搾取と税金 | 秋山のブログ

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「今までで一番やさしい経済の教科書」にP202『みんなで同じように負担するからこそ、社会保障にふさわしいという考えで、消費税が財源になっています』とある。実際富裕層と低所得層で同じように負担しているわけでもないし、社会保障の財源になっているというのも嘘であるが、重要なのは、なにかしてもらうかわりに納税するという、政府(国)を企業か何かと勘違いしている考え方はするべきでないということである。
政府はどこまでも国民に貢献するためだけの存在であるべきだろう。税金を払ってもらうためにサービスをするわけではない。自動車税など納得させやすいために道路利用の対価のように説明されたりするが、そうすると同じような宝飾品等にかかる税金の説明がつかないだろう。税金には経済を調整する作用もあるので、結局国民の生活への影響を考えながら集めるということに過ぎない。
もうひとつ税金で重要なのは、税金が再分配の手段であることである。再分配は弱者に対する施しではない。賃金は様々な要因によって決められ、必ずしも適切な値になるわけでもない。また、最近増悪の傾向がある資本による搾取だってある。働いた以上に搾取された分を、法人税や累進課税で国が取り上げて、重要な消費に前もって振り分けて安く使えるようにする。医療や教育が代表的な例だが、公共交通だってそうだろう。必要であるのに我慢してしまう可能性があるこれらを十分に利用させるという上手い需要増加策でもある。しかしながらこの上手くいっていたシステムは、新自由主義的な政策の導入によって破壊されていった。間違っている主流派経済学には、有効需要も搾取も存在しないことになっているので、理由を見つけることはできない。主流派経済学の嘘に騙されることなく、搾取解消の方向から税金をとらえることが必要である。

税金はなかなか嫌なものです。政府を維持するために必要であることは分かっていても、潤沢ではない収入から取られると頭に来ます。全ての税は経済にマイナスに働くと喧伝する経済学者もいるため、税は極力少ない方がいい。無税国家が出来たらいいなどと考えることもあるかもしれません。しかしちょっと待って下さい。税は、政府にしかできない仕事をするためしぶしぶ集められた、経済にマイナスをもたらす必要悪などではありません。
例えば医療のように、税(及び保険)で前もってお金を集めておいて、消費する際の負担を下げるという方法で、需要を伸ばし国民の厚生を上げることもできます。経済に害悪を及ぼしている格差を是正することもできるでしょう。

弱い立場の人間の収入が低いのは、その人間の能力が低いからではありません。賃金が均衡によって(市場機能によって)適正な値になるなどということは、証拠のない神話に過ぎず、力関係によって決まる不合理なものです。多くの場合、価格決定者が圧倒的に有利なため、大きな搾取がおこなわれています。しかし嘗ては、累進課税と高い法人税によって搾取されたお金の多くを国が取り上げて、収入が低い人間でも消費できるように、国が医療や教育、交通等々様々なものの価格を下げていました。

新自由主義という間違った考えは、このシステムを破壊しています。再分配が抑制されるだけでなく、搾取を増大させました。労働者の収入は抑制され、一方生活費は増大しています。さらには、法人税を下げて、逆進性の高い消費税を導入するなど、愚の骨頂です。

税金を考える時には、経済の構造をしっかり考えて制度設計をする必要があるということです。