秩父三社の一社・宝登山神社奥宮・里宮両社参拝の後は、地元長瀞で、霊山宝登山からの湧水を利用し古来の氷室によって古代天然氷を再現されている阿左美冷蔵さんの氷でかき氷を供されている「ぎゃらりー喫茶やました」で直会。


霊山の湧水で昔ながらの製法で作られたかき氷はとても優しい滋味溢れるお味で、ひと口含むと同時に神を感じた。



氷室の歴史は古く、1400年以上前、允恭天皇三年辛酉朔正月下旬時の大臣・三田ノ宿禰が勅を奉じて闘鶏(つげ・現奈良県天理市福住町都祁・氷室神社)の霊池たる闘鶏氷室の傍に氷室神を祀った事に遡る。
また、日本書紀によると、4世紀後半、応神天皇の皇子・額田大中彦皇子(ぬかたのおおなかつひこのみこ)が、闘鶏(つげ)の氷室で製氷の技術を継承していた地元豪族・闘鶏大山主(つげのおおやまぬし)と出会い、氷室の存在を伝授された皇子がその氷を都に持ち帰って天皇に献上、和銅3年(710年)7月22日、勅命により春日山で氷室を創建し、翌年6月より70余年にわたり朝廷に献氷、平城京の東西市で氷室の氷が販売された。

今大河ドラマ「ひかる君へ」で話題の清少納言もかき氷を食しており、彼女の随筆『枕草子』でかき氷について「あてなるもの(上品で美しいもの)」とし
「削氷(かずりひ・かき氷の事)の甘葛(あまづら・蜜)に入りて、新しき鋺(かなまり・お椀)に入りたる』」と、その美味しさに感激している。

古代人にとって、暑い夏に作られる冬の氷柱のような氷に神を感じたであろう。
森羅万象は神であるのだから、霊山も神、その湧水もまた、強い霊力の宿る、尊い食物である。
有難く頂戴した。