ラフマニノフ「音の絵」Op.39-6#5 | 心と体をラクにするピアノ奏法

心と体をラクにするピアノ奏法

ピアニストでピアノ講師の荒井千裕が
ピアノの奏法、呼吸法、身体の使い方をお届けします。


まず、ラフマニノフはリズムを明確にすることが大事。
これからもラフマニノフを弾く時はこのことを念頭に入れておきなさい。

それから、力で押していくのではない。
身体中の筋肉は全てリラックスさせること。

使うのは骨!
そして掌の筋肉。

音は大胸筋を広げて創る。



・6小節目~

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右手のスタッカートは「押さない」!
大胸筋と背筋をラクにして、力を抜いて。
背筋は常に下に引っ張られてるような感覚でいて。

大胸筋を広げて手を外に回していく。
「ラレレラ」のスタッカート音の「ラ」は親指の付け根側の手首→肘と、外に回す。
そうして「レレラ」で上を回りながら下に落ちてくる。
その繰り返し。
これは大胸筋と背筋に力が入ってると出来ないよ。
だけど、この二つが抜ければ、物凄く弾くのがラクになるはずだよ。

   (何回も何回もさせられて、ようやくその感覚が掴めた時、)あぁっ!ラク~~!って思った。


左手、1拍目のテヌートは決してアクセントではない。
アンタのはアクセントになってるよ。打鍵が違うよ。

   はっ!と思って呼吸をコントロールして弾いてみると、それだ!と仰られた。



・16小節目~

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(画像は15小節目~)
右手、「レードレドー|ドーシドシー」というメロディ・ライン!
「レー、ドッレッドー」じゃない!
「ドレ」の打鍵が叩きつけになってる。
これもサッキの「ラレレラ ラミミラ」のスタッカート打鍵の回転と同じ。
素早く外側に回転させるだけ。力抜いて!

それから、左手は「レファッ・ファミー|ドミッ・ミレー」というライン!
それをきちんと感じて、正しいリズムで!

この右手と左手の二つの違うことを何一つ意識を抜くことなく同時にする!

   あ”~~~!左手意識すると右の大胸筋に力入る~~~!
   って左肩をぐりぐり回しながら何度も弾いていたらまた大爆笑された。

アンタはまず、弾く前に肩を回す運動をしなさい。
鍵盤なしで、大胸筋を広げて背筋を落として腕を回転させる運動をしなさい、こういう風に

   と見せてくださったそれは、まさにア・ピアノ!!!


   どんなに真剣にレッスンを受けていても(ご指導も真剣そのものですが)
   どうも私のレッスンっていつもお笑いみたいになっていくのよねぇ・・・雰囲気が。



・20小節目~

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(画像の一小節前が6小節目と同じでココにつながっているのですが)
左手、拍を感じること。
 シ(2)ッレッド(3)ッレッ|ド(1)ッミッド(2)ーファ レ(3)ーファ」
2拍3拍はテヌート&クレッシェンド!

そしてその後の「ファレラ」、<ファ>の打鍵は<沈み切る>。
アンタのは「ファレラ」でただ横移動叩きつけか、「ファレラ」全部で沈むかどっちか。
だけど、<ファ>一つで沈み切る。そして瞬時に上がってくると同時に「レラ」なんだよ。
<ファ>打鍵で、完璧に力が抜け切るということだよ。

   ああああ、やっとわかった!つかめた!ここ!


・25小節目~

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(画像は24小節目から)
フォルテに入る直前の左手の和音!(25小節目の最後の和音)
ちゃんと「弾き終える!」
アンタのは、その和音を弾いている最中に肘がもう次の音へ行かなきゃ!っていう動作に入ってるよ。
跳躍はしないこと。いや、跳躍でジャンプはしないこと。これ鉄則。覚えて置く事。

この最後の和音をきちんと弾き終える(腕の動作をし終える)。
その時、左手のわきの下の筋肉が全てリラックスの状態になる。
そしたらただ低音側へ腕が移動するだけ。
移動なんてジャンプしなくたって、すぐできることだよ。

続く26小節目の左手、きちんとリズムにのって!フォルテの躍動感を持って!
ほらほら、ここも、右手は「ソーファソファー」のライン、左は左の躍動感!
双方を生かす!


・28小節目~

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まず右手。
出だしはメゾ・フォルテ。
4小節後からディミヌエンドで7小節後にピアノになるようにコントロールする。
その中で、まず1小節ずつの打鍵。

トップ・ノートが大事だと言ったけども、最初の「ミ」の打鍵はやはり大胸筋を広げて、身体は前に出ないで。
第一関節(指先に一番近い関節)で弾く。第一関節から指先が曲がっている形で。
続く「ソミソミソ」の打鍵は指を打鍵前にそこにきちんと用意して、めちゃめちゃフラットにして弾く。ほら、それで音色が二つになる。
これでアンタは二つの音色は持てた。

   ぎゃー、これで二つかぁ・・・気が遠い・・・

そして「ソレソ」と降りるところで抜く。
「レソレソ」と上がるところで入っていく。
これは呼吸が大事。
息止めてたら弾けないよ!

息を吐きながら弾く。3拍目で吐ききる。

そしてまた息を吸って次の小節、吐きながら弾く。


左手っ!各小節の最後の8分音符がまたっ!!!
打鍵し終える前にジャンプしてるよ!
ちゃんと最後まで丁寧に弾きなさい!
そして低音へ横移動するだけだってば!


・36小節目~Poco meno mosso

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身体、前に出ない!
背筋落として!
大胸筋を広げたままの状態で!

そうして鍵盤がアンタの指先に触れるために上がってくる!上がってくる!上がってくる!
強く想像して・・・・上がってきた鍵盤に触れるだけ・・・

そう!そうやって弾く。

弾いてやる!って思わないこと。
右手も左手もだよ。



・59小節目~Presto

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ピアノだよ!ここからずっとピアノだよ!
決してクレッシェンドしない。
もうアンタここは既に十分Prestoで弾いてるんだから、これ以上加速しない!

右手、「ドソドッ」で、「レソレッ」で腕は外へ出る。その時、脇の下の筋肉が落ちる。
同時に大胸筋も開く!

   あぁそうか。そこの筋肉の使い方を意識するのとしないので随分変わる。
   それを意識しないとどんどん腕に力が溜まっていっちゃって辛くなるんだよね。
   何のために腕が外に出るという動作をするのか、やっとわかった(遅い)。

それから、アクセント音は大事!

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ここも!2小節目(70小節目)に入るまで、クレッシェンドはないんだよ!
左手のアクセントだけ。
そのただ1小節のクレッシェンドでフォルテシモまで持っていく!

フォルテシモになってからの右手のリズム!
「タカタッ・タカタッ」8分音符の音価を正しく取る!それが命っ!

・73小節目~

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右手、「・タカタッタッタッタッ|タッ・・・」というリズムを正確に!ストリクトに!
そして8分音符「タッタッタッタッ」は次の小節の1拍目の8分音符に向っていくのだというライン!

それからラレンタンドはココ(75小節目)で始まるんだよ。
アンタのはココから既に「遅く」なっている。
書かれているソコはまだ遅くないんだよ。
実際に遅くなるのは76小節目!(二段目1小節目)そしてディミヌエンドでピアノ!

そしてっ!次の77小節目は出だしから、それまでとは全くの別物!
「シーシー」はホーン!

で、「レソシッ ミソ|シー」の最後の「シー」打鍵は前の「レソシッ」の<シッ>と同じじゃダメ。
ここは<シー>を打鍵したと同時に指と手が上がる。(音を飛ばす)


・81小節目~

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左手、6拍子にならないように!
右手は「・パパッ・パパッ」という16分音符をはっきり!

いきなりクレッシェンドしないこと!クレッシェンドは83小節目からだよ!そして86小節目でフォルテ!

そこからまた二小節でフォルテシモまで!


・107小節目~

何であんた、ここからスロー・ダウンしてんの?

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テンポ維持して!


・115小節目~

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アンタ、ちゃんと3拍子であることを意識して弾きなさいよ!
何拍子か聴いててわかんないよ!

それから、最後のオオカミの雄たけびはイントロと違うんだから、吼えまくる!

最後の重音は、もうこれ以上出せない!っていうくらいのエネルギーを持って!



まだまだやることいっぱいあるよね。(自宅練習でできることいっぱいあるよね。)


それらをクリアしてから、テンポ・アップいくよ。









私、昨日までの練習で、いくら大胸筋を広げると言っても、両手共に低音部で弾く時とか(雄たけび)、忙しく跳躍するフレーズなんか、む、無理じゃん!って思っていましたが、できることがわかった。

全ては姿勢の問題で、そういうフレーズでは私、いつも鍵盤と格闘してしまっていたんですね。ピアノに近すぎる。
だから背筋を落とすことも出来なければ、大胸筋を広げることもできなかった。
故、音は直接的で硬くなる一方だし、どんどん腕に力が溜まっていってしんどくなる。


でも、今日のレッスンを受けて、全く前傾することなしに、それらのフレーズを弾くことができるということを、身を持って体験しました。

できるじゃん!うわーすっごーい!!!っていう。新発見!


これで前傾なくなるか?



来週は木曜日から旧正月の連休に入るため、大晦日(水曜日)にレッスンです。





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