『" かず 、みやび "
髪を洗って椿油を塗ってちょうだいな
" さと "
私のお気に入りのお香を出しておくれ
あとは。。』
『姫、お香はこちらでよろしゅうございますよね?
布団なども新調したものを既にご用意させていただいております
その他の事も" さと "にお任せくださいませ
それよりも姫
今のうちに少し休んでおかれたらどうです?
美容には睡眠が一番でございますよ』
『それは分かってはおるが、興奮してとてもじゃないが寝付けそうにない
この状況で寝るだなんて、到底無理な話であろう?
だってあの中将様が明日、ここにお渡りになられるんですよ?
もう再会出来ぬと思っていたあの中将様が。。』
『姫はずっと恋焦がれてらっしゃいましたもんね
名も知らぬあのお方に』
『えぇ、だから何としてもこの機会をものにして、中将様と夫婦になりたいのです』
『ふふっ
お気持ちは分かりますが、その気持ちが強すぎると中将様が圧を感じて尻込みされてしまいますよ?
ですから高鳴る気持ちも分かりますが、おしとやかに恥ずかしそうになさった方がよろしいかと
そちらの方が殿方は本能をかきたてられ、自分の手中におさめようとするものです
特に中将様のように位のある方はその傾向が強いかと存じます』
『さすが " さと "
何事もよく分かっておるの!』
『姫より長く生きておりますからね
ですからさぁ、少しお休みくださいませ
中将様がお越しになる時に合わせて起こして差し上げますので』
" さと "にそう言われながら頭を撫でられると、途端に睡魔が襲ってきて眠りについたのであった