子供のころを思い出してください。

 小さなころは何をやってもまわりの大人たちは上手だねえとほめてくれます。 例外はもちろんあるでしょうが。

 

 それが、保育園・幼稚園から小学校へと進むにつれて褒められるばかりではなくなってきます。

 

 子供は褒められたり叱られたり、大人たちの評価をもとに良いことと悪いことという判断=価値観を身に着けていきます。 俗な言い方をすれば、大人の顔色をうかがって大きくなるのです。

 

 私たちは生まれたその時から、ほかのひとたちの評価に頭の先からつま先目でどっぷりと漬けこまれているといってもよいでしょう。

 

 そして中学校から高校大学へと評価の厳しさは増すばかりで、テストの成績の良しあしが人格の高低と混同される場合まで目にすることになります。

 

 もうそのころには、他者から評価されることに異議どころか疑問すらさしはさめない習慣を身につけてしまっています。 

 

 教育は知識や考え方を与えるとともに、他者の評価からは逃れることができないという間違ったありかたを、私たちに埋め込む側面を持っています。

 

 そして、高い評価を得ることが大事なのだと刷り込まれた若者たちが社会に出ると、さらに厳しい順位付けの中に放り込まれることになります。

 

 年齢や経験を重ねて他者を評価する立場になれば、その価値観はますます強固なものになっていくに違いありません。

 

つづく