ほとんどの人々の暮らしは悪化してきている。
P383
『これまで起こってきた事態を最も鮮明に物語るのは、今日、二〇代の若者たちが直面している苦境だ。。。(中略)。。。自己破産時にも免責されない学資ローンを背負った若者層は、将来の返済に苦労することを自覚しつつ、荒涼とした労働市場で良い働き口を探し求める。運よく働き口が見つかっても、期待どおりの報酬は手にできず、多くの場合、あまりにも低い賃金水準のせいで、親との同居を続けざるをえなくなるだろう。』
日本では少子高齢化のせいだと信じている人は多い。しかしそれはほんの部分的な要因に過ぎない。主たる理由は別のところにある。その理由についてはレントのところに以前書いた。
再度簡単に説明すれば、人々が生産するものに比べて、人々が手にするものが小さくなっていることと、人々が消費する際支払う代価が、大きくなっているのだ。(もちろん、需要不足で生産自体にも抑制がかかっている。そして悪循環に陥っている)
書籍の第一章には、米国において中下層の貧困化が四半世紀前より進んでいる状況がこれでもかというくらいに書かれている。
賃金に関する経過とその原因の引用はこちら。
P119
『たとえば、一九四九年から一九八〇年までの三〇年以上、生産性と実質時間給は同じ動きを示していた。しかし、一九八〇年を境に、突如として両者は乖離を
始めた。実質時間給はおよそ十五年のあいだ低迷を続けたあと、二〇〇〇年代初めまで生産性と同じペースで上昇し、その後はふたたび、ほぼ横ばいで推移した
のだ。このデータには次のような解釈が成り立つ。実質時間給の伸びが生産性の伸びを大きく下回った期間は、企業経営者が組織内における”レント”の支配率
を高めた期間である、と。』
P351
『賃金が回復しはじめるやいなや、インフレのことしか考えていない中央銀行の理事は物価上昇を過剰に警戒する。金利を引き上げて金融を引き締めるものだか
ら、失業率は不必要なほど高いレベルに維持される。あまりに頻繁に、賃金の上昇が押さえ込まれ、結果として生産性は賃金の六倍の速度で成長してきた。。。
(中略)。。。最低賃金の上昇はインフレに追いついていない』
レントで高い料金を払うようになっていることの指摘はこちら。
P390
『彼らが設定する高い価格は、経済をゆがめるだけでなく、税金のようなふるまいをする。しかし、集められたこの”税金”は、公共の目的に振り向けられず、独占者たちの金庫の中に溜め込まれる。』
レントシーキングの一例としてのクレジットカード。
P82
『しかし、最も悪名高いレントシーキングの形態―近年になって最もみがきのかかった手法―は、金融界が略奪的貸付や濫用的クレジットカード業務を通じて、貧困者層と情報弱者層から大金を搾り取るというものだ。貧困者ひとりひとりはそれほど金を持っていなくても、大勢の貧困者から少しずつ巻き上げれば、莫大な儲けを手に入れることができる。』
P162
『アメリカ企業がクレジット会社に支払う手数料は、反競争的行為の一部を何とか抑えてきた国々より高い。そして、企業が背負った高いコストは、アメリカの消費者に転嫁され、彼らの生活水準を押し下げることとなる。』
消費税が上がる数%は、それほど目立たないかもしれないし、たいしたことがないと思って賛成している人も少なくないと思われる。それと同様に、消費税のようないろいろ細かいマイナスが増えていて、塵が積もって山になって我々の生活をおびやかしている。
(クルーグマンのダンピングに関する「弊害的なものであることを立証する十分な経済的証拠はない」という主張があるが、独占によるレントシーキングは巧妙で、うまく隠されているだけだと思われる)
これを改善するために、失業率に目を配り、正しい賃金、正しい価格がなされているか監視する必要があるだろう。ベストなのは市場を整えること、次善の策は独占(寡占)企業から法人税でもってきて再分配することだろう。