民主主義 | 秋山のブログ

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「今までで一番やさしい経済の教科書」の間違いの中で、経済に関して間違った理解をするのは仕方ない部分もある。しかし考え方の間違いは看過できない。引用しよう。
P216『厳しい世の中になっていくでしょう。でも、だからといって、世間や政治に文句を言っていても始まりません。自分たちができることを着々と行っていくことが、唯一の解決策だと思います。』
これは最悪である。
企業にしろ、投資家にしろ、自分に有利な政策を実現させるために、常に政治家に働きかけている。その方法は、別に賄賂を贈って政策を実現させるわけではない。データや理論を説明して、都合のいい政策に誘導していくのである。政治家も経済の理論にそれほど明るいわけでもない。実際のデータを見て、物事を評価するトレーニングもそれほど積んでいないだろう。結局、結果を鵜呑みにして上手く誘導されてしまうことも多くなる。
一般市民だって当然自分の利益になる政策を政治家に働きかけるべきだ。それで初めて釣り合いが取れるということだろう。もちろん、経済を勉強して正しい理解をするということは重要だろう。しかし以前と比べて生活が悪化しているのであれば、何かがおかしいと感じるべきであるし、とりあえずおかしいと声を上げるべきなのである。
皆が投票をする民主主義の成熟が重要な理由はここにある。特定の階層の利益になるような政策を防ぎ、説明義務を果たさせるためである。例えば米国の共和党員の多くが、トリクルダウンの宣伝に騙されているように、多くの国民は騙されるかもしれないが、説明すらされないとか、反対する方法がないとかの状況とは全く違って、民主主義が機能していれば光明はある。前述の引用した部分はそれを否定したとんでもない発言である。

世の中には自分がやるべきことをやらずに人に注文をつけてばかりの人もいるので、「文句を言わずに黙って働きなさい」といったことが言われることがあります。確かにそれが正しいこともありますが、それがおかしなふうに転用されて、上の言うことに文句を言うなとか、政府の言うことに文句を言っても始まらないなどの、間違った使われ方がされる時があります。特に政治に関することでは、これはとんでもない主張です。政治に関しては皆が意見を言う事こそ重要なことです。

自分に有利な法律を作ったり、政策を実行することが、他人を支配したり、他人から搾取するためにおこなわれてきました。民主主義が発達していくにつれ、それをおこなうことは困難になっていますが、依然として先進国ですらおこなわれています。それは巧妙になっており、政治家に意見したりや説明をおこなうことによって有利な政策に誘導するというものです。その中でも特に問題であるのが、経済学を利用しての誘導です。その理論を信じるのであれば、自動的に間違った答えに到達するといった類のものです。

誤った経済学の仕組みはよくできていてなかなか誤りを見抜くことは困難かもしれません。しかし実際の生活が悪化していっているのなら、何かがおかしいと気付くことも出来るはずです。例えば、人口減少が原因視されていますが、皆が共働きしなければならない程の人口減少があったでしょうか。そこで少し調べてみれば、誤った政策によってそれがおこったことに気付くはずです。

正しい理解に辿りつけなくても、政策に文句をつけることは重要です。問題提起されなければ、誤りが修正される機会も失うことになります。逆に問題提起され、皆が解決を探ることになれば、正解が広く理解される可能性も高まるでしょう。

政策を自分の都合のいいようにしたい人間は、人々が意思表示をすることを妨害しようとします。政治的意思表示の中心に位置する選挙をしにくくする改悪がなされている国もあります。庶民の言うことに従うと、近視眼的な政策がおこなわれるなどといった主張もそうです。国民の政治参加を妨げるような言動、活動には騙されずに、強く反発する必要があります。