アンスネスのマスタークラス*ショパン「ピアノ・コンチェルト」第一番 | 心と体をラクにするピアノ奏法

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ピアニストでピアノ講師の荒井千裕が
ピアノの奏法、呼吸法、身体の使い方をお届けします。

二人目の受講者は、一ヶ月前の香港国際ピアノ・コンペティションの審査員によるマスタークラスにも出ていました、15~6歳のジュニア・クラスの女の子。
(去年、エトリンゲン・コンペで3位だった子)

曲は、先月のマスタークラスと同じでショパン「ピアノ・コンチェルト」第一番第一楽章。

(えらいこのコンチェルトに力入れてるなぁ・・・なんて思ったり。
 この子もショパコン狙いかしら?)


第一楽章を彼女が弾き終えるとアンスネス様は・・・


素晴らしい!美しい!アメージング!

ボクは何も言うことがないよ・・・(とキタ!)



(その割には指示が細かかったんですが


右手にたくさんの音がある時は、左手も大事にすること。
ベースをね、オケに聴かせてあげないと拍がわからなくなるからね。

140小節目(ピアノが入るところから数えると2小節目)、この重音のアルペジオは左のベース、これをきちんとペダルで捕まえてあげる。

140小節目1拍目の「シ」、アタックが強すぎないこと。
(みーーれみーそ|ーしーしー)

まだ次に同じB(シ)が続くんだよ。
そしてそこで(2拍目と3拍目のアルペジオで)「何かを言って(伝えて)いくのだから」。

重要なのは常にベース・ライン。

155小節目から始まる左手の8分音符での重音の打鍵は、一つずつ手を上下させないこと。(ずっと同じ重音ですが、わずかにでも手を上下させない、とアンスネス様は仰る。そして、アンスネス様が弾いて見せてくださると、甲の高さが全く動かずに打鍵を続けている。)

手の甲の位置が同じラインを保ったまま弾ければ、全てをムラなく弾けるよ。


222小節目から(ホ長調に転調するところから)。
左のメロディをよく聴くこと。
左だけで美しく奏でる。
その状態を、両手で合わせる時にも聴き、保つ。

300小節目からの(実際同じ音型は299小節目から)各小節1拍目の両手共に外側に広がる跳躍(8分音符に装飾音がついているので、軽い跳躍になるのですが)、300小節目の右手で言えば「しふぁっ」ていうところね、ここの弾き方、手首や腕の使い方はコレと同じだよ。

(と、「エオリアン・ハープ」を弾いてくださる。きゃー!もうけモノ!)

跳ぶのではなく、手首と肘を内側から外側へ出すだけ。


307小節目から(右手はロング・ノートで左手がうねるような16分音符フレーズが続くところ)、この左手はトップとなる音(音型の中で一番高くなる音、307小節目ならば2拍目の三つ目の16分音符の「レ」、308小節目ならば1拍目の二つ目の16分音符の「ソ」)を、親指をよく使って響かせる。


332小節目

第一セクションの最後、右手がトレモロの内側でトリル、左手も和音のトップ音がトリルのところ、このトリルの終わり方が良くない。

トリルの終わり、一度「止める」練習をすること。
(右手で言えば、「そふぁそふぁそふぁ・・・・(とトリルを弾いていて)そふぁーー(と止めてから)みふぁ|し」と弾く練習。トリルの終わりの装飾音の前で一度止める、という意味。)
止めないとね、トリルを入れすぎて間延びして遅くなるから。



(その後もやりましたが、結局仰ることは同じことで、常に左を聴く・出すということがメイン。
 実際、もっと細かかったんですが、やはり仰ることは常に左手重視というお話でした。
 「キミの右手はインクレディブル!だよ、だけど左・・・」とか
 「キミの右手はアメージング!だけど左・・・」とか。笑
 それもちっともキツイ言い方ではなく、しびればず・・・)


左手を出すことを恐れないで!
ココはそんなに大きなホールではないけれど、実際に大きなホールでオケと合わせるなら、聴こえないよ、足りないよ。
だから、恐れないで。






こうして、アンスネス様のマスタークラスは終わりました。

あとは明日の晩のリサイタルです。











 

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