前回の続き

 

 

K係長:正直、お前の人生がどうなろうがこっちは知ったものじゃない。

 
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ただし、俺や課長の評価だけは傷付けないように必死になって仕事をすることが無能な君ができるせめてもの罪滅ぼしじゃないのか?

 
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熱くなっていたことから

我に帰ったのか、K係長のボルテージが

少しずつ下がり始めました。

 

 

もちろん、架空売り上げは君だけの判断でやってもらうことになる。

 

俺も課長も責任は取らないし、その事実を知ることもない。

 
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もしも架空売り上げの事実が明るみになってしまったら、君が苦しんだ末に営業ノルマを達成するために独断で実行したということになるがね。

 
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誰かに訴えても無駄だよ。

 

無能な君の主張と、常に成果を出している俺の主張とでは、誰が聞いても君を支持する奴なんていないからね。

 
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心配することはない。架空売り上げをしているのは君だけじゃない。

 
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だから失敗することを気にする必要はない。

 
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これは、俺や課長、取引先を含めた君との助け合いだ!!

 
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君がみんなのことを考えて、行動すればみんなが幸せを掴むことができる!

 
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K係長は両手を左右に大きく広げ、

自分はさも崇高な考えを

主張しているかのように

振る舞いました。

 

 

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佐藤実(主人公):でも、い、いくらなんでも僕にはできるわけありません。

 

 

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そもそも僕以外に架空売り上げをしている人なんているのですか?

 

 

K係長表情が一瞬だけ

硬直したように見えました。

 

 

君は他人のことをとやかく詮索できる状況ではないだろう?

 
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俺だって、無能で小心者の君がすぐに決断できるとは思っていない。

 

残り少ないサラリーマン人生を少しでも延命したいかじっくり考えるといい。

 
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そういうと、K係長は

足早に部屋を後にしました。

 

 

K係長との話が終わった後に、

僕は魂が抜けた人形のようになって、

その場から動けなくなってしまいました。

 

 

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僕はもう、犯罪に手を染めるしかないのか…。​​​​​​​

 

 

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今まで必死になって仕事をして、お世話になった取引先の人たちを裏切ってまで。

 

 

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この会社で生き延びて何になるのだ…。​​​​​​​

 

 

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僕は何を選択すればいいのか、もうわからない。

 

 

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今のまま仕事を続けても、K係長の提案を受け入れて賭けに出ても、進む先にあるのはK係長の言うように、虚しいジリ貧の人生ではないのか?

 

 

僕は悔しくて、

その場で声を殺しながら

すすり泣きました。

 

次回に続く

 

広島から帰った日に羽田空港から見た景色

(2023.11月 photo by MINORU SATO)