「美夏さん・・・」
私はその声にハッとして後ろを振り向いた。そこにはバツの悪そうな顔をしたユノさんがいた。
「・・・ユノさん・・・」
「聞くつもりは無かったんだけど・・・聞こえてきちゃって・・・ごめんなさい」
「聞こえちゃいましたか?見苦しい所お見せしちゃってすみません」
私は悔しさでいっぱいになった顔を見られたくなくて頭を下げ下を向いた。
「顔あげて下さい」
そう言ってユノは美夏の肩を掴み上体を起こすと美夏を見つめて
「泣きたい時は泣いた方が良い・・・」
「・・・」
「だいたいの話は聞いてしまいました・・・すみません・・・」
「・・・」
「あんなひどい事を言われて泣かない女性なんていない・・・泣く事は恥ずかしい事じゃない」
「ははっ・・・ユノさん何か勘違いしてますよ?泣きたいわけじゃないですから・・・泣いたって何の解決もしない・・・泣いたって何も変わらない・・・そんな無駄な事なんてしませんから・・・心配かけちゃったみたいですみません・・・それにこんな所誰かに見られたら大変です」
そう言って美夏はユノの手を振りほどこうとするとユノは逆に力を込めて美夏の肩を掴んだ。
「そうやって涙も流さず・・・自分の気持ちも言わず・・・自分を押し殺して・・・周りに気を遣って・・・だから心配になるって事を分かってない・・・さっきの人は男じゃない・・・男なら・・・女性を・・・こんな目に遭わさない・・・」
そう言ってユノは美夏を抱きしめた。
「・・・ユノさん!」
私は突然の事にびっくりして彼を突き放した。
「・・・」
「すみません・・・びっくりして」
「あぁいえ・・・すみません・・・思わず・・・」
「ユノさんは優しいですね・・・ありがとうございます・・・でも誰にでも優しくしてたら・・・勘違いされちゃいますよ?」
「・・・」
「それじゃ失礼しますね・・・すみませんでした。それから・・・ありがとうございます」
私は立ち尽くす彼を残して足早に事務所を出て慌てて車に乗って一息ついた。
続く・・・
