KTR8500形とは
JR東海が民営化後に初めて製造したキハ85系は後継HC85系の増備によって、2023年6月に定期運用を終了し、7月の団体専用列車を最後に引退しました。
一部保存車を除き廃車されるかと思いきや、2024年3月に4両が京都丹後鉄道(WILLER TRAINS)へ譲渡され、KTR8500形という形式で2024年3月より再び運行を開始しています。
譲渡された4両のうち、2両は部品取りのため、実際に運用に使用されているのは2両となります。
運用は主に土日を中心に特急『たんごリレー』として活躍しています。
外観
白とシルバーの車体にオレンジのライン、JR東海時代からほとんど変わっていません。
中間車や貫通型先頭車は無く、曲線ガラスを採用した非貫通型のみです。
登場から30年以上が経過している車両ですが、全く古い車両だと感じさせません。
よーく見てみるとJR時代の文字が薄っすらと見えます。
行先表示もJR時代のものを生かした文字スタイルになっています。
幕式なので大阪ひだも残っているようです。
車内
座席は2+2配置、シートピッチは1,000mmとなっています。
車内もほとんど変わっておらず、ワイドビューと呼ばれた肘掛け付近から天井方向へ広がる2列1枚の大きな窓も健在で原型を留めています。
1号車が指定席でオレンジ系統、2号車は自由席で青系統の座席です。
通路から1段嵩上げされているため、バリアフリー化が進む現代の列車から逆行していますが、そのおかげで排気ダクトや暖房の出っ張りが少ないです。
床はカーペット敷きで、フットレストも装備されています。
時間経過による日焼けや傷みは無いわけではありませんが、JR東海は車両整備が上手だったので、状態は非常に良いと思います。
最近の車両は軽量化やリサイクル素材の採用で薄くてペラペラな座席が増えていますが、こちらは座面にも背面にもクッションが詰まっていて、弾力があるのでソファーに座っているような感覚でくつろげます。
オリジナルと唯一異なるのはヘッドカバーがJR時代は布製だったものがビニール製になっているくらいです。
キハ85系の普通車は登場当初から評判が良く、グレードの高い普通車と言われていましたが、それは京都丹後鉄道へ来ても健在です。
丹後の海に比べると派手さは無いですが、どちらがおすすめかと言われれば私はKTR8500形を推します。
西舞鶴駅に到着直前に見える幕が抜かれたKTR8500形は部品取りとして購入したものなので、運用に就くことはありません。
その奥にはボロボロのKTR001形があって、一緒に朽ちていくのかと思うとちょっと淋しいところ。