混合診療と国家戦略特区 | 秋山のブログ

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ちょっとタイムリーな話題が入ってきた。特区において混合診療で新しい治療等をおこなうことに関して、神奈川県保険医協会がかみついている

一応保険医協会がどんな団体であるか説明すると、保険診療に関する情報提供等の様々な支援をおこなう会員制の保険医の団体である。結構役に立ち、社会にも貢献しているが、共産党系であり、医師にはあまり賛同をえられないような共産党の主張をそのままHPに載せていることなどちょっといただけないところもある。そして保険診療に関しては、絶対堅持の立場である。

さて本題に戻って特区がどのようなものかと言えば、通常の薬や治療法が、長期間の審査を経てやっと認可されるのに対して、ある程度の規模の基準に合致した病院において、短期間のより簡便な審査で混合診療という形でおこなうことができるようにするというものである。
これに対して、政策部長が言っている話は、先進医療は厳密な審査をおこなってからするべきものということで、人体実験的な治療は許されないということを言っている。ただおそらく本音としては、導入された先進医療がそのまま保険診療として認められずにずるずるいくことを危惧しているのであろう。実際、これでおこなわれた治療のデータが、治験としては利用できないという話は、そう考えるに足る話であろう。

新薬や新しい治療法の問題は、認可に莫大な費用と時間がかかること(時間は費用にも関係する)である。開発した薬の認可を受けるための費用は莫大なので、認可に失敗すれば企業自体が消滅する危険があるくらいと言われている。結果として巨大企業でなければ開発が困難になり、それが独占寡占につながり、過剰な利益を貪ることになろう。
以前より国は消費者の代表として、製薬業者と安くする交渉をおこなうべきだと私は主張しているが、国が治験の問題を軽減することにより、薬の価格を下げることができるかもしれない。独占により暴利を狙っていないのであれば、Win-Winの関係となるだろう。
ただし、金を払った上に実験材料になるというのは、いささか問題がある。本来ここは、保険からか、広く製薬会社から費用を取るというのが筋であろう。

以前医療裁判の話で議論した時に、通常の臨床自体が、人体実験的な要素があることを説明したことがある。他に打つ手のない患者は、新しい治療法を一日千秋の思いで待っている。だから政策部長の話はこの点に関しては全く賛成できない。ただし、これが保険診療として認められる方向に向かっていないという点に関しては、その通りで是正されるべきであろう。そして切羽詰った患者から、費用を回収するという姑息的な手段も気に食わない。前述の通りとりあえず製薬会社に出してもらう(どうせ薬が売れれば回収される)という手もあるが、どうどうと保険料から取ればよい。そう主張せずに、これを財源の横流しなどと表現するのは、経済の循環を理解できずに、御馬鹿な破綻論者の主張をどこかで信じているからであろう。政策を考える人間は経済を勉強し理解するのが義務であろう。