「なにもしない」を選ぶようになって、
私の中で一番大きく変わったのは
やらなくなったことだった。

以前なら、
不安を伝えていた。
察してもらおうとしていた。
相手の気持ちを確かめにいっていた。
私に気を引こうとしたり、
構ってもらおうとしたり、
無意識に自分を売り込んでいた。

でも今は、
それをしなくなった。

…正確に言うと、
しないことを選んだ。

正直、最初は心地よくなかった。
ザワザワして、
不安定で、
落ち着かなくて、
「このままで本当に大丈夫?」って
何度も思った。

でも、
なにもしなかった。

すると不思議なことに、
恐れていたことは
ひとつも起きなかった。

関係は壊れない。
距離も離れない。
むしろ、
なにも変わらないまま、
安心と安定がそこにあった。

そして気づいたら、
信頼が、静かに深まっていた。

頑張らなくても、
上手くいく。
説明しなくても、
伝わっている。
そんな感覚。

何より大きかったのは、
自分の中の変化だった。

ユラユラしていたもの、
ザワザワしていたものが、
ある瞬間に
スーッと消えた。

そして私は、
ちゃんと自分の世界に
戻ってきていた。

あとから思えば、
「なにもしない」は
我慢じゃなかった。

ただの選択。
ひとつの選択。

「何かをする」を選ぶと、
その先に
いくつもの選択肢が待っている。

でも、
「なにもしない」は一択。

だから実は、
いちばん楽だった。

これは、
何も起こさないための選択じゃない。

余計なことをしないことでしか
育たない関係がある、
そう身体で知っただけ。

それが、
この「真逆の世界の恋愛」で
私に起きた
いちばんリアルな変化だった。