磯城瑞籬宮(しきみずがきのみや)がその麓にて営まれた奈良県桜井市の三輪山。

 

出雲の神で、現在の大神神社の御祭神である大物主神がここ三輪山の山頂に鎮まった。

この神の山の山頂には、大物主神の御霊が宿り、古代祭祀が司られた磐座が今も残っている。
この三輪山のすぐ南隣に位置する鳥見山には、神武天皇が自らの皇祖神・天照大御神を降臨させ、日本初の大嘗祭が斎行された。
初の大嘗祭が行われた鳥見山は、三輪山よりも、やや低い山だ。
日向から神武天皇が東征され橿原宮で天業恢弘されるよりも遥か昔から、三輪山が神聖なる山とされてきた事もあり、三輪山の神への畏怖の念を伝える為に、自らの皇祖神を少し控え目に、鳥見山に祀ったのかもしれない。
 
橿原宮にて初代天皇として即位された神武天皇は、大物主神の娘・比売多多良伊須気余理比売(ひめたたらいすけよりひめ)を皇后に迎えた。
 
この婚儀には、古代からこの地を治めてきた大物主神の神裔の一族の血脈を容れる事により、その正統性を更に強固なものとしたいとの思いもあった。
その為か、神武天皇以降も、三輪山は信仰の対象とし、以後、都が飛鳥に遷るまで、三輪山の麓が都とされ、三輪山を都の守護神とし尊崇し続けた。
この信仰が、2679年の長い年月を経た今も尚、奈良のほぼ全ての人々の心に強く継承され続けているのは、日本の国柄ならではの、世界に照らすと誠に稀な事。
やはり、日本は素晴らしい。
日本は神の国であると感じさせられる。
 

 

神武天皇もご覧遊ばされたであろう古代から変わらぬ景色を眺めると、遠く日本民族のDNAを感じ、時を忘れて過ごせてしまう。