法人税とGDP | 秋山のブログ

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日経新聞に、法人税を10%下げればGDPが7兆円上がるという記事が出ていた。先進国において法人税減税がGDPを押し上げないことはクルーグマンも指摘していることで、私も以前詳しく考察している。いったいどんなカラクリなのかと記事を読んでみた。

資産の根拠は、351社(国内トップ1000社のうち解答が得られたもの)のアンケート結果ということだそうだ。詳細に関しては原文がないのではっきり言えない部分もあるが、海外に移転した生産部門等が日本に戻ってくるかららしい。
企業が海外に移転する時に重要なのは、その土地での需要、為替と為替によって割安になった労働力である。固定資産税も問題にはなるが、利益にかかる法人税(例外あり)はそれらに比べればずっと弱い要素だろう。アンケートを取れば、考慮する要素と答えもするだろうが、とても決定的な要因とは言えないだろう。手法がなくてやむを得ずという点はある程度認めるが、アンケートはデータとしてかなり弱いというのは、研究をする上では当たり前のことだ。
また、1000社のうちの351社というのも、とても統計的に意味のあるデータとはなりえないだろう。答えた企業、答えなかった企業、これらの間には、大きな違いがあることも当然予想される。

国として輸出企業を応援してもよいが、それを再分配する手段がなければそれは国全体のためにはならない。そしてその最大の方法が法人税であるのにそれを下げようというのは、全く本末転倒である。
法人税減税で先進国と途上国でその結果が大きく違うことは分っているし、何故そうなるかも不思議なことは何もない。経済産業省の官僚はいったい何を考えているのだろうか。