介護系NPOの職員研修にて、イライラワクワクワークショップ実施! | 開発教育 あしたのきのう

介護系NPOの職員研修にて、イライラワクワクワークショップ実施!

9月10日(土)に、とあるNPOの研修会に呼ばれ、コミュニケーションワークショップ~イライラをワクワクに変える~のダイジェスト版を実施してきました。

宮城県仙台市で活動する、介護系NPO。

こちらのスタッフと有償ボランティアとして活動するみなさま向けの研修です。

 

オープニングでは、今回こちらでワークショップをすることになった経緯を説明。


産後ヘルパーでうちに来てもらっていたKさん。彼女の所属していたのがこのNPOだったのです。退院の翌日から、気力体力ともに落ちていた時にお世話になり、たぶん彼女がいなかったら産後鬱になっていたんではないかな…と思います。

 

3月にワークショップをやることは決めていて、「今度こういうワークショップをやるんです」と勇気を出してある日彼女に言ってみたのがきっかけで、私自身がやるワークショップにも助っ人として来て下さるようになり、こんな風に研修に呼んで下さることになりました。縁だなぁと思います。

 

さて、話を今回のワークショップに戻します。

 

簡単な自己紹介のあと、
「言いたくないことは言わなくていい」
「話したことはこの場かぎりにとどめる」
「ファシリテーターが手を挙げたら、自分も手を挙げ、話をやめる」

という約束ごとをしっかり確認。

 

アイスブレーキングを2つやりました。
※アイスブレーキングとは…ワークショップなど参加型の学びの場で、初めて会う人同士が話しやすい雰囲気を作るため、緊張をほぐすゲームや活動をすること。心や体を氷(アイス)になぞらえ、それを壊す(ブレーク)して溶かすという意味がある。

 

はじめに、手の大きさ順に並ぶライン作り。何となく、背の大きさと手の大きさが関係ありそう?
「手が大きくて得したことは?」と聞くと

「つかみ取りでたくさんつかめる」だそうです。なるほど~。

 

 

次は、やっぱりいつもの部屋の四隅。
お題は「好きな季節」です。部屋の4つの隅を使って春夏秋冬のどの季節が好きか移動してもらいます。移動したらどうしてここにしたのか、2-3人で話してもらいます。

春と秋が多め、冬にもちらほら人がいましたが、夏はゼロ~。私は夏が好きなので、ちょっと残念。

 

理由を聞いていくと、
春:暑くもなく寒くもない。これから「始まる」感じがする。桜がキレイ
秋:ちょうどいい。スポーツなど色々なことがしやすい。そして食べ物がおいしい!
冬:寒ければ上に重ねればいいから(暑いとそうはいかない)。雪が降るといろいろな角ばったものも覆い隠されてふわっとなる

 

と、たくさんの理由が出てきました。それぞれの季節の良さがありますが、季節は廻りますので、そのたびごとに、今回のお話を参考にしたいなーと思いました。

 

そして、ワークショップの始まりです。

対立のイメージを出してもらうと、出るわ出るわ。
筆記が追い付きませんでした。。。

宗教、民族、派閥、夫婦、相違、反対、とげ、破壊、破滅、議論、怒り、嫌悪、親子、誤解、家族、犠牲、競争、男と女、敵、ライバル、けんか、戦争、やくざ、悲しみ、くやしい、無言、シカト、無視、暴言、嫉妬、友達


そして見事にダークな感じのワードが並ぶ並ぶ。。。

いつもこのウェビングの時はちらほらとしか言葉が出てこないのですけどね。。。

人生の先輩方恐るべし。

 

そのあと、ハートの紙を配り、自分の好きなものをたくさん書き出し、他の人と会話を楽しみながら共通点を探します。

 

このワーク、ほんとは立ち歩きながら、いろんな方と知り合うことを目的としているのですが、いったんペアができると、座り込んで話が盛り上がるご様子。あまりこだわらず、1交代だけにしました。

 

書いているときの気持ちは?
「なんだかうきうきした」

共通点が見つかった時の気持ちは?
「話がどんどん盛り上がった」
「もっと聞きたくなった」

という感想が出てきました。

 

いよいよ、ワークショップのメインパートです。

 

みんなが大事に持っている、好きという気持ち。この価値観は自分だけで生まれるものではなく、相手が好きなものは好きになるように、人との関係性で作り上げられるもの。自分がいいと思ってやってみて、好きと思えるということは自分でも大事にしているけれど、誰かにその価値観を壊されることがなかったから。

 

でも、この大切なハートは、結構もろく、壊れやすいということを実感してもらうため、「マリアさんという架空の人物の一日」の中でまわりの人が彼女にどんな言葉をかけ、彼女のハートがどうなったかを参加者と一緒に見てもらいます。

 

 

朝、なかなか起きられないマリア。「何をぐずぐずしているの。さっさと起きなさい」とお母さんに言われる。お気に入りの服を着たら「そんなぼろ布みたいな服を着ていくの?頭悪く見えるわよ」とお姉さんに言われる。。。こんな感じで一日が過ぎ、気づくとマリアさんのハートには、たくさんの亀裂が走っています。言われるたびごとにちぎられていたのです。

 

今、マリアはどんな気持ちでしょう。

 

マリア役をやってくれた方に聞くと「ぼろぼろです」

見ていた参加者からは

「大丈夫だよと声をかけてあげたい」

「一人でもフォローしてくれる人がいたらいいのに」

「こんな風に毎日が繰り返されたら自信がなくなると思う」というご意見。

 

では、どんな声掛けをしたら、マリアさんのハートはちぎれないまま、にこにこで一日を終えられるか、みんなで考えながら一日をやり直します。

 

「何をぐずぐずしているの」の代わりに「マリアの好きな卵焼きがあるわよ」と声をかける。

 

「ぼろ布みたいな服を着ていくの?」の代わりに「今、それが流行っているんだね」と声をかける。

 

「お前がいつもヨーグルトを食べるから俺のがないんだ」の代わりに「はんぶんこして一緒に食べようか」。。。と声をかける。

 

マリアさんのハートはちぎれないまま、たくさんの○がつきました。

参加者に感想を聞いてみると

「ここまで言われることは少ないかもしれないけれど、同じようなことを誰かに対してしてしまっているかもしれない」

「とっさに出てくるのはやっぱり否定的な言葉かなぁ」という意見。

大事にしている「すき」の気持ち。きずつく場面は目に見えない。このワークではそれを可視化してみました。、練習することで言い換える方法を学べる。ということに気付いてほしくてこのワークをやったのでした。

 

さて。最後のワーク、ロールプレイングです。

※ロールプレイング…ロール(役割)をプレイング(演じる)ということで、ある状況を設定して、その役になり切って演じてみる。

 

A:この春から大学生になる女の子。インドに一人旅に行きたいと思っている
B:その父親。一人旅には反対している

という設定で、行いました。

 

1度目は、おそらくこうなるだろうという展開を演じてもらいました。

どのペアも、かなり話は盛り上がりました。でも、最終的に決着した(旅行を許可した)ペアは2つだけ。どのように説得したのでしょうか。

 

「娘の熱意がすごすぎて、折れてしまった」とのこと。なるほど、熱意作戦ですね。
「外国でなくてもいいのではということで禅寺に修行に行くことになった」あれあれ。

 

お父さんの気持ちは伝わった?お互いのニーズは満たされましたか?と聞くと
「うーん、あんまり」だそうです。

 

娘のやりたいことは通ったけれど、お父さんはまだ不安。
お父さんの気持ちは満たされたけど、娘の希望は通っていない。
というわけで、take2。娘の気持ちも、お父さんの気持ちも満たされるよう演じてみてもらいました。

今度はどのグループも決着できたようです。

 

ポイントを聞いてみると、
「一人ではなく、グループで行くという設定にした」
「毎日連絡をするという約束をした」
「父の方から、どうしていきたいのか聞くようにした」

 

お互いの立場を考え積極的にやりたいことや、どうしてやりたいのかを聞いたのがよかったようです。ニーズを把握することはとても重要ですよね。


対立点だけ見ていると、「旅行に行きたい」「行かせたくない」と、真っ向からぶつかりかみ合いません。でも、対立の下にはニーズがあり、「何かを達成したいから行きたい」「心配だから行かせたくない」という、何か解決の糸口が見えてきそうなヒントが隠されています。

アンケートを書いてもらって終了~。

 

今回は、3月と6月に行なったワークショップの合わせ技だったのですが、前回よりはうん、うまくできたかな~。という感じでした。

こうして研修に呼んでもらってワークショップをするのは初めてなので、すごく緊張しましたが、本当に貴重な機会となりました。いろんなところでできたらいいなと思います。

 

※このワークショップは「子どもとできる創造的な対立解決―実践ガイド―」(モーニングサイドセンター 編、開発教育協会 編訳・発行)を参考に実施しています。

 

<アンケート結果>
満足度
100点:
・相手に対する言葉の大切さ、重要さを学べた
・あらためて言葉を発する事の大事さが解った

90点:
・何より楽しかったしおもしろかった。
・考えを言葉にするまで時間がかかった
・話せたことが良かった。言いたいことが少し言えた。会話ができた
・対立に対するイメージが変わった。一歩ふみこんで考えることができた。マリアさんの傷ついた心をその場で何かに置き換えてその場で解決できる方法はあるのかな?

85点:
・もう少し時間が欲しかった
・まだまだ理解不足

80点:
・生活の中での心のありようを形で表現していく方法があることがわかった。ふだんの何気ない言葉の重さがわかりました。
・現実の生活を振り返ることができたこと。でも難しいなぁ

70点:初めて話す人との会話は共通の話題があればスムーズだがなかなか難しい

分かったこと
・相手の尊重
・言葉は大切、こわいこともある 
・相手の深層心理を考え、掛ける言葉の重要性が解った
・視点を変える事で大きな変化が起こる
・言うことの難しさ(伝える)、聞くことの難しさ(相手を知る)
・自分の気持ちと相手の気持ちを考える機会となった
・知らずに人を傷つけているかも
・コミュニケーションの取り方、イスの向きひとつでも変わる
・対立する事はかならずしも悪くない事
・相手を思いやる気持ち
・一つの事も見方が変わればまったく違うイメージになる
・対話がなければ、進歩はない。そのきっかけ作りが難しい
・自分の発した言葉が相手をきずつける、相手のことばも、きずつくときもある。分かっていたけど、忘れてた。思いだした

分からないこと
・きっかけとなる場面、状況、言葉かけ具体的にどうあればよいか←難しい
・実際その時になってどんな言葉がでるかわからない(きをつけよう)
・自分の範囲外の場面での声掛け(言葉を選ぶ)の仕方が難しい
・人によって受け取り方が違うので、対応に困る事。
・深く考えるとますますわからなくなってしまう

その他
・ありがとう
・感情的にならずに冷静でいたいと思いました
・自分が受けた言葉の傷を思い出した
・自分が変わることはむずかしいが必要なのですね