「ランゴリアーズ」を観る | よわむしの独り言

よわむしの独り言

ゲームや書籍に関してかなり偏った視点から思い付くままに書き連ねます…と思ったら、いつの間にか食べ歩きとB級映画鑑賞がメインになってました。

S・キング作品の映像化では成功した方かな?

51pW14uQnIL.jpg

しかし、軽い気持ちで観始めたら、なんと3時間の長丁場。

劇場用に製作されたのではなく、テレビドラマとして前後編で製作されたとか。

ストーリーを駆け足で説明すると…

ボストン行きの飛行機の中で、大半の乗客と客室乗務員、はてはパイロットまで消えてしまう。

しかも不思議なことに、時計などの装飾品、カツラや入れ歯さらには体内に埋め込まれているはずのペースメーカーなどを座席に残したまま。

残された10人の中にパイロットがいたため、急遽最寄りの空港に降りることにするが、管制からはなんの応答もなく、街並みがあるはずの窓の下の景色も真っ暗だった。

空港に降りるも人気が全くない。

いや、ないのは人の気配だけでなく、空気には匂いがないし、音も響かない。

空港施設内に入り、腹ごしらえをしようとするが、食べ物には味がなく飲み物は気が抜けている。

ここで機長を中心に、英国情報員、推理作家、女教師、巨漢男、盲目少女、気弱青年、ヤク中少女、のんき中年で現状の把握をすることに。

メンヘラ銀行家はどこかの部屋に引き込もって、厳格な父親の幻覚と対話をする。

あっ、厳格と幻覚はダジャレじゃないよ。

メンヘラ銀行家は子供の頃からエリート教育を受けており、父親から「怠けるヤツはランゴリアーズに食べられるぞ」と半ば虐待を受けていた。


一方、話し合いチームの方では、今までは自分達以外の人達が消えてしまったという前提で考えていたが、逆に自分達の方が消えてしまったのではないかという発想の転換がなされる。

飛行機の通り道に時空の裂目があり、そこを通過したときに眠りについていた者だけが、ほんの少しだけ過去の時間に来てしまったのだ、と。

生きている者は時間の流れのままに未来へと進んでいくが、死んだものや人工物などは過去に置き去りにされる。
眠りを擬似的な死とみなされ、眠っていた10人は過去に、終わった時間に取り残された。

しかもそこには、終わった世界を消滅させる存在がいるようで、姿は見えないが遠くの方から音だけが近づいてくる…。

善後策を話し合っている最中に、メンヘラ銀行家が乱入。
ボストンでの会議に出席するから早く飛行機を出せと、ヤク中少女をナイフで脅す(気弱青年に楽器で殴られて失敗)は、気弱青年を銃で撃つ(過去の世界では火薬も湿気ってるので失敗)は、巨漢男をナイフで刺す(成功)は、盲目少女をナイフで刺す(成功)はの大ハッスル。

こんなメンヘラ野郎は殺しちまえ!となったところで、刺されて息も絶え絶えな盲目少女が

メンヘラ銀行家が後で必要になるから殺しちゃ駄目

というので放置プレイにする。

自分を殺そうとしたヤツまで助けようとするなんて、盲目少女の優しさがとどまるところを知りません。


そして、飛行機で航路を逆に辿って、時空の裂目から元いた世界に帰ろうと決まり準備に取りかかる。

しかし、そこについに世界を終わらせるもの・ランゴリアーズがやってくる!

2014080722310000.jpg
違和感ありまくりのCG…

このままでは飛行機が襲われてしまう!
というところで、錯乱したメンヘラ銀行家が滑走路にやって来て、ボストンでの会議の幻覚を見る。

実はメンヘラ銀行家は投資で多大な損失を出しており(強いられたエリート人生に終止符を打つためわざと損失を出した)、それを報告して父親の呪縛から解放されようとしていた。

ん?

妄想の会議の中の重役が…
2014080722280000.jpg
どこかで…いや、著者近影で見たことが…?

妄想から醒めるメンヘラ銀行家。そこに襲いかかるランゴリアーズ。

その隙に飛行機を発進させる生き残りたち。

そう、盲目少女はメンヘラ銀行家を囮にするため生かしておいたのだ!

その盲目少女も刺された傷が元で死亡。

さすがキング。後味の悪さには定評があるぜ。


巨漢とメンヘラと盲目を除く7人が飛行機に乗っていると、前方に時空の裂目を発見。

しかし、この期に及んで何かが気になる推理作家。
そして、のんきに眠りこけているのんき中年を見た瞬間…

時空の裂目を通るときには眠っていなければ駄目じゃないか!

そんな!今は人生で一番目が冴えてるよ!


…という感じです。結末は是非ご自身の目で。

キャラ同士のカラミもいいし、皆さんしっかり自分の役割を果たしているし、ていうかメンヘラ銀行家のキャラが立ちすぎてるし、次から次へと問題点が出てくるのもよい。

チープなCGのランゴリアーズも、現実世界のモンスターではなく虚構の世界の掃除屋だと思えばあの浮きまくりの描写もありかも。

舞台はほぼ機内と空港内。きっと低予算で頑張ったんだろうなぁ~。

時間をたっぷりとったのもよかったか。
キングの原作はこれでもかというくらい描写が細かいから、長編作品を90分とかにまとめるのは無理な話なのかも。

「IT」も途中まではよかったけど、最後に出てきたのがあれでは…ねぇ?


ともあれ、3時間という長丁場を感じさせない良作でした。

しかし最近当りばかり引いている気がする。

そろそろシャレにならない地雷が懐かしくなってきましたよ。