労働市場の均衡 | 秋山のブログ

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グレゴリ-マンキューの教科書によって経済学を学ぶ人間は多い。つまり現在の多くの経済学者が間違った思考に陥っているのは、多分に彼の教科書によるところが多いのである。そこでちょっとこれから教科書にそった考察、批判を加えてみようと思う。
題材は、彼の教科書を読んで引用解説しているページを利用する。本来は、書籍を買って(できれば原文で)検討すべきだが、そこはご容赦いただくことにして(フリードマンのようには実際読む気にあまりならなかった)はじめたいと思う。

それでは早速1回目のエントリーから。

労働者の賃金と雇用者数に関して市場均衡理論が短期で成立しない理由として、賃金の下方硬直性があるからとマンキューはしている。その一方、長期的には労働市場でも市場による均衡がおこるとして、不況で不採算部門の高給取りが首になって安い給料で働くことになることを例にあげている。
不況において平均賃金が下がることは観察されるだろう。しかし賃金が下がることによって雇用が増えるという現象は観察できないだろう(賃金を上げることで雇用が減るという現象も観察できない)。労働者の賃金と雇用者数を規定するのは、労働者と賃金だけで成り立つ均衡市場ではなくて、需要即ち商品、サービスの総量であると考えれば、(短期でも長期でも)全ての現象は説明がつくであろう。

高給取りはある専門分野において高い生産性を持つから高給取りである(もちろん貰い過ぎも世の中には山程ある)。2倍生産するものが2倍もらえるのは当たり前で、結局労働者の総賃金は、需要の量に相関するだろう。雇用が増えるといった現象が観察された場合、それは賃金が安くなったからではなく、需要が増えたか、生産性が高い人間が減った結果であろう。(不況で、もしくは需要がなくて首になった高給取りは、別の職に移った時点でスキルをいかせなくなって、生産性の低い人間になっている)

ということで、マンキューのマクロ経済学は、最初の一頁目から躓いているのである。