また次の春へ
<あらすじ>「俺、高校に受かったら、本とか読もうっと」。幼馴染みの慎也は無事合格したのに、卒業式の午後、浜で行方不明になった。分厚い小説を貸してあげていたのに、読めないままだったかな。彼のお母さんは、まだ息子の部屋を片付けられずにいる(「しおり」)。突然の喪失を前に、迷いながら、泣きながら、一歩を踏み出す私達の物語集。<感想>重松清さんの優しい文学と、震災という重たい現実。綺麗事だけではなく、限りなくリアルを描いた作品だと思えました。実際に被災していないわたしのような人から被害に遭われた方まで状況は違えども、日本中の人たちが心を痛めた出来事だったはず。そして、「被災者」「被災地」と一括りにはできない、人の数だけの立場やドラマがある。過去のことでもなければ他人事でもないこの現実とどう向き合うべき なのかを丁寧に考えていきたい。2021年85冊目。