成田氏と池田氏の討論 | 秋山のブログ

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ABEMA TVで、成田悠輔と池戸万作の討論が放送され、話題になっている。結論から言えば、成田氏のマクロ経済の理解は貧弱であるが、池田氏も上手く論破できていない。

 

成田氏の結論は、日本が低成長の理由は複合的で分からない。経済は経済政策でなんとかできるものではない。近年の経済学説が間違っているからこんなことになったなどと言うことは許せないといったところだろうか。

 

成田氏は、池田氏の発言の弱いところを強調して、さも全く無意味であるかのように、素養のない人には感じられるように誘導していた。ひろゆき風と白状していたが、池田氏はひとがいいので上手く対応できなかったのではないかと思われる。

 

ここ3年の諸外国の経済の落ち込みに対して、日本の落ち込みがないことをさも悪くないように成田氏が言ったのが議論の発端であるが、そもそも最初のグラフは簡単に論破可能である。もっと長い推移を出してくればいいだけだ。それを見るだけで外国と違う原因はいくらでも考えられるし、3年で切り取ったことが不適切なのは容易に分かるだろう。3年で切り取ったことは、それだけで科学者失格と評することもできる。

 

政府支出の増加率と成長率の相関図は、相関関係に過ぎないという指摘はその通りである。このグラフからだけではそこまでしか言えない。しかしそれを論破するヒントは、成田氏自身が発言している。成長率が増えたから税収が上がり支出が増えたという可能性は、各国の税収と支出の乖離(赤字の許容度)を示せば分かるであろう。財政政策が景気を改善するエビデンスはいくらでもあること、景気が悪くなれば成長率が低下することを考えれば、池田氏の考える因果関係が正しい可能性の方がずっと高い。

 

成田氏の財政政策をしてインフレになった場合、一度もらってしまった補助がなくなることを国民が反対するのでコントロール不能になる云々という話は、財政政策に反対する経済学者が盛んに喧伝してきたことで、もっともらしくて素人が騙されやすい話であるが、適切にそれを示す実例はほとんど見かけず、少なくとも普遍的な話では全くない。若い頃習ったことと言う理由で、そのまま鵜呑みにしていることは、まさに批判されている経済学者そのものだと批判してもいいだろう。政府の経済政策が無効であるかのような思想は、時期的に成田氏が若い頃習ったものに他ならない。現在はエビデンスを重視する分野にいるのだから、若い頃に習ったもの、信じていたものをもう一度疑って自ら検証してみてもらいたいものだ。嘘を信じているから、マクロ経済に関しては真実に近づくことがない。