ご隠居通信

ご隠居通信

爺が真っ向から言う


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 土曜連載小説 「捨てる神」

 第四十三回 減感作療法

 

 百貨店取引の納・返品は、専門の代行業者がメーカーと店舗をドアツードアで結んでいるので、入・出庫に際して誤差が出ることはまずない。 が、豊富産業のように取引先のほとんどが個人商店で、社員が商品を車に載せて地方まで持ち回るスタイルの場合、最も苦慮するのが在庫の管理だ。 大手なら入・出庫専門の部署と人員があり、伝票と現物を付き合わせる検品所を通さなければ商品を持ち出すことは出来ないのだが、中小ともなればかたちだけシステムがあったとしても実際はザルで、商品は持ち出し放題ということがままある。 独自に調査したことなどないが、営業人生の中で一度も自社の品物をごまかしたことが無いという、清廉潔白な人材はそう多くないように思える。 恋人や妻にちょっとしゃれたセーターを一枚とか、行きつけのフィリピンパブのおねえさんにブラウスをお土産、などというのはかわいいほうだ。 それに悪魔の囁きはいつも自分の中から聞こえて来るとは限らない。

 得意先の社長が―

 ―店舗面積十五平米、従業員一名の青色申告個人商店でも、誰でも 得意先は社長と呼ぶのが正しい姿だ―

 ―条件は通常掛け率六十パーセントの取引なのに

 

 「伝無しの三十パーで置いてかない? 純生で払うよ。」

 

 などという。

 納品伝票を切らずに半額にするなら領収書なしで現金払いをする、というオファーだ。 また、取引額の大きな店の場合、シーズン末期店頭に残った在庫品をバーゲンに向けて値引きする事がある。 在庫確認のために出張して棚卸を行うとき、その量を水増しして値引き伝票を起票し、差額の一部を店から現金でもらうなどという手の込んだやり方もある。 いずれも刑事告訴の対象であり、罪名は背任横領だ。 であるにもかかわらず、身近で誰それが逮捕されたというニュースはあまり聞こえてこない。 管理する側の人間が知っていてつい見逃してしまうのは、自分にも似たような経験があるからではないか。

 官僚や政治家、言い換えれば国家を牽引すべき者たちがやってのける、気宇壮大な不正には及びも付かないちまちましたスケールだが、悪事であるに違いはない。 するほうも見ているほうもけっして心地よい物ではない。 はずだ。 と思う。 たぶん。

 

 「ずいぶん前ですけど望井さんが、東京支店のメンバー同士で食事をしたり、社員旅行のようなものをするのに、会社からは予算が出ないからアルバイト代わりにやっているので大目に見て欲しいって、課長に言ったという噂を聞いたことがあります。」

 「確かに一部の社員とは頻繁に飲みに行ってるよな。 俺もその一人だ。 旅行には連れて行ってもらってないけど。」

 「やっぱりだいぶ前に、社員旅行やろうって望井さんが言い出したんです。 でも誰一人行きたいって言わずに、没になって…」

 「じゃあ俺たちだけでって?」

 「まあ旅行に行ったかどうかは分かりませんけど。 だから、横山さんが入社したときもてっきり同志を増やしたのかと…」

 「いや、きっとそのつもりだよ。 東京にいるときは毎日のように飲みに連れて行かれて、これまで一度も勘定払ったこと無いもの。 こっちも少し感覚が麻痺しかけたところだ。 これで借金の肩代わりでもされたら言うこと聞かないわけに行かなくなる。」

 「横山さん、借金あるんですか。」

 「たとえ話だよ。」

 

 巨大な利権を狙って高級官僚や政治家を落とすとき。

 敵対する政治勢力の内部に内通者をつくるとき。

 頭脳派のヤクザが大手金融機関に食い込むとき。

 テレビ局が視聴率を上げようとするとき。

 相場の末期、一般投資家にババ株を掴ませるとき。

 業界の違いはあっても、人を篭絡する手口は皆同じのようだ。 最初はごく弱い刺激を与え、次第にその回数を増やしながら電圧の目盛りも徐々に上げていく。 気が付けば獲物は、一気に受ければ間違いなく卒倒するだけの電流を平然と、髪の毛を逆立てることも無く通過させている。 傍から見れば不気味な光景なのだが、本人たちにはそれが当たり前。 周りが鈍に思えることこそあるが、反省・更正など埒外のことだ。 感覚は決定的に麻痺している。

 しかし、ところで、このメカニズム、アレルギー対策の減感作療法や、インフルエンザワクチンなど予防注射の効く仕組みにも酷似している様に思えるのだが、どうだろう。 実は自然界普遍の真理なのだろうか。

 

 続く


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松島の友人から

今年も

牡蠣が

届いた (梱包は小さいが 中身はみっちり)

 

 

今回は

洋風にしてみよう

 

 

ホタテと合わせて

バターでソテー (少し韻を踏んでる?)

 

 

みじん切りにした玉ねぎ

マッシュルーム

皮を剥いた茄子 を

よっく 炒める

 

 

帆立と

牡蠣を

耐熱容器に並べ

 

 

牡蠣とホタテから出た汁と

ホワイトソース (市販品) を合わせ

ひと煮立ち

 

 

耐熱容器に移し

 

 

チーズをたっぷり

 

 

オードブルは

殻つきの

生牡蠣

サラダ仕立て

 

 

グラタンを

熱々に焼けば

出来上がり

 

ワインは辛口の白

サンセール

 

真上から

見てみようか

 

 

どうよ


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 土曜連載小説 「捨てる神」

 第四十二回 二つの財布

 

 「本当に何も知らないんですか、横山さん。」

 「え、どういうこと?」

 

 木村の行動にまったく不審を感じない訳ではなかった。 むしろ腐臭に近いものを嗅ぎ取っていたといっても良い。 横山も来年で満の厄年、勤めた会社は豊富産業で四軒目だ。 いいかげん世間の裏側も目にしている。 だがそれを見ぬ振りして単細胞体育会系を貫くのが憂き世の知恵というものではないか。 横山にも学習能力はある。

 

 この話題を取り扱うには時間も無い、場所も悪いということで、終業後喫茶店で落ち合うことにし、二人は早々に売り場に戻った。 気分転換にはもってこいのとんでもない混雑だ。 脳は手足に運動系の信号を出すのに手一杯でほかの何かを考える暇もない。

 

 言うまでもなく、精神が肉体に及ぼす影響には計り知れないものがあるのだが、それでも事実肉体は精神を凌駕する。 ランナーズ・ハイという言葉でも知られているように、極限に向って身体を追い込めば、脳はベータ・エンドルフィンだのエンケファリンなどという強力無比な麻薬を自家生産し、苦痛や挫折を一掃してしまう。

 気合だっ、とまなじりを決しても、精神力で脳内麻薬は分泌しない。 人工的な薬物を使わずに健全な心身を年間通して維持したいなら、運動、中でも肉体労働が一番だ。 叶う限り身体を動かしてさえいれば、百八あるという煩悩とも無縁でいることが出来、おまけに収入にもつながる。 理論上は。

 

 閉店後、半ば恒例となった木村からの誘いもなく、奥村とは海老原千里のときと同じ珈琲館で待ち合わせた。 他に喫茶店がないわけではないが、この店が照明も明るすぎず落ち着いて話をするには最適だ。 コーヒーも美味い。 長時間の作り置きで酸化したものをお湯で薄めてアメリカンなどと命名したりしない。 自家焙煎した豆を客の注文を受けてから一杯ずつサイフォンで入れる良心的な店だ。

 

 「本当に横山さん何も知らなかったんですね。 僕たち、てっきり仲間をもっと増やすために木村君と望井さんが結託して入社させたのかと思ってました。」

 「仲間って、あの他社の製品を売ってる?」

 「そうです。 昨日も今日も、望井さんあっちへ行ったりこっちへ来たり落ち着かなかったでしょう。」

 「そう言えば、確かに。」

 「課長やマネジャーと一緒に居たくないんです。 もし何か言われたらどうしようって、あの人実際はすごく気が小さい人だから。」

 「で、企画の部屋で売っていたのは―」

 「知り合いの工場だか問屋から借りた商品でしょう。」

 「会社とは全く関係なしに?」

 「もちろん。」

 「売上げの歩合を丸々ポケットに入れてるわけだ。」

 「そうです。」

 「山分け?」

 「木村君のほうが多いんじゃないですか。 全部仕切ってるのは彼で、望井さんはそれに協力してるってかたちだから。」

 「結構な金額だよね。」

 「何パーセントの掛け率で借りているか分かりませんけど、仮に三十として売上げが二日間で一千万なら三百万。」

 「年に二回で六百万。」

 「徳の市だけじゃありません、普段営業で回るときも半分以上は他の商品積んでいくんです、二人とも。」

 「課長やマネジャーは知らないの? そんなことないよね。 ああやって堂々と企画の部屋を使っているんだから。」

 「ずっと見て見ぬ振りです。 聞いたわけじゃないけど、会社の商品横流ししてる訳じゃないから、とか考えてるんじゃないですか。」

 「確かに実害がないといえばそうだけど、それにしても…」

 

 木村の、別の財布がおぼろげながら見えてきた。

 横山を頻繁に飲みに誘う理由も…

 

 続く


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国会で

水道事業の民営化 をしやすくする法案が通る。

最低だ。

 

人が生きていくうえで 欠かすことのできない 水 を 民営化=商業主義での運営 をさせるというのだ。

 

コンビニを見るが良い。

コンビニエンス=利便性 ストアという名前=概念 を かなぐり捨てて採算の取れない店舗は 出店後一年も経たずに撤退する。 これが企業の本質だ。 このような企業論理に 水 を委ねてよいのか。

 

水道を民営化した結果 貧困層に清潔なミスが供給されなくなった例は 枚挙にいとまがない。

(参考:モード・バーロウ著 ウォーター・ビジネス 作品社刊)

 

世の中には 商売にしてはいけないアイテムが いくつかある。 たとえば 空気 だ。 呼吸するのに 課金される社会を あなたは許せるだろうか。 水も同様だ。 それらは 生命に 直結している。

 

見逃してはいけない。

 

メディアの取り上げ方が小さいからと言って スルーしてはいけない。


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後の後悔

先に立たず

 

糸を張ってしまった

もう後には戻れない

 

 

まあ

織るのは

単純作業だ

 

足を踏みかえ

緯糸を入れる

その繰り返しだ

 

 

思っていた

 

緯糸は

綿のテープと メタリックな 金

華やかだろう?

 

美しい限りの

経糸

 

細くて

切れる (写真にならない)

 

滑るので

きつく結んだ根元が

ゆるむ (写真にならない)

 

で 

手元が

たるむ (写真にならない)

 

そのたびに

SOS

SOS 

 

ピンクレデイー じゃない

っつうの!!!

 

苦節

数日間

やっとできた

 

 

幅 約三十三センチ (一尺)

丈 約百八十センチ (五尺八寸) の

ショール

 

 

ね!!!

門前の 爺 でも

濃厚な指導があれば

出来る!!!

 


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 土曜連載小説 「捨てる神」

 第四十一回 爆売り

 

 土曜日。

 快晴。

 二日間行われる徳の市初日。

 

 横山は千里のホテルから出勤した。

 昨日の夜、千里の部屋でシャワーを借り汗を流した後、別種の汗を二度もかいたので、そのまま帰るとあの舌鋒鋭い神様に何を言われるか不安でならなかったのだ。

 

 集合時間より三十分以上も早く着いてみると既に木村が出勤しており、商品企画部の入っている部屋に大量のダンボールを運び込んでいる。忙しそうに手伝っている男たちはどれも見知らぬ顔だ。

 

 「おはようございます。」

 

 声をかけると全員がいっせいに振り向いた。

 

 「あ、おはようございます。 早いね横山さん。」

 「商品搬入? 企画の部屋も使うんだ。 手伝うよ。」

 「こっちはいいから、向こうの、営業のほうの仕事して。」

 「まだ誰も来てないんだ。 こっちは企画のメンバー出てるの?」

 「いや、企画はカレンダー通り休み。 コーヒーでも飲みます?」

 

 木村は企画のオフィスに背を向け、荷物用エレベーターの脇にある自動販売機のほうへと誘う。

 

 「横山さん、徳の市は初めてでしょう。」

 「うん、でも社販はどこのメーカーでもやるからね。」

 「そこらの社販なんか問題じゃない、ものすごい人出で。それだけでもTOCに場所借りた甲斐がありますわ、ほんと。」

 

 普段はあまり力仕事が好きではなく、上手く他のメンバーに押し付けて自分はデスクワークをしたり、さっさと営業に出掛けてしまう木村が、この日に限ってワイシャツが透けるほど汗をかいている。 顔が桜色に上気しているのは興奮のせいもあるのだろうか、話す言葉もテンポが速い。 いつもはことさらゆっくり話し、老成した雰囲気を出そうとしているのに、まるで少年のように溌剌としている木村を見るのは初めてだった。

 

 人は誰も本当に望むことをしている時輝いて見える。

 逆に言えば、人が輝いている時近くを見渡せば、必ずその者が心底望む物が見つかるということだ。 木村が心の底から渇望して止まないのはもちろん、ダンボールを運ぶ労働の喜びなどではない。 そのあと手にする報酬だった。

 

 木村の言葉どおり徳の市の客動員力は驚嘆すべきものだった。 普段はただ無闇に広く感じるエレベーター前の通路も、その七・八メートルはあろうかという幅いっぱいに女性客がひしめいている。 男性は数えるほどしか見えない。 そしてなんと客の流れには切れ目がないのだ。 開店の十時直後から夕方六時を過ぎるまで、人の波が間断なく寄せてくる。 中年女性のエネルギーは計り知れないものがある。 計測すれば中型の津波に匹敵するに違いない。

 レジは一日中、過熱するかと思うほど休みなしに動いた。 ドロアーに万札が収まり切らず、スーパーのポリ袋に押し込まれる。 日が暮れてやっと床面が目に入るようになり、八時を過ぎて最後の客を送り出すと、全身に充満していたアドレナリンも引き潮のように去って行き、かわりにそのまま床に座り込みたくなるほどの虚脱感が襲って来た。

 

 二日目は初日の八掛け。 とは言え大変な人出だったが、何とか座って昼食をとることが出来た。 大阪本社から応援に来た課長とマネジャーを含めて八人が、二人ずつ入れ替わりに事務所の隅で弁当を食べる。 そもそも昨日は弁当など用意しておらず、立ったままコンビニのおにぎりを二つかじっただけだ。

 

 「いやあ、ほんとにすごいね。奥村君なんかまだ若いから平気だろうけど、俺はもうよれよれだ。」

 「横山さんあっちに行かなくて良いんですか。」

 「企画の部屋? あっちは木村君が全部やってるみたいだよ。 企画のほうで別枠の商品を手配したか何かじゃないの。 昨日見たけどうちの商品じゃないもの。」

 「本当に何も知らないんですか、横山さん。」

 「え、どういうこと?」

 

 続く


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門前の小僧

習わぬ経読む

などという

 

隠居は

毎日のように

妻が 機を織るのを見ていても

 

一人で出来るようにはならない

濃厚な指導

が必要だ

 

今回も

その濃厚な指導を受けつつ

妻のために

ショールを

織る

 

ことにした

のは良いけれど…

 

 

選んだ糸は

髪の毛よりも細い

組みひも用の 絹糸

 

美しい!!!

 

筬 (おさ) という道具

糸を整理し 密度を決め 打ち込む

 

その羽に 一本一本 糸を通していく

 

 

細くて絡まりやすい極細の絹糸

長さ 約二メートル半

四百本弱

 

初心者がねえ

妻が言った意味が

分る

 

数日間の後

筬に通した糸を

機に 架ける

 

 

美しい

 

 

綜絖 (そうこう) という部品

経糸を あげたり下げたりする

 

 

これに

糸を 一本一本

通す

 

必死にやって

一日で終わらせた

 

 

次は

からまった糸を

一本一本 さばいて

伸ばす

 

 

美しい 細い 光沢のある 糸が

からまって ほぐれない

 

 

数日後

 

 

さばいた糸を

巻き取り

 

これで

織り始められる

 

後悔先にたたず


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録画しておいた

自衛隊の宣伝番組 (民放だよ) を

観た

 

陸上自衛隊

16 (ヒトロク) 式 機動戦闘車

というのがあって

キャタピラではなく

タイヤ8本で

時速100キロ

出る

 

他は戦車と全く同じ

びっくりした

 

もっとびっくりしたのは

海上自衛隊の 5か月にわたる

新幹部 遠洋航海訓練

出航の合図は

なんと

あの 「軍艦マーチ」 だった

 

艦内の張り紙

「真水の一滴 血の一滴…

これは分る

その脇に

…海軍省」

とある

 

海上自衛隊の中で

時間は止まっているのだろうか

それとも

自衛隊全部が

時間の流れとは 無関係なのだろうか

 

隠居

びっくりした

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