今日は久しぶりの宝塚大劇場に、雪組『ベルサイユのばら フェルゼン編』初日を観に行きました。
いつもの大きいポスター、ピンクとブルーで明るいですね!
ポスターがピンクでどうなる事かと心配(笑)していましたが、スチールはちゃんと軍服でひと安心。
次回本公演までこのスチールなので、気になっていました😅
ファンからは賛否両論の宝塚版ベルばら、先だって行われた50の好評もあり、歌劇の座談会などで新場面があることや、新曲の追加、フィナーレが長いことなどにより、期待がふくらみました!
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宝塚歌劇団雪組公演「ベルサイユのばらーフェルゼン編ー」でオスカルを熱演する朝美絢(撮影・後藤 正志) ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 https://t.co/QTqR4nQlGv
— タカラヅカ歌劇ポータル │ 宝塚歌劇・宝塚OG情報を発信中 (@zukazuka_info) 2024年7月6日
以下ネタバレかつ、個人的な感想になります。
幕開き、とっても綺麗な舞台装置、かつらも衣装も美しい小公子小公女たち、夢夢しくてあぁ、これが宝塚のベルばらなんだ…と感動。
ピンクの薔薇から産まれるフェルゼンとマリーアントワネット、ピンクの花の精たちの場面はポスターそのままの世界観が再現され(オスカルはいないけど)素敵でした。
全体的に、さすがVISAシアターありがとうございますという豪華な衣装(生地感にスカーレット・ピンパーネルみを感じたのは私だけ?)
仮面舞踏会、シッシーナ、モンゼットはじめ貴族たちの(脳天気な)やり取りなど、名場面を並べて見せていく感じで、全体的にフェルゼン以外の登場人物に時間をかけない演出。
ダイジェストで見せ場を披露する感じと、古典的な台詞回しの大芝居、セリフによる説明。
出演者がそれぞれの場面でいきなりの激重感情を瞬発的に表現しなければならず、見るからに役そのもののビジュアルと確かな表現力がなければ難しいだろうと思う部分は多かったです。
主なキャスト以外で印象的だったのは、ジェローデルの諏訪さきさん。
特に2幕はフランスを去りスウェーデンに帰国していたフェルゼンを頼り、王妃たちを亡命させよう(それがオスカル隊長の遺志だから)と働き、道中の回想でバスティーユの1件が語られるなどストーリーテラー的な役割。
フィナーレの男役群舞では縣さんとシンメで、彩風さんが雪組御曹司として歩んできた背中を近い学年でずっと見てきた路線男役の筆頭というポジション。
他に印象的だったのは、ジャンヌ役の音彩唯さん。
首飾り事件についてはモンゼットシッシーナの名探偵による説明でしたが、肩の焼きごての痕を見せる所はなかなかの思い切った見せ場。
背中綺麗だな〜なんて思ってしまいました(笑)
ニコラ役の咲城さんとの絡みがあるのかと期待しましたがありませんでした。
また、仮面舞踏会ではソロで美声を聴かせてくれていて、大活躍でした。
彩風さん以外の卒業生で今回唯一いい役付きだったロザリーの野々花ひまりちゃん。
バスティーユで撃たれたオスカルに縋り付く場面などはありましたが、すでにジェローデルと結婚している設定からなのでオスカルとロザリーの場面はそこ以外なく、衣装も平民でしたが
パレードでは憧れを詰め込んだような素敵な輪っかのドレスの貴婦人姿。
カツラも似合っていてさすがの娘役力の高さ!
お芝居ではアンドレに伴われてベルナールと共にオスカルに会うとは前触れだけで、実際にはバスティーユまで絡みはなくてとても残念でした。
見せ場としてはカペー未亡人となり虜囚になっているマリーに食事を運び労る場面と、2幕冒頭の新場面でのダンスが蒼穹の昴の日清戦争みたいでかっこよく、ダンサーひまりちゃんの勇姿が見られたのは嬉しかったです。
他の退団者では、新公ホームズや全ツのアゾランが良くてこれからを期待していたので卒業発表が青天の霹靂だった聖海由侑さん、学年があがり実力が評価され重用されていたように感じていた、希良々うみさんと有栖妃華さんにはあまりこれと言った場面はなく、この作品での卒業が惜しまれました。
ベルサイユのばら原作では、マリーアントワネットとフェルゼン、オスカルとアンドレの愛だけでなく、フランス革命に繋がる、宮廷の華やかさとその終焉、対する市民の貧困、苦しみや怒りからエネルギーが生まれて、それが王妃や王族に向かっていくことが描かれ少女漫画のスケールを超えた名作だと思って読んでいました。
アニメ版でも原作改変に賛否ありますが、宝塚版は再演の発表時にはファンの間で罰ゲーム扱いされたりもするほど、特に原作ファンからは足りない脚本、要らない演出にモヤモヤさせられているように感じます。今回はさらにフェルゼン編なのでどうしてもマリーとの愛ばかりにクローズアップしていて、本来主人公であるオスカルはじめそれ以外のほとんどがおざなりになり、キャラクターの行動や言動が唐突に見えてしまいます。
私の中でもともとフェルゼンはあまり共感できない人物ですが、初めて出会って恋に落ちた若かりし日については理解できるものの、数年経って世の中の状況が分かっていながら、自分を友と信頼している国王を裏切ってマリーとの不倫を続けている人のどこにかっこよさを感じればいいのか…
愛〜愛~と歌われても虚しく聞こえてしまいます。
とはいえ、伝統ある作品に出演する喜びを感じている彩風さんはじめ出演者のみなさんには、不満なんて恐れ多くてないんでしょうし、出ずっぱりのフィナーレは卒業する彩風さんへの先生からの愛にあふれていて、群舞に参加する男役、娘役に囲まれている姿は終始みなさん幸せそうだったので、水を差すのも野暮なんですよね…ともかく、みなさんの美しく幸せそうな表情に、それを見守ることが出来て良かったです。
新聞記事にもありますが、驚いたのは客席演出があったこと。
1幕では王妃Summerと客席を走り去るフェルゼン、パレードでは男役が(奏乃さんまでも!)いったん本舞台から捌けて客席から登場、音楽に合わせて振りの手拍子を指導すること。
1階席なら、ここまでの消化不良や演出への不満があったとしても、目の前に降りてくる豪華衣装の男役さんたちを見てそれで全部チャラになりそうです(笑)
最後に、朝美さん推しとしては、フェルゼンからの手紙ですぐその気になるチョロいオスカルと、呼ばれてとび出て(縣)千の誓いのアンドレのあの場面は、フェルゼン編であるがゆえ尺が割けないにしろあまりにも強引な展開であるものの、ふたりの作画があまりにも素晴らしく見ているだけで説得力があり、オスカルのちょっとした視線や仕草に本編では描かれていない、原作で読んでいた、オスカルの感情が動くまでの経過がちゃんと感じられて色んな意味で感動的でした。
そしてバスティーユも、フェルゼン編では近衛隊から衛兵隊への転属後隊員と信頼関係を築く場面もなく、ジェローデルの回想からいきなりぶっ込まれるダイジェスト仕様でありながら、アランたち部下に慕われ従え、彼らをを鼓舞し、市民を守り、フランス全土の平和のために真っ直ぐな意志を訴えたたかう気高い姿を見ることが出来、さらにアンドレとの揺るぎない愛を感じられ、その叫びに一瞬にして心を掴まれ感動しました(私もチョロい笑)
フィナーレでは、彩風さんが白、男役群舞が青、娘役群舞が赤の衣装でフランス国旗の配色が大階段に広がりとても美しいです。
前回のフローズンホリデーでは卒業するそらくんを送る彩風さんとの場面があったり、シルクロードでは望海さんから彩風さんへと手渡された一輪の青い薔薇、直近での花組、月組のトップから次期への引き継ぎ場面と比べてしまうと正直うらやましくなりますが、ベルサイユのばらという古典演目にして彩風さん卒業作品として、たくさんの約束ごとがある中で精一杯の新場面演出はまるでサヨナラショーを見ているかのような豪華さで感動的だったと思います。
バスティーユでの戦死後フィナーレでは最後近く、真っ白い衣装を着てひとり踊る彩風さんの所にあやちゃんとお揃いのブルーグリーンの衣装で大階段に登場するまで、朝美さんはいません。
長いフィナーレということで、過去あったフェルゼンとオスカルとのデュエットダンスや、これまで経験することがなかったソロでの歌唱指導のラストチャンスを正直期待してしまっていましたが、彩風さんの最後の姿と、彩風さんが大切にしてこられた、これから受け継いでいく雪組生たちを、袖からしっかりと見つめておられるのかもしれないな、と思っています。
私も朝美さんがいるとつい朝美さんしか見れなくなるので、この機会に雪組生をできるだけ一人一人しっかり見ようと思いました。
とても暑いですが、今後の公演も出演者、関係者全員心身健康で、トラブルの無いように(今日は冒頭ご覧なさいでマイクトラブルがありました)千秋楽まで走り抜けられますように🍀*゜