介護保険の保険料 | 秋山のブログ

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雨龍さんのコメントから。「現行の介護報酬では、労働に見合った賃金を払うことは不可能」というコメントをいただいた。

 

介護保険に関しては以前から散々取り上げている。介護保険の仕組みは医療保険とはぼ同様で、需要抑制を防ぎ、国民の厚生を増大させるだけでなく、供給者には安定を与える代わりに価格を抑えることができる優れたシステムである。しかし予算を抑えることばかり財務省が考えているために、制度を台無しになっている。雨龍さんの言われるように労働者にまともな賃金、まともな労働環境を与えられないレベルだ。

 

民主党の今より景気が悪かった時代ですら、介護業界は人手不足にあった。条件が悪すぎるからである。景気が回復してくればもっと人手不足になるのは言うまでもない。介護業界の求人倍率をみて、世の中は人手不足だと考えるのは全く愚かである。

 

ところで、この介護施設の状況にはかなりの地域差がある。他県の医師と話をすれば、とても医療の補完などできるレベルではないと、その質の低さを嘆く地域がある。また、とても採算が合わないという地域もある。東京では、介護保険を無視した自費の高額施設も存在する。

一方、当地域のように上手くまわっている地域もある。需要があるために新しい施設もまだまだ建設されている。求人に対しても雇用者は強気だ。十分な利益も得ているようだ。

他の地域と何が違うのかあげてみれば、平均給与が低いということ、土地が安く、また建築費用も安いことだろう(しかし、多くの場合、親戚に食料生産者がいるので、食べることに不自由はしていない)。もともと真面目で働きものが多い土地柄、他の仕事に比べて条件が悪いわけでもないため、質のいいスタッフも集まる。そんなことで当地域では、介護という業種がビジネスとして成り立っている。

しかし比較的良好な当地域にしても、ほとんど埋まって初めてビジネスとして成り立つ。ホテルが稼働率60%で黒字になることが多いのと比べて、異常な低価格ということになる。制度上価格が全国一律にならざるを得ないとしても、一番費用がかかるところに合わせて価格設定するべきではないだろうか。地方がそれで比較的おいしい思いをすると言っても、介護需要の総量は限度があり、そして多くもない。被雇用者の賃金が上がっていくのが、一人あたりの生産性増大であり、その賃金は消費に繋がり別の職種の人間の生産性も増大させていく。財政均衡などという全く価値の無いもの(重要視する人間は、すべからく家計と置き換えて考えるという過ちをおかしている)に拘って、生産性が上がることの足を引っ張ることほど馬鹿らしいことはない。