「あの頃の誰か」に収録されている「さようなら『お父さん』」を読んでいたら、最後のところで、涙がこぼれて。。
漢字は違うが、名前が同じ「ようこ」。
いけない!!、自分のことでもないのに、感情移入が激しくて。
話はこうだ。
飛行機事故で助かったのは5人。
母娘が助け出されたが、懸命な治療が続けられたが、娘は亡くなり、母は期待がもてそうだった。
ところがが、突然娘の脳波が動きをみせ、息を吹き返した。
残念ながら母は亡くなったが。
夫は妻を愛していた。
妻の葬儀を終えて、娘の病室で妻を思い出して
「ようこ、ようこ」と泣いていると、突然「あなた 。」と、声が掛かる。
事故により娘の体に妻の意識が其処に入り込んだのだ。
他人からみると実に仲の良い父娘。
しかし夫婦。
奇妙な関係が続く。
家では夫婦。
外では妻は小学生。
このような妻との関係。
生活には全く支障がない。
しかし。。
妻の体は小学生、思春期を迎え高校、大学、社会人と。
関係が変わる時に初めての口論となる。
夫婦喧嘩ではなく、親子喧嘩。
微妙な心理の面白さを魅せるこの作品。
最後は父娘として、結婚式当日。
父としてお婿さんにお願いする行為と、その結果に涙した。
元妻は、新たに娘となってお嫁入りする。
なんとも云えない悲哀に涙が零れ落ちた。
しかし、この家族はある意味幸せだったんだと思う。
娘の肉体が遺り、母の意識が宿る。
不思議だが、夫つまりお父さんにとって理想の家族を過ごさせていただけたのだから。
普通の人間が一生を終えるときまで、こんな幸せな生活ができたことに感謝と喜びを表そう。
この作品のタイトル
「さようなら 『お父さん』」には、深い想いが重なる。
短編の短編だけれど、慫慂(しょうよう)したい。