「私 恋をしている 哀しいくらい
もう隠せない この切なさは......」
幼稚園へ、千春を迎えに行く道みち、
ザアッと突然降りだした通り雨に、
松本英子の「Squall」を、ロマンティックに歌いだしたまでは、よかったが。
私の歌は、続く。
「もっとひとりでいたい~」
ややややっ!?何と!
「もっとひとりでいたい」!?
ご存知の通り、ここは、
「もっといっしょにいたい ふたりでいたい」
と、熱く、歌うべきところなのである。
「もっとふたりでいたい」を「もっとひとりでいたい」と、
歌い誤るなんて。
これを、ライブでやったら、もう、万事休すだ。
そう思いながら、ザッと来た雨のせいで、
かえってムッと蒸し暑くなった道を、
ヘナヘナと情けなく失笑しつつ、重たいベビーカーを押す。
「もっとひとりでいたい」
このミステイクは、結婚8年目というステータスのゆえではなく、
日頃溜まった育児疲れのせいだ、と思いたい。
旦那さまの顔を、ちらりと思い浮かべる。