、未だに「原子力がなかったら電力はどうするのか」というようなピンボケな質問をされて面食らうときがあります。

現に、2013年9月から再度、日本中の原発がすべて停止になった後も、生活は普通にできているわけですが、それを知らなかったり、あるいはすごくムリをした綱渡りをやっていると信じていたり。

ここ数年、どれだけ世界の発電状況が変化して、我々が原発推進派が操るマスコミに目隠しされた状態なのか、データや具体例で示そうとするなら、最新情報がほしいなと思っていたところ。

飯田哲也さんストップ・ザ・もんじゅ」から届くレターの中に、2013年11月23日の飯田哲也さんの講演を聴いた大島さんという方の有難いサマリーが出ていたので、それをご紹介したいと思います。

これは、既にエネシフの知識が多少ある方にも参考になると思います。エネルギーをとりまく状況は今、ものすごい速さで変化しているので、時々確認しておくことが肝要です。

(チャートや画像は印刷ではちょっと暗いので、適宜Webから適切と思われるもので代用しています。)

引用ここから:
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飯田哲也さん「再生可能エネルギー 世界と日本」を聞いて
(市民エネルギー政策研究所長) 2013年11月23日


「今、歴史の転換点にある」、そう飯田さんは考えている。

原発が要らない9つの理由」は割愛するが、小泉さんがいっている核のごみ問題ももちろんそうだが、圧倒的に安全性が問題で、「また動かして、もう一回事故を起こしたら日本は終わり」。これが第一の理由。

電気が「『足りる・足りない』の議論は終わった」。3.11後の節電効果は絶大で、3.11前と比べて「1兆円くらい燃料費節約になった」のだそうだ。

この1年で「380万kW太陽光発電が増え」、認定で作ってもいいよという太陽光発電「2200万kW」が送電線がつながればいつでもできる状態にある。


「発送電分離で市場競争をしっかりさせれば『原発が止まって火力の炊き増しで何兆円も流出している』という話はあっという間に解消できる」と断言した。


人類史「第4の革命」自然エネルギー

飯田さん曰く、「人類の経済史においては『4つの革命』がある」。第1が農耕革命、第2が産業革命、第3がIT革命、そして第4が自然エネルギーの急速な拡大。

下のグラフを見てほしい・原子力はすでに黄昏の時代。終わりかけている。世界全体の原子力の発電量のピークは2006年。3.11より遥か前。日本のピークが2002年。

自然エネルギーv.s.原子力


第4の革命の詳しい話は割愛するが、10年より少し前には全世界で1兆円にも満たなかった自然エネルギーの投資が、今や25兆円にも上るのだそうだ。

リーマンショック、欧州金融危機をまたいで成長している分野は「唯一これのみ」。ドイツは電力に占める割合が上方修正に告ぐ上方修正で2013年には25%、来年は28%、2020年には50%との予測も出ている。

日本とはえらい違いだ。理由は原発がどんどん高くなって、自然エネルギーはどんどん安くなっているから。

アメリカでは、太陽光発電はどんどん安くなって、原油よりもガスよりも安くなって、昔、原子力でいわれていた「ただみたいに安くなる」を実現しようとしている。

「誰が自然エネルギーを所有するのか」が問題

ドイツでは自然エネルギーがすごい勢いで増え、半分以上は地域の人が担い手デンマークも30年以上前は10数機の大型火力で発電していたのが、今やみごとに風力発電とコジェエネに地域分散して、しかも8割から9割は地域の人たちが所有する」

こうなると「エネルギーに伴うお金の流れが全く逆方向になる」。ここが肝心。

日本では、この間、地方自治体が大手の商社などと契約してメガソーラーを誘致するのが流行だ。しかしこれでは地域に落ちる金はせいぜい1割なのだそうだ。

飯田さんはこれを「植民地型開発」だと切って捨てる。

自然エネルギーに関して重要なのは「地産地消」ではなく「地産地所有」。だが現実は厳しい。

「これまで国の補助金で全国的にエネルギー公共事業がおこなわれ、なれの果てのがらくたが山のように転がっている」。

茨城県つくば市の回らない風車。農水省の肝いりバイオマスニッポンは10年あけて214の事業を展開したが、総務省の行政評価の結果「1件たりとも役に立つ事業はなかった」。

つまり「役人とコンサルの組み合わせで作ったものは、だいたい失敗する」という鉄の法則があるらしい。

日本は自然エネルギーに対する補助金が少ないと思われているが、実は問題は使われ方。

コペンハーゲンの世界初の洋上風車。環境エネルギー事務所というものがあって、行政とエネルギー会社と市民と共同の場なのだそうだ。

オランダの洋上風車


70年代に生まれた仕組みで、90年代にヨーロッパ全体に広がっている。450ヶ所くらいあるのだそうだ。

デンマークもスウェーデンもみな地域エネルギー事務所が機能している。ドイツもエネルギー共同組合が増えている。

日本ではどうか。福島県は2040年までに自然エネルギー100%を去年決定して、つい最近「会津電力」が立ち上がった。中心は大和川酒造の佐藤弥右衛門さん。小田原でも「ほうとくエネルギー」が、静岡には「しずおか未来エネルギー」がという具合に日本各地に地域エネルギーが立ち上がっている。

飯田さんは「これこそが社会を大きく変えていく鍵になる」と大いに期待を寄せている。

「変革は東京とか社会の中心ではなくて、周辺から起こる。まちがいなく燎原の野火のように広がっていく」という結びの言葉がとても印象的だった。

(後略)


:引用ここまで


毎日、脱原発を叫んでいても、世界の発電状況や市民活動の動きがどこまで来ているのか、やはり日本に居て、日本のマスコミが日本語で流す情報に囲まれていると、限界がある気がします。

ちなみに、飯田さんも使われていたチャートなどが、自然エネルギー財団の資料(エネルギー基本計画 3つの論点 2013年9月 )に掲載されていたので使わせていただきました。この資料そのものも非常に重要な世界の最新情報が圧縮されているので是非読んでみて下さい。お隣の中国のことさえ私たちはわかっていません。英文記事だと世界中に出ているはずですが、中国の風力発電量は2012年にすでに原子力を上回っているのです。



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