先日観た映画「蜩ノ記」の感想。


第146回直木賞に輝いた葉室麟の時代小説を、「明日への遺言」の小泉堯史監督が役所広司、岡田准一らを迎えて映画化。前藩主の側室との付議密通の罪で幽閉され、家譜編纂と10年後の切腹を命じられた元郡奉行の秋谷。その監視役が、山間の村で秋谷の家族との交流を通して、事件の真相に迫っていく姿が描かれる。

静かな佇まいに、慎ましやかな生活。ストーリーは序盤から美しい景色とともに静かにかつゆっくりと展開していきます。このゆっくり静かな展開は中盤を過ぎても続き、少し退屈気味な展開でした。ゆっくり=丁寧かと言えばそうではなく、のんびりしている割に全体的に説明不足で原作未読の私は理解が困難なシーンもたくさんありました。古語や漢文が結構出てくるし、難しい文章や単語も出てきます。それに、あまりにも美しく撮ろうとし過ぎているのも気になってしまいます。途中言われなき罪に問われ激しい取り調べによる拷問で命を落とす少年がいますが、身体にこそ痣が残るものの顔は綺麗でビックリします。悲惨さを描く数少ないシーンでも画面は決して汚しません。これがどっちつかずで中途半端。やるなら徹底してやって欲しいと思ってしまいました。

家譜は、良いことも悪いことも映す歴史の鏡、人として美しい姿を鏡に映せるようになど。この表現は、人として鏡に自分を映しても恥ずかしくない生き方、身を正して清く生きなさいということなのだと思います。ただ、現代社会で生きている限り、本当にはこの時代の方々が考えていたこと、とっていた行動は分からないのかもしれないとも感じました。