先物の愚2 | 秋山のブログ

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前回の続き。まずは参考ページ。
Wiki先物取引日本に先物市場は必要か?コメ先物取引を活性化させるには  、Wikiブラック・ショールズ方程式

先物市場のよい機能として価格調整機能があるとされている。Wikiではこうだ。
『価格調整機能とは、公開の市場で多数の参加者が競り合うことによって価格が決定されるため、理論上その時点での最も公正な価格が決められることを指す。特に商品先物の場合、先物価格を指標として生産者が生産調整を行うことがあるため、将来価格が高い場合は生産量が増えて結果的に価格が下がり、将来価格が低い場合は、逆の現象が生じる。このため、商品価格の乱高下が減り、価格の安定化をもたらすと考えられている。』
日本に先物~やコメ先物~でも、価格に関して、価格発見機能と価格平準化機能があるとしている。

価格発見機能に関してぐぐって出てきたページ。世界一やさしい~先物取引入門
そこでの主張はこうである。
『「適正な価格」とは市場が決めるものなのです。多くの人が売り買いをすることによりそのものの「適正な価格」というものが形成されます。』
『利害や立場の違う人たちの売買によって決定された価格であり、なおかつ商品取引所によって公表されたものということでも、透明性の高い「公正な価格」ということが理解できます。』
一見当たり前のことを言っているように見えるが、現実にはこれらは全く正しくないであろう。多くの市場をみれば、現物の取引ではない投機目的の取引の方がはるかに大きくなっていたりする。生産者でも消費者でもない情報をみているだけのゲームプレイヤーに左右される構造になっているのだ。そして投機者の判断は、情報に基く適切なものではなくて、勝ち負けを競うゲームのような得することに主眼をおいたものになる。

価格調整機能の理屈もおかしい。
需要と供給の調整に関する作用であるが、先に引用したWikiの生産調整のくだりは需給理論の絶対視に基く誤用だ。例えばあれだけ高騰した原油価格であるが、それによって生産量の変化はほとんどない。この作用は、あったとしても天候やら景気やら政策やら(そして当然仕手でも)の他の要素に比べて桁が違って弱い。きちんとした実証をみたこともないし、考慮する価値のないものである。

価格は生産者にとっても消費者にとっても安定していることが望ましい。生産性の変化やその他の事情によって価格が変化していくにせよ、急激な変化などもってのほかだ。ところが、投機家にとっての好ましい市場というものが、コメ先物~のページにあるように『価格変動がある』ものであることは否定しがたい事実だろう。つまり投機家の参入は生産者と消費者にとって本来矛盾するものだ。需給調整による価格の調整機能など現実ではまったく働いていないであろう。投機家が多い市場では、投機家の望むような変化になっていくだろう。