私は、藤本義一さんのことは詳しくありません。
以前、住んでいた西宮市の社宅の近くに藤本氏のご自宅があるということは知っていましたが、結局、前を訪れたこともありません。
藤本義一さんといえば、井原西鶴の研究者の一人でもありました。
私は、学生のころ、法学ではなく、文学を勉強していたのですが、卒業レポートは
「井原西鶴」でした。
井原西鶴に最初は興味を持っていたわけではありません。
むしろ、恋愛系の「源氏物語」を専攻したかったのすが、わが母校は担任制で、担任が
「井原西鶴」のこれまた非常に熱心な研究をされている教授だったので、私は井原西鶴を学ぶことになったのです。
私の恩師は、井原西鶴の再評価・普及に尽力され、西鶴文学会を創設した方です。
この恩師は、同じく西鶴を研究されていた藤本義一氏のことを時々、話してくれました。
お互いに西鶴について語り合った仲でもあり、ときに意見を対立することもあったそうです。
対立といってもお互いに「ここは違うな~」という感じでしょう。
憲法の解釈で「A論」「B論」があるのと同じような感じと申しましょうか?
私の恩師も昨年、亡くなりました。
さて、西鶴の話です。
西鶴の「日本永代蔵」は、日本最古の経済小説と言われています。
いや、言いきれないかも・・・。そう学びました。
西鶴は日本永代蔵の中で、商人の心得として、3つのキーワードがありました。
その中の一つで印象に残っているのが
「しわき」という言葉です。
「ケチではなく、節約すること」という意味をもち、単なるケチではその企業は発展しないが、お金を使うべきところは使い、無駄なところは徹底して節約することが大事だという意味を持つ言葉だったと記憶しています。
昨年、私の恩師のお別れ会がリーガロイヤルホテルで行われたとき、恥ずかしくも私は、スピーチを頼まれ、この「しわき」を思い出しましたが、藤本義一氏がお亡くなりになったということで1年ぶりに思い出しました。
今、私はまさに開業でお金がかかっています。
しかし、コピー用紙はケチっても(もうね、どうでもいい自分の原稿とかは裏紙使用です)、プリンターはレーザーを買うとか・・・東大の授業・交通費につぎ込むとか・・・。
普段の主婦としての私は「ドケチ」です。いまだドラッグストアーは2件以上は見比べてからでないと洗剤やティッシュを買えない。
1円安いと最初の店に戻ります。
企業法務において、西鶴の心は、今も大事ではないでしょうか?投資と節約の塩梅・・・。
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