今ハ昔・昔ノお話  第一話  私の誕生(2)

  自叙伝でないが、子供の頃を思い出し記憶している事を書いて見ました。
 両親や親戚の人、近所のおじさん、おばさんに聞いた話など思い出してみた。

両親は従兄弟の家を出てから五時間一言の会話も無く唯ひたすら歩き続けていた。
お互い頭の中は今までの生き様が走馬灯のように蘇り、悲しみと入り乱れていた。
 母の背中の体温はどんどん子供に移っていく、それでもいい子供が蘇るのなら
母はどうなってもいいと思いながら、両手に連れている娘二人のことを考えると複雑な気持ちで、唯涙を堪えて歩くだけしか出来なかった。
 「かあちゃん、ねむたい、あしいたいよ」無理も無い休み休み来たとはゆえ、子供の足は痛くなってあたりまえである。休もうと道端にある砂利の山に座る。
砂利の山は道路の凸凹を補修するためのもので、砂利の山がちょうど背もたれになり娘二人は疲れ果て鼾を掻いて寝込んでしまった。
五月とは言え、山の気温は低い、荷物の中からたんぜんを出して着せる。
幸いにして天気がよく神に感謝したと言う。
月明かりの空に星が光り私達を励ましてくれていた。    つづく