約束の花たち | みつはしちかこオフィシャルブログ「小さな恋のダイアリー」Powered by Ameba

 

花を愛する人たちの家の前には今、色とりどりの春の花がまっさかり。
いっぺんに咲かなくても、小出しにして咲けば、ともったいない気持ちになるけれど、春まっさかりのウイーン少年合唱団だ。
チューリップ、水仙、パンジー、マーガレット、さくら草…私が名を知らない花もたくさん。

そういえば、あの細長い駐車場の藤の花、そろそろ満開では? あのお屋敷の垣根の野バラも?
と足を延ばしてみたら、藤の花の予感が的中。うすむらさきの霞をかけたように、見事な藤の花房が総並びして満開だった。藤の花房は皆、道路に向かって垂れている。これでは肝心の家にいる人たちには、後ろ姿しか見えないのではないか。ゆっくり歩きながら、余計なことを心配する。
毎年この藤を楽しみにしている通行人たちに見せることが、楽しみなお家なのかも。ありがとうごじました、のぞき魔ではなく、純粋な見物人です。

私が通らない横道の向こうが、何やら明るい。あそこに白い花が咲いている。
何の花だろう? と曲がっていってみる。高い石垣の上から、真白い花が噴水のように咲いている。
花の下からしばらくまじまじと仰いで、“きっとこの花は、白い藤だ”と見た。今はあちこちの藤の花が満開の時なのだ。

さて、あそこのお宅の垣根にぐるりと咲く野バラは? 行ってみると残念なことに、花はまだ咲いていない。よくよく見ていくと、ぶ厚いみどりの垣根の中に、白い小さなトンガリ帽子が見える。
野バラのつぼみだ。約束していないのに、約束のように“もうすぐ咲くわよ”と隠れている。“あと1週間くらいして、来てみて”そうだね、楽しみにまた来よう。

私の街のあちこちに、約束の花たちが咲き始めている。自粛中でも人気のない道を歩いて、秘密の再会をしよう。