婚約指輪、結婚指輪を持って出かける夫を見て、もう駄目と思った。
でも、なかなか、踏ん切りがつかないでいた。
子供たちを自分と同じにようにしたくないとの思いがあったからだ。

私は小学一年生の時に、両親がいっぺんにいなくなった。
それから、親戚を転々として育ち、遊びは知らない。
お手玉さえ出来ない。
働かなければ食事が貰えないからだ。
ビンタ・ゲンコツは当たり前、父方の祖母は火箸だった。
毎日が、ひもじい。毒でなければ、何でも口に入れた。

子供の同級生に離婚して名字が変わり、離婚したことが原因でいじめられていた子がいたので、なお、ふんぎりがつかなかったのだ。

しかし、「金を早く出せって言ってるんだよ!」と、私のほうに湯のみが飛んできて、冷蔵庫にあたり、その破片が次男に足に当たって血が出た。
このことが、踏ん切りをつけさせた。

夫は、今でいうパチンコ依存症だったのだ。
その頃は、パチンコは趣味の範囲くらいの意識でいた人が多い時代

今でこそ、WHOでギャンブル依存症と認められて、病気として認知いているひとが多いと思う。

中卒で、子供三人を養える仕事は無かった。
夜勤の肉体労働の職を見つけることが出来たが、
「時給が男女同じなのだから、同じように働けよ!」先輩の男性にすかさず言われた。
子供が小さかったから、夜勤は都合がよかったのだ。昼は眠っていも、そばにいることができたから。

時給なのだから、休めばお金がもらえない。
病気になって、一週間も休むようなら「続けられますか?と」聞かれる。
母子家庭は、有給があっても貰えない。
寝ないで、運動会に行って、そのまま夜に働くことも何回もした。
夫がいる人は、旅行でさえ、有給を貰えたようだった。

母子家庭の人の有給は、貯まって消える一方だった。
今、マタハラが問題になっているが、母子家庭でさえ こうゆうことが有ったのだから、あっても当たり前なのかも知れない。

けして、あっては成らない事なのだが、経営者、上司の、一人ひとりの意識の問題なのではないかと思う。

私は、ストレスや、きつい労働、いろんな事が重なって、体を壊しまった。
息子たちには、申し訳ないとおもっている。元気でバリバリ働いている人がたくさんいるのに。
今度は、俺たちが頑張るよと言ってくれた、その言葉は、何よりも嬉しかった。