私はもう彼に隠し事したくなかった・・・だから私の勝手な気持ちだけで話す事を決意した・・・彼の気持ちも考えずに・・・家族の話をして彼は何を思うんだろう・・・彼は嫌な気持ちにならないだろうか・・・それが心配・・・
「父は会社の社長でね・・・今私が勤めてる会社の社長なの」
「そうなの?」
「うん・・・小さい頃から仕事ばかりで遊んでもらった記憶はないの」
「うん」
「まぁそれは良いんだけど・・・仕事ばかりで帰って来ない日も多かったの・・・でもたまに帰ってきては離れで女の人と逢ってた・・・」
「離れ?」
「うん家と繋がってる父の書斎って言うか家が別にあったの・・・小学校の時かな・・・父が帰って来るのが部屋から見えて急いで離れに行ったら若い女の人と一緒に居てね」
「仕事だろ?」
「うちの仕事で離れに来る事はないから・・・幼い私が見ても男女の関係なのは見たら分かるぐらいべったりしてたから」
「・・・」
「それからは色んな女の人を離れに連れてくるようになって・・・それで家に居るのが嫌で留学したんだけど」
「・・・」
「日本に帰国して父の会社に入ってから・・・ある日私の友達と一緒に居たの・・・友達だよ?・・・ありえないでしょ?」
「・・・」
「友達も友達と思ったけど・・・娘と同じ年くらいの女性と付き合うのってどうなの?って思ってそれからは父の事は父として見た事が無いの」
「・・・」
「それで母に聞いたの・・・今まで私が見てきた事全て全部話したら全部知ってて・・・何故分かれないのか?って聞いたら・・・何も言わずただ黙ってた・・・」
「・・・」
「母も何か忙しい人でほとんど家に居なかったの・・・習い事や色々してる人だったから・・・だから小さい頃からずっと一人で・・・世話をしてくれるお手伝いさんの方が親よりもずっと長く居たから・・・だけど所詮お手伝いさんはお手伝いさんだからずっと一人だった」
「・・・」
「その母も・・・結局外で男の人と逢ってたの・・・二人とも浮気してた・・・それでも別れない」
「・・・」
「不思議で不思議で仕方なかった・・・でも何かある度に良い家族を装いそれに付き合わされるのが嫌で嫌で仕方なかった・・・取材された事もあったの・・・素敵な家族みたいな感じで・・・実際は全然違うのに笑っちゃうけど・・・」
「・・・」
「母は私が知らないと思ってる・・・父の浮気しか知らないと・・・だからあの人たちがそれで良いのならそれでも良いかなぁ~っと思って・・・働き始めてすぐ家を出て一人暮らし始めたの・・・」
「・・・」
「私に言い寄って来る男の人もうちの会社目当てっていうのが分かるし・・・そんな二人の娘だから・・・好きな人が出来ても言えなかったり・・・付き合ってものめり込まない様にしてた・・・家族の事聞かれるのも嫌だし・・・」
「・・・」
「どんどん仕事にのめり込んで・・・仕事だけは裏切らないし・・・認めてくれるから・・・気がついたら仕事人間になって・・・甘え方も分からない・・・素直になれないそんな可愛くない人になってた・・・だけど親の会社は辞める事も出来ないそんな弱い人になってた・・・」
「・・・そっか」
「でもね・・・ユノは本当の私を知りたいって言ってくれた初めての人だから・・・素直に話そうと思ったの・・・だけどユノの事傷つけちゃったよね・・・ごめんね」
「なんで俺が傷つくんだよ」
「だってこんな私を好きって言ってくれて・・・今さらこんな話し」
「俺はっ!俺はそんな事ぐらいで嫌いになったりしないよ・・・俺は美夏の事が好きなんだ家族を好きになったんじゃない」
「・・・」
「美夏が全部話してくれて嬉しいよ・・・寂しかったよな・・・これからは俺に甘えろよ・・・俺を頼れよ・・・」
「ユノ・・・」
「もっと美夏の事好きになった・・・それに不器用な理由も分かったしね」
「・・・うぅっ・・・ユ・・ノ」
「また泣いて・・・明日腫れるぞ」
俺は彼女を強く抱きしめた・・・彼女は今まで誰にも甘えられず親の愛情も知らず頼れず生きてきたんだ・・・だからこんなに不器用な生き方になっちゃったんだ・・・それに果穂さんを守ってきた理由も分かったような気がした・・・果穂さんも一人だから・・・俺はそう思った・・・
でもそんな不器用な生き方しか出来ない彼女を愛おしく思う・・・それに不器用過ぎるから俺にしか無理だろ?・・・彼女を変えられるのは・・・何故かそう思ってしまった・・・それに俺と別れるような事があったら彼女は一生一人で生きていくだろう・・・そんな事はさせない・・・俺は何となく彼女との将来がぼんやりだけど見えた気がした・・・今すぐには無理だけど・・・ジェジュンの事もあるしな・・・
彼が私の全てを受け入れてくれた気がして嬉しかった・・・ねぇユノ?本当に良いの?こんな私でも・・・でも・・・何か弱くなっちゃいそうだな・・・全てを言ったのは彼が初めてで・・・強がる必要がなくなった今は甘え過ぎそうで怖いよ・・・私は安心したのか彼の腕の中ですぐに深い眠りについた・・・
続く・・・

