先日観た映画「あなただけ今晩は」の感想。


パリで公開された原作のミュージカルを「ワン・ツー・スリー ラブハント大作戦」、「アパートの鍵貸します」のビリー・ワイルダーが、同映画の脚本家I・A・L・ダイアモンドの共同シナリオを得て演出した純愛コメディ。「アパートの鍵貸します」でアカデミー賞を獲った美術監督アレクサンダー・トゥローナー、撮影をジョセフ・ラシェルと「アパートの鍵貸します」スタッフが担当、「ポギーとベス」のアカデミー作曲家アンドレ・プレヴィンが「すてきなジェシカ」のシャンソン作曲家マルグリッド・モノのオリジナルの編曲に当たっている。出演者は「パジャマゲーム」のシャーリー・マクレーン、「酒とバラの日々」のジャック・レモン、「南太平洋」のブルース・ヤーネル、ほかに英国舞台俳優ルー・ジャコビ、ハーシェル・バーナルディ、ホープ・ホリディ、ジョアン・ショーリー、グレイス・リー・ホイットニー、トゥラ・サターナ、ハリエット・ヤングなど。

映画という虚構を楽しく演出してくれるビリー・ワイルダー。大好きなワイルダーの作品はいつも設定が面白く、設定を把握出来たときのあのウキウキワクワク感といったら何度観てもたまりません。
全体的にはコメディタッチの作品だけどジャック・レモン演じるネスターの一途な想いに感動します。それに奔放でチャーミングなシャーリー・マクレーン演じるイルマにも惹かれる。沢山の経歴を持ったバーのマスターも面白い。
ストーリー、キャスト、テンポなど全てのタイミングが絶妙。アメリカというよりフランス映画的なギャグが、マンガよりもマンガ的な面白さで笑えて楽しい。人生は楽しいって生きる喜びを感じさせてくれます。とてもユニークで、ユーモアと優しさに溢れた映画。もちろんワイルダーらしくセリフが粋です!
二転三転する結末はさすがワイルダー。爽やかなハッピーエンド。笑えて、愉快で、でもちょっぴり切なくて、観た後にじんわりと余韻が残る。やっぱりワイルダー作品は中毒になる。小道具の使い方とか、いつだって反則です!

緑色のストッキングが似合うのはイルマだけ(笑)
先日観た映画「フライト・ゲーム」の感想。


リーアム・ニーソン主演&ジャウム・コレット=セラ監督という「アンノウン」のコンビが放つサスペンス・アクション。ニューヨーク発ロンドン行きの飛行機に乗り込んだ航空保安官が、1億5000万ドルを送金しなければ、20分ごとに1人を殺すという脅迫メールのせいで、146人の乗客乗務員全員を相手に孤独な戦いに挑むさまを描き出す。

ニューヨークからロンドンに向かう飛行機の中という究極の密室で繰り広げられるサスペンス劇は、誰が犯人で、その犯行の狙いが分からないまま、原題そのままに最後まで「NON-STOP」でハラハラ、ドキドキ感が続く。素性を隠して旅客機に乗り込んだ航空保安官の主人公でさえ、何か情緒不安定で怪しさが漂う。主人公をはじめ、乗客乗員全てが犯人である可能性があり、何が目的なのか掴めないままストーリーは進行していきます。終盤、怒涛のアクションと展開はまるでジェットコースターに乗っているかのようでした。
飛行中の航空機内を舞台にした密室サスペンスは、ある意味実にハリウッドらしい作品で、既視感が半端ない。ほとんどシーンでどこかで観たことがあると感じてしまうと思います。何より航空機に乗り込む前から乗客たちが怪しすぎて、とにかく懐かしい作風の映画でした。そこまで驚くような展開ではありませんが、それでも一瞬一瞬で状況が変わり、協力的だった人間が容疑者になったり、何でもないような行動が手がかりになったりと緊迫感が続き、誰を信じて良いか解らなくなる。ラストまで飽きることなく、次から次へと予想を裏切られる展開に騙されました。

また、この作品は単なるサスペンス・アクションものではなく、リーアム・ニーソン演じる主人公の人間としての弱さの部分を描いていて、物語に深みを与えてくれました。最後に明かされる犯行の動機がいまいちピンときませんでしたが、現代の狂信的な一面を打ち出したかったのかもしれません。
先日観た映画「イヴ・サンローラン」の感想。


ファッション界に多大な足跡を残した伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローラン。若くしてその才能を認められ、大きな成功を手に入れた一方、彼が抱えていた知られざる孤独や苦悩をも映し出した人間ドラマ。新星ピエール・ニネがサンローランに扮し、かつての恋人に“まるで本人のよう”と言わせるほどの熱演を披露する。

衣装はもちろんエレガント。美術や絵画にはこだわりを感じ、イヴ・サンローランは中性的で魅力的。しかし、彼の人生は反社会反逆的でセックス(ゲイ)やドラッグが氾濫していた。ここまで男性同士の愛とセックスがきちんと描かれているとは思いませんでした。でも、彼を描くには避けて通れなかったのでしょう。イヴ・サンローラン財団が初めて公認し、また彼を支え続けたピエール・ベルジェ氏が全面協力した本格的(本質的)な伝記映画でした。

自分が想像したものが人々に認められ支持されるのって、凄く幸せなこと。そして、その分プレッシャーや不安は凄かったんだろうなぁ。有能で信頼出来るパートナーに出会えたことは最大の武器だったんだと思います。それでも傷付け合う。更にそれでも愛してるんだね…。切なかった。

ピエール・ニネは、美しくて神経質で壊れやすそうなイヴ・サンローランそのものという感じがしました。