金の糸を吐く蜘蛛がいる。

蜘蛛の糸自体は珍しくもないが、

それが純金なものだから、

人は先を争って、

その蜘蛛の糸を手に入れようとする。


しかし、たとえばすべてが

純金でできた世界にあっては、

その金の蜘蛛の糸も、

もう珍しいものではなくなるだろう。

この世の蜘蛛の糸と同じ扱いだ。

しかし金本来の、本質的な価値は、

本当は変わることはないのだが。


この世の人の綾なす縁は、

すべてが金で出来た世界の中の、

金の蜘蛛の糸である。

それがあまりに普通な糸なものだから、

僕達はそのかけがえのない

価値に気づくことが難しい。

気づくときはその縁を失った時か、

自分がまもなく死に行くときなのだ。