香港在住ピアニストdeピアノ講師の荒井千裕です。
・あなたはどんな演奏家になりたいのか?
どんな演奏ができる人になりたいのでしょうか?
■photo by haglundc
朝、半身浴をしながらある本を読み返していたら、
ちょっと考えさせられるトピックがあった。
ご紹介しましょう。
現代の聴衆はベートーヴェンやシューベルト、ブラームスといった作曲家の作品を聴くためにコンサート・ホールに出かける。
しかし、ゴドフスキやホフマンの時代には、その作曲家について、ピアニストが何を言おうとしているかを聴きに行ったものです。
つまり、私たちは「ピアニストを聴きに行った」んで、これはどんなピアニストに対しても同じだった。
コルトーがオール・ショパン・プログラムでリサイタルを開けば、それを聴きに行こうとするのは、
「コルトーがショパンについて何を言おうとするか」を、私たちが聴きに行くためだった。
by ホルヘ・ボレット(1914-90)
キューバ出身、アメリカのピアニスト。
**引用元**
大ピアニストがあなたに伝えたいこと 100のレッスン
これをインタビューしたデュバル氏が、このボレット氏の発言を以下のように説明しています。
自分もよくオール・ベートーヴェン・プログラムの演奏会に出かけることがある。
中にはつまらない演奏であることもあるのに、聴衆はそれこそ大きな拍手をしている。
しかしそれは、ベートーヴェンの作品が最高の芸術作品であり、その演奏が行われている神聖な場所に自分自身もその一員として、その豪華な行事に参加していることを自ら祝福している拍手なのではないか?
なるほどね。
それはわかる気がします。
例えば、あまりその演奏家がどんな演奏をするのかわからないけど、演奏会に行ってみよう、と思う時は、プログラムを見る。
知ってる曲や好きな曲がプログラムにあれば、まぁ、行ってみよう、と思う。
そこでその「演奏」が好きになれば、その演奏家の次の演奏会にも足を運ぶ。
しかし、そうでなければ、次は行かない。
その演奏家自身の音楽が好きなら、もし、プログラムがわけわからない曲ばっかりだったとしても、聴きに行く。
その人の音楽に惚れているからだ。
有名な交響曲のコンサートや、ファミリー向けにプログラムが組まれた演奏会が人気があるのは、そういう「曲そのもの」が持つ魅力が大きいのではないだろうか?
私は、私の演奏が好きだ、私の演奏を聴きたい、と一人でも多くの方に思ってもらえるような演奏家でいたい。
お読み下さり、ありがとうございました。
荒井千裕