先日観た映画「羅生門」の感想。


芥川龍之介の小説「藪の中」を黒澤明監督が映画化。脚本は黒澤明と橋本忍。撮影は宮川一夫。出演は、三船敏郎、森雅之、京マチ子。1951年のヴェネチア映画祭で金獅子賞に輝いた巨匠、黒澤明監督の名作を、日米の共同作業によってデジタル復元。芥川龍之介原作のミステリー時代劇が鮮明な映像でよみがえる。

あっという間の88分。斬新な構成で、とても47日で作った映画とは思えませんでした。白黒なのにむせ返るような暑い空気や、直射日光のぎらつき、じめじめした雨の気持ち悪さも出ていて生々しくて色彩を感じさせる美しさで良かったです。

「本当のことが言えないのが人間だ。」というセリフが一番核心を突いているのかもしれません。真相は藪の中。人間ってみんな、嘘と真実を織り交ぜた世界に住んでいる。真実なんて、そこに居合わせた人間しか分からない。客観的真実を否定して、人間のエゴイズムを浮き彫りにしたエネルギッシュな作品は現在でも色褪せていません。日本映画が誇る不朽の名作です。
先日観た映画「ジャージー・ボーイズ」の感想。


60年代に数々のヒットを生んだ4人組グループ、ザ・フォー・シーズンズの栄光と挫折を描きトニー賞に輝く大ヒットミュージカルを、クリント・イーストウッド監督が映画化した人間ドラマ。ニュージャージー州の貧しい地区で育った青年たちが体験する出来事の数々を、大ヒットナンバーに乗せて描き出す。

素晴らしい!とっても良かったです!何より、84歳のイーストウッドがこんな素晴らしいミュージカルを作ることが凄い!鳥肌が立ち、感動しました!ドラマを彩る華麗な音楽の数々にも心揺さぶられ、思わず自然と体が動いてしまいます。音楽はもちろん、セットも衣装もその時代を彷彿とさせるものばかりで小物ですら素敵でした。演出やジョークもおしゃれ。テンポもいいし、あっという間にエンディング。ラストは圧巻です。これぞアメリカ!というようなエンターテイメント映画。

決して綺麗事だけでは語れない音楽業界の人間模様と、それに翻弄されながらも、自らの夢のために走り続ける主人公たちの姿が、感動を誘います。そして、信じていた仲間の裏切りや、愛していたはずの人々との哀しい別れ、夢を叶えることの難しさなどが、赤裸々に伝わってきました。フォー・シーズンズのファンと同世代ではありませんが、映画に登場する彼らの曲はどれも聴いたことのあるものばかり。

日常のささやかなきっかけや出来事が名曲を生み、喜びも悲しみも歌と共にある4人のドラマチックな人生模様が心に響きました。
頂点は4人で初めてハーモニーを作り上げたとき…一緒に歌うことが、彼らが最も輝ける場所。
イーストウッド監督の最新作は、歌うこと、生きることの素晴らしさを謳歌しています!
先日観た映画「ウィークエンドはパリで」の感想。


結婚30年を迎え、新婚旅行先のパリを再び訪れた夫婦が、互いに対する不満をぶつけ合いながら、改めて夫婦の絆を確かめ合う姿を描いたドラマ。出演は「クラウドアトラス」のジム・ブロードベント、「アバウト・タイム 愛おしい時間について」のリンゼイ・ダンカン、「グランド・ブダペスト・ホテル」のジェフ・ゴールドブラム。

熟年倦怠期夫婦が、一念発起してハネムーンで訪れたパリを再訪し、離婚の危機まで迎えますが、紆余曲折・悲喜交々の不測事態に遭遇しつつ、愛の絆を取り戻すというお話。妻と夫の温度差、どこの国も夫婦の悩みは一緒で万国共通なんですね。ちょっとしたパリ観光も楽しめる映像と英語とフランス語が交錯して不思議な雰囲気を醸し出していました。

正直、予想というか想像と大分違っていました。もっとハートフルで、心温まるハッピーエンドの物語かと思いきや…。現実社会では、こんな感じなのかなぁと釈然としない感覚を覚えながら観てしまいました。パリまで来ていい大人が食い逃げしたり、ホテル代踏み倒したり、大の大人がする行動とは思えない描写が、フィクションだけどあんまり笑えない。最後まで何を伝えたかったのか分かりませんでした。キャラクターはそれぞれちゃんと活きていたし、期待していただけに残念です。