金融緩和と新興国への資金流入 | 秋山のブログ

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金融緩和によって新興国に資金が流入すると言われている(昨今起こっていることは逆で、金融緩和が縮小するという憶測で、資金が引き上げられているという話だ)。新興国への資金の流入によって、新興国がインフレになって問題だと金融緩和を批判するものもいれば、金融緩和の終焉で新興国経済が低迷するという主張もある。どういうことなのかちょっと検討してみよう。

金融緩和は、その国の証券の価格を上げてしまう。それは金利、配当を下げてしまうということと等価だ。お金の現物が手元にあって余っているから新興国へ向かうなどという説明を見ることもあるが、本当のところは条件のよい方へ向かう。さらに正確に言えば、条件がよいと皆が思う方へ早い者勝ちで移動する(美人コンテスト)ということである。

お金が入ってきてもそれが単に株価等を押し上げるだけならば、何となく金持ちになった気分で消費が上がるというわずかな効果しかないだろう。需要があっても設備投資のための融資を受けられずに困っていたところ、高い株価を担保としてより多くの融資を受けられるならこれはたいへんよい効果があるだろう。お金が入ってきてそれが成長に繋がるかどうかは、お金の流入が技術や設備の改善により生産性の増大(需要の裏付けのある)を引き起こし、その増大分の何割かを現地が享受できるかどうかにかかっている。つまり高すぎる実質金利や配当があると、成長になかなか繋がらないということになる。しかしそれが低すぎれば、今度は投資が入ってこなくなる。なかなか簡単ではないところだ。(ここを失敗すると韓国のように、配当を払うために借金を増やすことになるだろう)

資金流入によるインフレは、流入により通常途上国の通貨は高くなるであろうから、コストプッシュインフレの要素は低く、好景気、給与上昇に基くものであり、歓迎しない理由がない。工場に勤めるものの給与が増えて、彼らがより多く消費すれば、例えば肉でも魚でもなんでもいい。彼らが消費するものを売っている人間もより豊かになる。働いていない人間だけを切り取ってみれば、以前より悪くなる人間も出る可能性もあるが、勤労者からの再分配を以前と同じ率ですれば、それらの人にも恩恵があるのである。インフレが問題になるとすれば、途上国の社会の仕組みが整備されていないことに起因するものだろう(分配の整備、独占寡占からの防衛、バブル防止等いろいろ必要だ)。整備しないで門戸を開くことがおかしい(とはいうものの同胞を裏切ってまで私腹を肥やしたい人間がそれなりにいるのも確かだろう)。逆に言えば、途上国が社会の仕組みを整備すれば、大国の金融緩和は途上国を豊かにする(大国の条件が悪くなれば、途上国が支払うべき金利、配当も下がるはずである)わけで、途上国はあまり文句を言うべきでもないだろう。(出たり入ったりで揺さぶられるのはもちろん問題だ)