インカムゲイン課税と二重課税 | 秋山のブログ

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税のあり方を考える時に、重要な概念として二重課税というものがある。キャピタルゲインやインカムゲインに対する課税は、二重課税になるのですべきでないという主張も世の中にはある。何故そんなことが言えるのか考察してみようと思う。

Wikiにある二重課税の問題点を引用すると、
『二重課税の状態を放置すると、場合によっては担税力を超過する税負担を生じることもあり取引を行う者の利益が著しく損なわれるために経済発展の阻害要因となる』からということだ。

ここで重要なのは、ダメである理由があくまでも『担税力を超過する税負担』であるということだ。戦前の小作人に課せられた年貢のようなとんでもない負担ならば、二重でなくて単独でも悪影響があるであろうし、それぞれの負担が軽微であるならば、三重だろうが四重だろうが問題はないだろう。インカムゲイン課税を否定する主張を見れば(全てを検討したわけではないが私が見た範囲では)、何故二重課税がダメなのかということを検討した跡はなく、二重課税だからの一点張りである。

さてインカムゲインに対する課税を見てみよう。法人税が支払われた後の企業の利益の一部が株主に配当としてまわされる。総合課税か分離課税か選択して納税することになる(日本の株を所有するのは日本人だけではないので、全てを総合課税するのには無理があるだろう)。どちらにせよ企業の活動に対して株主がお金を得るまでに、法人税+所得税(もしくは法人税+分離課税)の2回税金を払っていることになる。しかしこれは本当に二重課税だろうか。課税される主体は、企業と株主で別々である。それを言ったら消費税だって、所得税で取られた残りで払うものなので二重課税になってしまうだろう。

二重課税だからインカムゲインには課税すべきではないという意見には、全く価値がないだろう。経済でもっとも重要なのは、実際の生産と消費であって、触媒である投資を過大評価するべきではないだろう。昨今見られる生産者、消費者から搾取するような配当から、搾取された分を取り返すのが税金である。その時のそれぞれの国の状況に応じて税率等適当に調整すべきだろう。ここで重要なのは、それらの増税が海外からの投資を抑制したり、海外への投資を促進したりすることを、過剰に気にするべきではないということだ。投資が必要な国、投資によって生産性が向上する国は、技術が劣っていて他から導入する必要のある国、設備を自前で作れず且つそれを輸入する元手がない国であって、日本には全く当てはまらないのだ。(日本の現行の、それから米国と取り決めている条約上のインカムゲインの税率は、低すぎると思われる)