ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第6番」第一楽章#2-1 | 心と体をラクにするピアノ奏法

心と体をラクにするピアノ奏法

ピアニストでピアノ講師の荒井千裕が
ピアノの奏法、呼吸法、身体の使い方をお届けします。


(通しでお聴き頂いた後・・・)

まず、ペンネの演奏は、サウンがダイレクトすぎる。

  (ここで私の勘違い。聴き間違い。「サム(親指)」だと思いこんで、あぁ!と思って弾きなおした。
   親指の音をコントロールしてバランス取って弾こうって。そしたら・・・)


だから!サウンドが!

アンタのこの曲への想いはココまで(手を胸の高さまで上げられて)あるんだけど、それではお客さんには伝わらないんだよ。
大事な事は、この曲がどんな曲であるのか、どういうことをベートーヴェンは伝えたかったのか、そしてアンタはどういう想いを持っているのかということを、アンタのピアノを通してお客さんに<わかるように>説明することなんだよ。
それが出来るか出来ないかで良し悪しが決まるんだよ。

アンタがシャイだってことはわかってるけどね、だけどさ、アンタはステージでお客さんと会話する必要はないんだよ。
お客さんの顔を見ることはない。

アンタはピアノに自分の想いをぶつければいいだけじゃない!
怖くないでしょ!
アンタが今、ココまで(胸まで)想っていることを、(手を高く上げて)もっとオーバーに出しなさい!

805d4679.jpg

最初の「ラッドッ」はどんななのよ?何を言いたいのよ?
トリッキーでしょ!
「Oh!ジョン!」

そんで、8分休符が大事!この間が大事!

そんで「ドシレドッ」は「Where're you?」!

次の「ラッシッ」は最初の「ラッドッ」とは違うでしょ!そこがトリッキー!
ここは「Oh!No!」

カラーが違うんだよ。
これを、棒読みではなく、気持ち込めて声に出す。それを音で伝える。


92e47fa5.jpg

ここはどんな?ハッピーでしょ。
「あぁ、そこにいたのね」って安心して優しさに包まれる感じ。
完璧に最初と異なる。


6e0e34e3.jpg

ここの<rinf.>は、肉体的に「強く」出すのではなく、体の中の奥底から湧き起こる感情。それを「もっと!」


dcce2526.jpg

右手、一個ずつ取らない。(一個ずつ、サウンドが切れて聴こえている。)
大きな(4小節で一つの)ラインで捉えていくこと!わかってはいるんだろうけど、それを呼吸で音に繋げて行かなきゃダメだよ!

それから、スフォルツァンドは「強く」じゃないよ!
一つ目(この図)のスフォルツァンドの意味は「ハッピー」。
二つ目(この図にはない、続くフレーズ)のスフォルツァンドの意味は「エスプレシーヴォ」。

スフォルツァンドは「感情を更に込める」という意味だよ。


それからここの左手、一個ずつ出すぎ。この後の
81aca55f.jpg

ココの左手も。
いい?ここはね、左手、手首を回転させたらダメだよ。
全ての音の鍵盤に指がくっついたままの状態。その指先だけで弾く。


a42c2577.jpg

ここの右手、ダイレクトすぎるよ!
ここはハッピーな空間が広がるんだよ。


e20c3ef7.jpg

「ラーファッ」、一つずつはっきりしないように。
「ラーーー」と「ファーー」の間の音の広がりを感じて。


cfc350d2.jpg

この最初の重音三つ、短すぎないこと!
フォルテでのスタッカートは少し長めに取る。
ピアノでのスタッカートは短め。これが鉄則だよ!


「ファ」「レ」「ミ」と、全て別個ではなく、音の広がりは「ふぁ~れ~み~」と繋がることを意識すること。


続く8分音符のスタッカート・フレーズ。
左手が酷すぎる。

ちゃんとラインを感じなさい。メロディ・ラインを。
「ファシドソ|レソドソ|レファミド|レファミド|レ」でしょ?

1小節目の「ファシドソ」では、何もしない。
クレッシェンドのスタートは「ソフトに」という意味だよ。

2小節目の「レソドソ」も何もしない。ここは右手のトップ音をキラッと出していく。

3小節目の「レファミド」でクレッシェンドを一気にかける。

そして、各小節、拍頭を意識すること。ただし、過剰アクセントにならないように。


そして、その続き。

右手の「レドミレッ ラソシ|ラッ ファミソファッ レドミ|レッ」はね、やっぱり足りてないよ。
そのフレーズが始まる直前の左手の重音を受けて、右の肩が回り始める(回す)。
この右手のフレーズは、肩をよく使って(回して)弾くこと。

その後の両手ユニゾン、ユニゾンは、必ず左右を別の弾き方をするというのが鉄則!

右手を出すなら左手は控える。
左手を出すなら右手を控える。
どっちにするかはアンタに任せるけども。


6be4a14f.jpg

この一つ前の画像の最後の右手、「ソッソッ|ミッ」は、それまでとは完璧に異なる。
ユニゾンのところからは弦だったけど、この「ソッソッ|ミッ」は、ピッコロだよ。
アクションが変わる。(と、師匠、きゃわゆくピッコロを吹く真似を。)
それから、「ソ」「ソ」「ミ」全て同じ打鍵をしないこと。
「ソッソッ」は「ミ」に向っていくんだよ!

そんで、低音のトリルは、弦の低音楽器、チェロやコンバスが物凄い勢いでブルブル言わせてるんだよ。髪振り乱して。(と、師匠、その真似を。。。可笑しすぎ。目、飛び出しそうだし。)


いいこと?この提示部の最後のところはね、アンタは指揮者になるんだよ。

はいっピッコロっ、こんな風に軽く吹いて!
次、フルートも入って!

そ~ら、コンバス隊、どわどわどわどわ~~って弾いて!

最後はトゥッティ!

って指揮台から指示を飛ばす時のジェスチャーや顔の表情と同じだよ!






時間がないので、とりあえず提示部の終わりまでで切ります。

後で展開部以降を綴ります。





にほんブログ村 クラシックブログ ピアノ・鍵盤楽器へ