前回の「検索ワード」から・・・。
成年被後見人が遺言書を作成することが出来るのか?
成年被後見人になられた方でも、ある日、遺言書を書きたいということはあると思います。
東大の実習で介護福祉施設に伺った際、痛感したことですが
「とっても昔から興味があったこと」「人生において忘れられない悲しみや喜び」
などは、認知症の方もとてもしっかりとお話してくださいました。
可能性はどれくらいは分かりませんが、若いときから財産管理とかに興味があったり、親の相続でとても揉めた・・・というような経験があれば、認知症等で判断能力が低下した人でも遺言書を残したいと思うかもしれません。
あるいは、検索された方は、
「認知症になった母親の財産、結構あるけど、相続はどうなるんだろう?兄弟で揉めたくないな~。生きている間に遺言書を残しておいてくれたらな~」
と思われたかもしれません。
さて、成年被後見人は遺言書を書けるか?
民法では第936条に「遺言者は、遺言をするときにおいてその能力を有しなければならない」
と規定されています。
そうすると成年被後見人は、事理弁識能力を欠く常況(つねにその状態)の人だということになるので、遺言書を書くことは出来ないとなってしまいます。
しかし、成年被後見人となった人が遺言書を書くことは、もはや無理かというとそうではありません。
民法973条に「成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時におていは遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない」
と規定されており、一時回復したときには、お医者さんの立ち合いが必要とはなりますが遺言書を作成できることになっています。
一時回復することがあるの~?ですが、私個人的には、あると思っています。
テレビなどで、一人暮らしをしていた方が施設入所することによって、食事や化粧をきちんとすることになり、認知症が回復した・・・というのをみたことがありますし、確か東大の養成講座に来ていた方のご家族でも、成年被後見人だったが被補助人程度まで回復したという話を聞いたような・・・。
結論をいうと、成年被後見人となった方でも一時回復した場合には条件つきですが遺言書を書くことは可能です。
でも、できれば、誰もが「あ~、あの時、母さんはしっかりしていたよね」と言ってもらえる間に遺言書は作成しておきたいな~と個人的には思います
そういう場面に遭遇したことがないので、何とも言えないのですが、お医者さん二人以上の人に遺言書を作成するところを見られるっていうのもちょっと・・・と思いますし、私が認知症になったとき、本当に一時回復ができるかどうか分からないですし