あるブロガーさんのコメントに、不用意に資本主義なんて言葉を使ってしまって、生煮えこの上ないと反省しきり。 ほんのわずかでも親切味のあるフォローをしなきゃと思い立ち、この原稿を書き始めたというわけだ。

 

 例によっておおざっぱ大づかみの話。

 資本主義は拡大再生産を前提に成立している、というのはいかにもわかりづらいでしょ。 だからちょっと言い換えるね。

 

 投下した資本より、多いおカネが戻ってこなけりゃ、もう次からはそんなんヤメ、ってことになるよね。

 

 わき道にそれるけど、資本を「投下」するとか、病院で薬を「投薬」するとか、日本語はすんごい嫌味な上から目線の言葉が多いね。 んなもの投げられた日にゃあ当たり所が悪かったら人死にが出るだろう。 言葉は精神そのものだから、日本人はそういう国民性を持っているんだろうな。

 

 投資したおカネが増えて帰ってきて、その増えた分を再度投資するとね、また増えて帰ってくる、これが拡大再生産。 おおざっぱに言えばね。

 

 でね、おカネが増えて帰ってくるには、作ったモノが売れなきゃダメでしょ。 作っただけでそれを積んで置いたらおカネにはならない。 いまどきだと年長さんでもわかる理屈かな。

 

 投資するたんびに増えて帰ってくるおカネをまたぞろ投資するもんだから、モノはやたらたくさんできてくることになるよね。 どんどん売り先を開拓しなきゃならないわけさ。

 

 自分の住んでるところがモノであふれかえったら、となりだのそのまた隣だのに売りに行くんだけど、それを買うおカネがなけりゃ売れないから、おカネを稼がせる。 具体的に言うと、投資をしてモノを作らせて給料を払う。 この仕組みを考えたやつはアタマいいよね。

 

 少しカタい話をすると、植民地として政治的に支配して、現地生産をさせ同時に消費地として育てる、これを帝国主義というらしい。

 

 植民地や属国(衛星国なんていうマイルドな名前もある)が未来永劫そのままであるかというとそうでもない。 宗主国(親方)の真似をして自分のところより遅れているというか、給料の安いいわゆる途上国に投資をして同時に売り先にする。 その途上国も同じく真似をする。 これがずーっと続けば未来はバラ色だ。

 

 ここまで読んで、あああの題名はここで回収するのねと気づいた人はお友達だ。

 そう、資本主義というのはネズミ講そっくりなんだよ。 拡大再生産と消費の拡大が永遠に続けば〇〇ドリームは世界中で実現して、エブリバディ・ハッピー・ハッピーなんだけどそうはいかない。 どこかで頭打ちになる。

 

 またまた寄り道だけど、英語圏のドラマとか見ていると、この頃のやつはエブリバディ=Everybodyとは言わないね。 エブリワン=Everyoneと言い換えているのがほとんどだ。 Bodyという表現が人権的に問題視されたのかもしれない。 いろいろある外国(米国?)だけど、センシティブなのは歓迎だ。

 

 で、頭打ちになったアイテムをギョーカイ用語では成熟市場と呼ぶらしい。

 成熟市場は置いといて、新しいアイテムを開発する。 次々とね。

 だから世の中にはありとあらゆるアイテムが、こりゃどう考えても無理筋だろうなんて言うのまでがあふれかえることになる。 ルンバだかマンボだかいう自動掃除機なんかその最たるもんだと思うね。

 

 でもそこで引いちゃあ男が廃るってわけで、モノがだめならコトに行こう。 ええい、おカネそのものまで行ってみるか、というわけでデリバテイブとかレバレッジとかSFXとか、一層わけのわからないネズミ講が足の踏み場もないほど。 踊らされた一般人は死屍累々。

 

 で、ここが一番大事なところ。

 ネズミ講と寸分たがわないのは、一番初めにやったやつが大儲けするっていう原則。 後から入ったやつはカスばかり。 これをギョーカイ用語でトリクルダウンというらしい。

 

 ネズミ講、無限連鎖商法とかいうらしいけど、これはわが国では非合法だ。 ところが全く同じ仕組みの資本主義は、合法どころか世界共通の価値観であり思想でもある。 独裁社会主義政権の国々ですら取り入れているじゃないか。

 なんて頭悪い奴ばかりなんだろう。

 欲は人の目を(心の目)曇らせるのじゃ、と誰か言わないかな。

 あはははは。