さあ、今日はどんなもこさんについて書こうかなあ、と思ったとき、
どういうわけか私の子供の頃の思い出がふっと頭に浮かんできました。
こんなお話、書いても大丈夫かなあ、、と少々不安になりましたが、決して不快な思い出話ではありません。
私にとっては、今でも鮮明に思い出すことのできる、小さな生き物とのとても衝撃的な出会いのお話です。
みなさん、へびってお好きですか?と聞かれたらなんとおっしゃいますか?
なかにはペットとして飼われるかたもいらっしゃいますが、たいていは、
NO!とおっしゃるのではないでしょうか。
わたしも、へびは苦手です。
でも、多少鳥肌を立てながらも、テレビなどで見るのは好きなのです。
外国の番組でも(ナショジオ)よく、特集をやっています。
私の中で、50パーセントはキモチ悪いという感覚がありますが、あとの50パーセントは、なぜか不思議に畏敬の念を持ってしまっているのです。
その畏敬の念ってどこからわくのかなあ、と思い返してみますと、やはり子供の頃に出会った1匹のへびさんとの出会いにたどり着きます。
私は子供のころ、夏休みになると必ず父方の祖母のところに遊びに行っていました。
そこは、自然に恵まれた静かな山村で、川に入って泳いだり、森の中を一人で探検したり、と子供にとっては最高の遊び場でありました。
その日、祖母のうちを出て、森の中に入っていこうとしたとき、「きゅっ」というような何かつぶれたような鳴き声を耳にしました。
きゅっ、きゅっ、と声は続いています。
なんだろうと不審に思った私は、急いで声のするほうに向かいました。
すると、突然私の目の前に、かえるを口にくわえたへびさんが現れたのです。
声の主だったかえるは、依然、きゅっ、ぎゅっ、と悲痛な声をあげています。
「かえるさんを救出せねば!」という使命感のようなものが私の中に湧きあがってきました。
近くにあった折れた木の枝を握りしめると、へびがかえるを離すようにつついてみました。
へびは、さすがに驚いたのか、かえるをくわえたまま逃げ出しました。
逃がすものかと私も追いかけます。
すぐ近くが斜面になっていて、結構急勾配だった記憶があるのですが、そこを、やおらへびさん、ふっと体の3分の1くらいを持ち上げ、(鎌首もたげた、というほうがわかりやすいでしょうか)L字型の状態で、その斜面を上っていったのです。
お口には、つぶれた声を出しているかえるがまだいます。
助けなくちゃ、助けなくちゃ、ただその一心で、わたしは、はなせ~っと叫んで、木の枝を振り上げました。
その時です!私に背を向けて逃げていたへびさんが、くるっとこちらを向いたのです。
鎌首をもたげたまま、じっと私を睨みつけました。
斜面を上る途中でしたので、丁度私の顔の高さに、へびさんの顔もありました。
その瞬間、体が固まりました。
ピクリとも動けなくなったのです。
私を睨んでいた時間は、ほんの数秒だったのでしょうが、一瞬時間が止まり、耳がキーンとして、あたりは全くの静寂に包まれてしまいました。
その私の姿を見たへびさんは、再びくるっと向きをかえ、鎌首をもたげた状態のまま、悠然と斜面を上がり始め、消えていきました。
しばらくして、やっと私は体を動かすことができました。
でも、なぜだか恐怖心はすっかり消え、何かとても気高い生き物に出会ったような感動を味わっていました。
あの時、私の動きを一瞬にして止めてしまった鋭い眼。
どうしておまえは、自分の獲物を取ろうとするのか!という強い意志が表れていました。
へびだって、人間の怖さは知っていると思います。
それなのに、敢然と私に向かってきました。
言葉ではうまく表現できませんが、その時のへびは、神聖な森の神様の使いのような、威厳に満ちた姿に見えました。
今思えば、自然の摂理を乱そうとした私の行為を、間違いだと厳しく諭してくれたのではないのでしょうか。
他に誰もいない静かな森の中で、向かい合った1匹のへびとわたし。
とても幻想的で、神聖な思い出として、今でもしっかりと私の記憶に刻まれています。
