<2026年2月6日・加筆修正>
体験記1~3 は、前立腺がんと診断され、どの治療にするか、悩んでいる人のために書いたものです。
本ブログの結論は、『副作用・QOLを考慮し、かつ 論文を根拠にしたEBM(Evidence-Based Medicine 科学的根拠に基づいた医療)は、中間リスクまでなら 小線源単独 または 外照射併用小線源、高リスクは トリモダリティ療法』です。
わかりやすく言えば、「再発する人の多くは高リスクですが、しかし、真実は、「高リスクだから再発する」というよりも、「治療法の選択を間違えているから、無駄に再発してしまう」、つまり、「もし、高リスクの人が、論文の治療成績に基づいて再発率の低い治療法、たとえば、岡本圭生医師によるトリモダリティをしたら、低・中リスクとさほど変わらない5%未満の再発率になる」ということです。
私は、現役時代、first author として英語で国際誌に論文を書いてきた者ですが、その経験で言うと、医学の論文は、基礎医学系は質の高いものが多いのに、臨床系のほうは、裏にスポンサーが張り付いていることが多く、質の低い(信頼性の低い)論文がけっこうあります。
「論文」といっても、ディオバン事件のように、信用できないものが少なからずある、ということです。
驚いたことに、2016年版・前立腺癌診療ガイドライン(日本泌尿器科学会編)にも、一部、信用できないところがありました。ガイドラインは、泌尿器科医にとっては教科書みたいなものですので、その内容に非科学的な部分があるのは、とても残念なことです。
わかりやすく言えば、「ガイドラインに非科学的な部分があるのに、それを「科学的」と信じている主治医」の言うがままに治療をすると、あなたの再発率が 一ケタ 上がってしまう可能性大 ということです。
(もし、ガイドラインの内容のすべてが科学的に信頼できるものであれば、チビ太のブログは作っておりません。作る必要がないからです。)
本ブログの結論は、信頼性が高いと思われる論文を基に導き出したものです。
どうぞ、ご安心ください。
体験記4~7 は、私のトリモダリティ体験記(cT2cN0M0、グリ-ソンスコア 9(4+5)、陽性率59%)です。
主治医は、岡本圭生医師(石田記念・大阪前立腺クリニック院長)(元・滋賀医科大学特任教授、宇治病院)です。
私は、「主治医が勧める治療法」とか「みんながしている(主流の)治療法」ではなく、「論文の治療成績」を根拠にして、すなわち、岡本医師の論文に記載された治療成績を根拠にして、「小線源」を選択しました。
元・インテル社の社長 アンディ・グロ-ブ氏も、同じく、論文の治療成績を基にして、「トリモダリティ」を選択しています(後述)。
なぜなら、論文の治療成績こそEBMそのものだからです。
わかりやすく言えば、EBMで、「治るか、治らないかが決まるから」「再発するか、しないかが決まるから」です。
そして、EBMは、私たち患者の「心の命」も救うから、すなわち、「再発の不安(PSAノイローゼ)」からも解放してくれるからです。再発の不安があると、食べ物の味がしなくなります。世の中も、「カラ-→モノト-ン」に見えてきます。
体験したら、わかります。
「体験記 4」には、「私」という一例ではありますが、(一例なので、統計学的には、あまり足しにはなりませんが)、これからも、診察のたびにPSA値をアップロ-ドして参りますので、私の決断(前立腺癌診療ガイドラインを無視したこと、そして、前医が提案した「全摘」をお断りして、治療成績を基に小線源を選択したこと)が 正しかったのかどうか、どうぞ、ご判断ください。
私は、グリ-ソンスコア(GS)が9である上、陽性率が59%もあり、NCCNでは、「超高リスク」に分類されます。
しかも、私の「5」は、「solid pattern」という 同じ「5」の中でも、もっとも悪性度の高い「5」です。
極悪な低分化がんなので、再発する可能性がきわめて高い 悲惨な患者です。
そんな私ではありますが、おかげさまで、今も、再発しておりません。
治療が終わってから2年になりますが、PSA値は、なんとか 0.1 ng/ml 未満を維持しながら現在に至っております。
その間、「再発の兆候か!?」と動揺した時期もありましたが(後述)、幸いなことに、今は、終息し、安定しております。
チビ太のブログを開設したのは、トリモダリティの治療が終わって3ヶ月ほど経った頃でした。
それから、幾度となく加筆修正を重ねて参りました。
これからも、PSA値や副作用の報告だけでなく、最新の知見などもアップして参りたいと思っております。
長いブログですが、どうか、最後までおつきあいください。
<<<お願い(はじめに)>>>
(1)ブログを立ち上げた動機は、「恩送り」と「義憤」
<1>恩送り
私が がん宣告を受けて、不安と恐怖にさいなまれているとき、HP「じじ..じぇんじぇんがん」の著者であるichiさんに励ましていただき、そして、たくさんのことを教えていただき、ものすごく心が救われました。
ichiさんの存在は、私の心の支えでした。
命の恩人です。
心より感謝 申し上げます。
その「恩送り」を、「前立腺がんと診断されたすべての人にしたい」、そして、「無駄に再発している人を減らしたい」という思いでブログを立ち上げました。
恩送りとはいえ、「じじ..じぇんじぇんがん」というすばらしいHPがあるのに、なぜ、わざわざ、チビ太のブログを立ち上げたのか、そのもうひとつの動機は、「義憤」です。
<2>義憤その1
義憤の1つ目は、「あなたの主治医が再発率の低い治療 (または、あなたにとって最適な治療) を提案しているとは限らない、という現実があること」です。
どうか、驚いてください。
前立腺がんの治療においては、主治医の提案する治療がEBMとは限らないのです。
さて、世間では、「前立腺がんは、進行が遅く、おとなしいがん」と言われているのに、全世界平均で、40%~60%もの人が再発しています(Tisseverasinghe S Aらが、2018年の論文で報告しています)。
根治をめざして治療したのに、約半数の人が再発しています。
ここで再発の話をすると、「がん宣告をされたばかりなのに、なぜ、再発のことまで考えなければいけないんだ?」と思うかもしれません。
でも、再発を甘く見てはいけないのです。
なぜなら、再発すると、がんの悪性度が上がることが多いため、根治 (がん細胞を死滅させること)が困難になり、かつ、精神的にも(食べ物の味がしなくなる、など)、身体的にも(薬の副作用が強い)、経済的にも しんどくなる(4万~12万円/月の出費)からです。
四重苦になります。
それゆえ、再発は、なんとしてでも、避けなければなりません。
その方法は、「できるだけ再発率の低い治療法を選ぶこと」です。
当たり前のことです。
ところが、前述したように、あなたの主治医は、「再発率の低い治療」を提案するとは限らないのです。
私は、この事実を知ったとき、非常に驚きました。
なぜなら、情報がかんたんに手に入る時代なのに、現場では、「無駄に再発してしまう治療」が提案され、そして、それが実行されているからです。
では、再発すると、どのようにやっかいなのでしょうか。
結論から先に言うと、
①再発すると、がん(再発がん)の悪性度が上がることが多いため、より治りにくくなる(より根治が困難になる)から。
②治りにくくなる理由は、もともと前立腺がんは、抗がん剤が効きにくいがんだが、再発がんは、さらに効きにくくなることがあるから。
③もともと前立腺がんは、放射線にやや強いがんだが、再発がんは、さらに放射線に強くなることがあるから。
④再発の宣告は、がん宣告よりもショックが大きいことがあるから(鬱になる人もいるから)。
⑤再発後に使う薬は、副作用が強く、しかも、高価なため、高額療養費制度を使っても、毎月、4万~12万以上の出費となり、家計を圧迫するから。
ということです。
順に解説します。
再発すると、そのがん(再発がん)は、初発のがんよりも、悪性度が増していることが多いです(体験記4でも解説します)。
たとえば、長期ホルモン療法のあとで再燃した場合、(ただし、長期のホルモン療法は、根治のための治療ではありません)、より悪性度の高い「去勢抵抗性がん」(CRPC)が発生します。
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註:「悪性度が増す」とは、「浸潤・転移しやすくなる」、「進行が速くなる」、そして、「治療しても、がん細胞が死滅しにくくなる(放射線に強くなったり、抗がん剤を排出する能力が高くなったりして治療抵抗性が上がる)」という意味です。
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前立腺がんは、ほかのがんと比べると、もともと、抗がん剤が効きにくいがんです。
困ったことに、再発がんは、初発のがんよりも、抗がん剤(ドセタキセルなど)や新規ホルモン薬(イクスタンジなど)が効きにくくなっていることが多いです。
薬価も高いです(例:イクスタンジは、25~38万円/月)。
副作用も強いです。
たとえば、ドセタキセルの強い副作用を軽減するために、副腎皮質ホルモン(プレドニン)を朝・夕5mgずつ10mg/日も服用しますが、しかし、このプレドニンの副作用だけでも、感染症増悪や歯ぐきが下がるなど、相当なものがあります。
(私は、別の病気でプレドニンを服用したことがありますが、わずか1ヶ月間の服用だったのに、今でも、下がった歯ぐきは半分程度しか戻っていません。一般に、若い人は、副作用からの回復は早く、かつ、元に戻りやすいですが、高齢になると、回復は遅く、一生、元に戻らないことがあります。)
また、前立腺がんは、ほかのがんと比べると、もともと、放射線に強いがんです。
外照射は、二次元照射→三次元・原体照射(3D-CRT)→IMRT→SBRTへと進化してきましたが、これは、前立腺がんを死滅させるのに強い放射線が必要だからです。
外照射で再発するのは、線量が足りなくて、生き残ってしまうがんがあるからです。
その生き残ったがん細胞が増殖を始めると、PSAは上昇します。PSA再発(生化学的再発)と言います。
PSA再発したら、まずは、ホルモン療法で対処しますが、しかし、その再発がんは、悪性度が増していることが多いため、初発のがんよりも効かなくなっている、つまり、短期間で再燃する可能性があります。こうなると、次は、新規ホルモン薬か抗がん剤による治療となりますが、再発がんは、さらに効きにくくなっている可能性があります。
全摘後にPSA再発した場合は、救済放射線治療ができますが、再発がんは、放射線に強くなっている可能性があります。実際、救済放射線治療をしても、10年後には、64%の人が再々発します。
精神面では、「再発の宣告は、がんの宣告よりもショックが大きい」ことがあります。
なぜなら、一度、再発すると、「また、再発(再々発)するのではないか?」と、不安になるからです。
PSAノイローゼです。
鬱になる人もいます。
なぜなら、24時間365日、がんのことが気になり、食事や旅行が楽しめなくなるからです。
でも、再発の少ない治療を選ぶ方法は、かんたんです。
それは、アンディ・グローブ氏(元・インテル社長)がやったように(体験記 2)、治療成績を比較するだけです。
たとえば、あなたが『cT3aN0M0、グリーソンスコア8、陽性率30%』であれば、このステージ(病期)における、全摘、放射線外照射単独、ホルモン療法併用外照射、粒子線、ホルモン療法併用粒子線、小線源単独、外照射併用小線源、トリモダリティ療法などの治療成績を比較し、その中で、一番、再発率の低い治療法を選択する、ただそれだけです。
しかし、治療の現場では、こういう合理的な選択がおこなわれていないのです。
これでは、再発する人が多くなって当然です。
それも無駄な再発です。
義憤です。
<3>義憤その2
義憤の2つ目は、日本泌尿器科学会編集の2016年版「前立腺癌診療ガイドライン」の一部に「EBMでない内容(非科学的な内容)」があることです。
義憤です。
私は、数十本、査読のある国際誌に英語で論文を書いてきた者ですが、「ガイドラインの編集委員(泌尿器科医)たちは、英語で国際誌に論文を書いたことがないのでは???」と疑いたくなります。
なぜなら、ガイドラインの一部に、世界共通の科学的方法論に反している ところがあるからです。
もし、私が referee なら、accept しません。reject です。
その理由は、論文の引用の仕方が科学的でないこと(岡本圭生医師の論文を無視していること)、そして、小線源治療を不当に(非科学的に)低く評価していることです(詳しくは、後述します)。
もし、「ガイドラインの非科学的な内容でミスリードされた医師」が、良かれと思って、再発率の高い治療を患者に勧めているとしたら、現場の医師たちも犠牲者 ということになります。
藤野邦夫氏も、著書「後悔のない前立腺がん治療」潮出版社(2019年7月5日発行)の中で、「ガイドラインの医師たちが、製薬会社から金銭を受け取っているとは思いませんが・・・」と前置きした上で、「(ガイドラインの内容は)、世界の医療界の趨勢に反する」と疑問を呈していらっしゃいます。
さらに困ったことに、各大学医学部のHPや市販の解説本も、(藤野邦夫氏と安江博氏の本を除いて)、「前立腺癌診療ガイドライン」と同じ論調です。
さて、さきほどの「前立腺がんは、おとなしくて、進行が遅い」という表現は、悪性度が低い人(低リスクの人)に当てはまることです。
すべての前立腺がんがおとなしいわけではありません。
たしかに、前立腺がんは、罹患数(前立腺がんと診断された人)は多いのに、死亡数(前立腺がんが原因で死亡する人)は少ないです。その理由は、前立腺がんと診断された人の30%~40%が、おとなしいタイプのがん(低リスク)だからです。
低リスクの前立腺がんは、誤解を恐れずに言えば、「良性腫瘍のようながん」です。
実際、Rullisら1975年の論文、および、Sakr W Aら1994年の論文で、『前立腺がん以外の理由で亡くなった人の前立腺を病理解剖したところ、60%~70%の人に、寿命に影響しない前立腺がんが見つかった』と報告されているように、良性腫瘍とそっくりです。
グリーソンスコア(GS)が低い人ほど、一生、GSが変わらないことが多く、かつ、転移もしないことが多いので、たとえば、「PSA値が10以下で、かつ、GSが6以下の人」には、監視療法(治療をせず、定期的に検査をしながら見守る療法)が成り立つのです。
「一生、共存できるがん」だからです。
前立腺がん以外でも、1cm未満の甲状腺乳頭がんや4cm以下の腎臓がん、そして、一部の乳がんなど、共存できそうながんに対しては、世界的に、監視療法をする流れになってきています。
しかし、世の中には、「共存できないがん」もあります。
それが、多くの再発がん、そして、悪性度の高いがん(GSの高いがん)です。
こちらは、「共存できるがんとは別物」と思ったほうがいいです。
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註:前立腺がんは、ほかのがんと比較すると、総じて進行は遅いほうです。
しかし、中には、ごく少数ながら、前立腺小細胞がんのように、高齢者でも、数ヶ月で全身に転移してしまうようながんもあります。
「高齢になると、がんの進行は遅くなる」と思っている人がいますが、それは、まちがいです。
進行の速さは、基本、悪性度に比例します。
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要するに、「前立腺がんには、凶暴なものがある」そして、「再発すると、根治が困難になる」、だからこそ、「特に、高リスクの人は、EBMに基づいて(治療成績に基づいて)、再発率の低い治療を選ぶ必要がある」「しかし、ガイドラインの内容のすべてがEBMでないために、無駄に再発している人がいる」、そして、「無駄に再発する人が増えると、無駄に国民医療費も増える」ということです。
たとえば、全摘をすると、高リスク患者は、限局性でも、5年後の再発率は、30%~60%(局所進行なら、50%~70%)と、非常に高いですが、いまだに多くの泌尿器科医は、全摘を勧めます。
私も、高リスクで陽性率59%なのに、前医(国立病院)から、全摘を強く勧められました。
世の中には、岡本圭生医師によるトリモダリティという高リスクでも再発率が5%未満(中間リスクなら、1%未満!)の治療法があるのに、です。
前医がEBMをしていないとは、このことです。
もし、高リスクの人がEBMをすれば、つまり、岡本医師によるトリモダリティを選択すれば、再発率が「30%~70%」→「5%未満」へと激減します。一ケタ違います。
「現場の医師は、岡本圭生医師の論文を読んでいるのか!」と叫びたくなります。
(註:信頼すべき情報によると、「論文はおろか、最新のガイドラインすら読んでいない医師は、過半数超いる」そうです。実際、前医は、岡本医師の論文を読んでいませんでした。)
中には、皮膜外浸潤しているGS9の患者に、全摘を勧める医師さえいます。
これは、もはや論外です。
なぜなら、前立腺は、すぐ隣に膀胱と直腸があるため、広めに(皮膜外浸潤している場所を含めて広めに)切り取る、ということができないので、(しかも、こういう肝心なことが市販の解説本に記載されていません)、ダヴィンチを使っても、(全員ではありませんが)、多くの人が再発するからです。そして、高リスクほど、再発の危険が高いからです。
じつは、私も、初め、前医の言うがまま素直に治療を受けようと思っていました。
しかし、調査を進めていくうちに、インテルの元社長・アンディ・グローブ氏と同じ「不安」を感じ始めました。
その「不安」とは、ベルトコンベアに乗せられて、「再発」という闇の世界に連れていかれるような不安です。
不安が発生する原因は、どうやら、前立腺癌診療ガイドラインの編集委員(医師) および 現場の多くの泌尿器科医が陥っている「確証バイアス(confirmation bias)」にあるようなのです。
ここで確証バイアスの解説をします。
人は、誰でも、自分が信じていたことと違うことを言われると、「え-っ!そんなわけないでしょ!」と、感情的に反発したくなるものです。
ここから人は、2つの方向に別れます。
ひとつは、「では、なにが真実なのか、調べてみよう」と調査を開始する人です。こういう人は、確証バイアスとは無縁の人です。
もうひとつは、自分の思い込みを守ろうとする人です。
言い訳をしたり(自己防衛機制の合理化)、無視したり(自己防衛機制の抑圧)、あるいは、自分の思い込みを支持する情報ばかりを集めて(確証バイアス)、「ほ~ら、やっぱり、自分の考えは正しかった」という結論を導き出そうとする人です。
たとえば、「全摘が一番!」と思い込んでいる人がいるとしましょう。
こういう人に、「小線源治療なら、中間リスクの非再発率は、99.1%です」「副作用も、小さいです」と言うと、自分の人格を否定されたように感じて、不愉快になります。「プライドを傷つけられた」とムカつく人もいます。
一方、ムカついても、「では、どちらがいいのか、調べてみよう」と調査を開始する人もいます。科学的な態度です。
しかし、現実は、こちらは少数派で、「全摘が一番!」という自分の思い込みを守ろうとする人のほうが圧倒的に多いです。
「だって、そもそも、がんは、切って治すものだろう」
「全摘なら、リンパ節郭清ができるぞ!(註:全摘手術のとき、近傍のリンパ節も切除するので、リンパ節からの再発は回避できる、というアドバンテージは、確かにあります)」
「再発しても、救済放射線治療ができるぞ!チャンスは二度あるぞ!」
というふうに、全摘を支持する情報だけを集め、逆に、EDや尿漏れなど、ネガティブな情報は見て見ぬふりをして、
「ほ~ら、やっぱり全摘が一番でしょ!」
「主流だし」
「みんな、やってるし」
「小線源治療が主流にならないのは、なにか問題があるからでしょ」
と決めつけます。
こうやって、自分の思い込みを守るのです。
これが確証バイアスです。
しかも、こういう確証バイアスは、全摘治療を終えた患者にも言えることです。
同様に、クルマを買ったばかりのオ-ナ-にも言えることです。
全摘が悪い、と言っているのではありません。
あなたが買ったクルマが悪いと言っているのでもありません。
「人には、自分が決断・実行したことを、これで良かった、と思いたい願望」がある、ということです。
つまり、「全摘は、正しい選択だった」「このクルマを買ったのは、正解だった」と思いたい、という気持ちがあるため、無自覚に確証バイアスに走ってしまうことがあるのです。
確証バイアスは、次の3つの問題を発生させます。
1つ目は、自分に都合のいい情報ばかりを集めるので、情報がかたより、正しい判断ができなくなることです。
2つ目は、自己満足的な小さな幸せを守ろうとすると、大きな幸せ(もっといい治療、もっと自分に合うクルマ)を逸することです。
3つ目は、大きな幸せをのがしても、その損失に気がつかないことです。
たとえば、乳がんの治療です。
「全摘」と「部分切除+外照射」(乳房温存療法)は、どちらも生存率は同じ、という論文が出たのに、日本での導入は、欧米より10年も遅れました。
なぜなら、老教授たちが、全摘に固執したから、つまり、EBMを無視したからです。
老教授たちが退任して、ようやく若手が乳房温存療法を始めることができたのです。
老教授たちは、確証バイアスのせいで正しい判断ができず、乳房を温存するという女性患者の大きな幸せを逸したのです。
しかも、老教授たちは、自分の確証バイアスに気がつかなかったため、良かれと思って、定年まで全摘をやり続けました。
その10年間、無駄に乳房を失った女性たちは、さぞかし無念だったことと思います。
(偉そうにもの申している私ですが、確証バイアスのせいで、自分が選んだ「小線源治療」と「岡本圭生医師」を、過大に評価しているかもしれません。また、そのせいで反感をかっているかもしれません。深くお詫び申し上げます。)
確証バイアスは、医者も患者も、やってはいけないことです。
なぜなら、まともな話が通じない「がんこジジイ」になってしまうからです。
なにより、助かる命が助からなくなってしまいます。
どうか、そうならないよう、(私も含めて)、切にお願いいたします。
(2)本ブログを書くために引用した論文は、業界用語で「孫引き」したものもあります。どうか、お許しください。ホルモン療法の副作用が続いており、原著論文を読む体力がないからです。
また、前立腺がんに関する広範囲の原著論文を読んでいるわけではありませんので、自分の主張に都合のいい論文だけを集めている可能性があることも、ご了承ください。
(3)本ブログでは、多くは実名にしてありますが、敢えて、ぼかして書いたところもあります。
(4)本ブログは、私が勝手に師匠と仰ぐichiさんのHP『じじ..じぇんじぇんがん』を読み、その内容を理解していることを前提に書きました。
(5)「前立腺癌診療ガイドライン・2023年版」が発行されましたが、まだ、読んでいません。これもお許しください。
(6)私は、古希を過ぎた年金生活者です。どこからもお金をもらっておりません。
それゆえ、忖度なしでブログを書いています。
また、主治医の岡本圭生医師にも、忖度しておりません。そもそも、岡本医師は、私がこのブログを書いていることを知りません。それに、私は、岡本医師には、どちらかと言えば、好かれていないほうの患者だと思います。
(7)本ブログは、ときどき、加筆・修正しています。
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本論は、三部構成です。
第一部は、「言いたいこと」(もの申したいこと)、
第二部は、私のトリモダリティ体験記、
第三部は、私の治療後2年間の状態(副作用など)です。
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<<<本論>>>
第一部:言いたいこと(もの申したいこと)
(1)結論:治療成績 および 副作用・QOLを考慮した前立腺がん(T1~T3 および 一部のT4)の治療は、小線源治療が最適である。
その根拠は、次の{1}~{3}の3つ。
{1}外照射
外照射は、IMRTでも、がんを死滅させるのに充分な線量を照射できないため、つまり、線量不足のため、再発する恐れがある。
根拠:Stockら は、2006年の論文で、「10年後の非再発率が90%以上になるには、BED(生物学的実効線量)180~200Gyが必要で、BED200Gy以上あることが望ましい」と報告している。
しかし、外照射は、IMRTでも、BED156~180Gyまでしか照射できない。
なぜなら、これ以上、線量を上げると、深刻な副作用(尿道壊死、直腸穿孔など)が出てしまうからだ。
Abu-Gheidarら 2019年の論文によると、治療後10年の非再発率は、BED157Gy照射では、中間リスクは71%(うち、75%以上の人が半年間のホルモン療法併用)、高リスクは42%(うち、80%以上の人が半年のホルモン療法併用)だった。
ホルモン療法を併用すると、放射線の効きは良くなるが(ただし、ホルモン療法の副作用は強い)、それでも、中間リスクで29%が再発し、高リスクでは58%が再発する。
つまり、「BED157Gyでは、線量不足」ということだ。
前立腺がんは、もともと放射線に強いがんなので、死滅させるにはもっと高い線量が必要、ということだ。
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註:ただし、現在、SBRT(定位放射線治療)は、BED200Gyの照射が可能となっている。それに伴い、中間リスクまでの治療成績は飛躍的に向上している(後述)。
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註:IMRTの発展型であるVMAT、そして、そのVMATとSBRTを組み合わせた「VMAT-SBRT」など、いま放射線治療は、ものすごい勢いで進化しているので、外照射を希望する人は、ぜひ、最新の情報を調査してほしい。
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註:放射線治療にも、排尿障害、血尿、血便などの副作用がある。多くの解説本には、怖いことが書いてあるが、しかし、全摘と比較したら、その副作用は、はるかに小さいし、しかも、今のIMRTやSBRTであれば、かつてほど深刻ではなくなってきている。
また、放射線治療の場合、副作用の多くが可逆的だ。つまり、元の体の状態に戻る。体験したら、そのありがたさがわかる。
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註:私の例で言えば、外照射は、43.2Gyと低線量だったせいか、頻便、頻尿、排尿痛、切迫尿などの副作用は出たが、日常生活には支障のない程度だった。血尿、血便はなかった。
小線源(LDR)のほうは、退院した日の深夜に、15分間だけ(1回のみ)尿閉になったが(私の場合は、移行域にもがんがあったため、通常よりも尿道線量を高くしたことで、尿閉が発生している。通常のLDRで尿閉になることはない)、以後、尿閉になることは一度もなかった。
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註:なお、BED(生物学的実効線量)の算出は、α/β比を2.0にするか、1.8にするか、1.5にするか、で違ってくる。
1.8や1.5を採用すると、(この定数は、計算式では分母に位置するので)、2.0を採用した場合よりも、BED値が高く出る。岡本圭生医師は、2.0で計算しているが、1.8とか1.5で計算している病院もあるので注意が必要だが、しかし、患者側からすると、論文のM&Mを読まない限り、どちらで計算しているのか、わからない。
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{2}全摘
全摘手術(ロボット支援も含む)の治療成績も、放射線治療(IMRT)とほぼ同程度である。
根拠:全摘の再発率は、
低リスクの5年後、10年後の再発率は、 それぞれ、5%〜15%、 10%〜20%。
中間リスクは、それぞれ、 20%〜30%、 30%〜50%。
高リスク(皮膜外浸潤を含む)は、それぞれ、30%〜60% 、 50%〜80%。
T3b、T4になると、 それぞれ、50%〜70% 、70%〜90%。
である。
Hashimotoら 2015年の論文によると、ロボット支援による全摘手術の結果、5年後の再発率は、中間リスクは、34%、高リスクは、70%だった。
全摘の場合、次のようなアドバンテージとディスアドバンテージがある。
1つ目のアドバンテージは、画像に映らないような微小なリンパ節転移があっても、全摘手術の際、リンパ節郭清をする(リンパ節を摘出する)ので、再発を防止できることだ。たとえば、高リスクの場合、「画像的には、リンパ節転移はない」と診断されていても、実際に摘出すると、5%~20%の人のリンパ節に微小転移が見つかるので、これは、大きなアドバンテージだ。
2つ目のアドバンテージは、画像的に「精嚢浸潤はない」と診断されていても、実際には微小な浸潤をしていることがあるが、その場合でも、全摘手術のとき精嚢も一緒に摘出するので、精嚢からの再発はなくなる、ということだ。たとえば、GS8以上の場合、13%の人が、画像に映らないような微小な精嚢浸潤が見つかるので、これも大きなアドバンテージだ。
3つ目は、術後、PSA再発した場合、救済放射線治療ができる、というアドバンテージだ。
ただし、再発後に救済放射線治療をしても、5年後までの非再発率こそ60%弱だが、10年後は36%まで落ちてしまう。つまり、救済放射線治療をしても、10年後には、64%の人が再々発する、ということだ。
そのため、3つ目は、それほど大きなアドバンテージとは言えない。
それなのに、救済的放射線治療ができること、すなわち、「チャンスは二度ある」ことを根拠に全摘を推薦する医師が多いので、患者は、注意が必要だ。
なぜなら、 PSAノイローゼになる危険があるからだ。
全摘をして、やれやれと思ったのに、1年もしないうちに再発して大きなショックを受け、さらに、救済放射線治療が終わって、ほっとする間もなく、次の日から、再発(再々発)の恐怖におびえる日々となる。イライラもするし、食べ物の味もしなくなる。
PSAを測定したその日だけは、ほっとできても、次の日から3ヶ月間(次の測定日まで)、不安をかかえて生きるのは、かなり、しんどい。
なぜなら、人は、高齢になればなるほど、不安に弱くなるからだ。
ただし、性格にもよる。
再発しても、不安を感じない人もいる。
また、たとえ、PSA再発しても、GSが低く、かつ、生検の陽性率も低く、そして、陽性コアのがんの占拠率も低い場合などは、敢えて治療をせず、経過観察を続けることもある。
だが、私のように、怖がりな人は、たとえ、結果的に再々発しなかったとしても、生きた心地がしない。
全摘は、いいことばかりではない。
次のような深刻なディスアドバンテージがある。
まず1つ目は、皮膜外浸潤があっても、微小な浸潤は画像に映らないので「皮膜外浸潤なし」と診断されてしまうが、そういう人が全摘をすると、再発する危険が高い、というディスアドバンテージだ。
高リスクの場合、25%~30%の人に顕微鏡で見ないとわからないような(画像に映らない)微小な皮膜外浸潤があるので、これは、大きなディスアドバンテージだ。
前述したように、全摘手術においては、「少し大きめに切り取る」ということができない。
なぜなら、すぐそばに膀胱と直腸があるからだ。
前立腺は、全摘には(切って治すには)、「構造的に向いていない臓器」だ。
ただし、断端陽性があっても、100%の人が再発するわけではない。逆に、断端陰性と診断されても、再発する人が希ながらいる。だが、断端陽性であった人は、20%~40%の人が再発する。
こういう事情があるために、断端陽性を宣告された人は、術後、高い確率で「PSAノイローゼ」になる。
2つ目のディスアドバンテージは、EDと尿漏れという、2つの重大な合併症(副作用)が発生することだ。
EDにならない人もいるが、ほぼ絶望的(不可逆的)と思ったほうがいい。
なぜなら、勃起神経(神経血管束)を残すと、断端陽性になる危険があるからだ。再発防止のために、たいてい勃起神経ごと切除してしまう。(たとえ、勃起神経を残しても、あるいは、神経移植をしても、男性機能を維持できるのは3割程度と言われている)。
尿漏れのほうは、治る人もいるが、治らない人も5%~10%いる。深刻な人も、少なからずいる。そのせいで、温泉や日帰り入浴施設にいけなくなる人もいる。
また、たとえ、治った、という人でも、走ったときや階段を降りるときに尿が少し漏れてしまうことがある。
完全に元に戻る人は少数派なので、不可逆的な副作用と言っていいだろう。
さらに、将来、人よりも早い年齢で尿漏れが発生する、ということもある。
つまり、全摘をした人は、人よりも早い年齢から尿漏れパッドや厚手の専用パンツが必要になったり、あるいは、人よりも早い年齢で、共同浴場の浴槽内で本人が知らぬ間に(自覚のないまま)お漏らしをしてしまう、という副作用だ。
3つ目は、ペニスが体の奥にひっぱられて、見た目、短くなる、というディスアドバンテージだ。
これは、手術のとき、前立腺を摘出したあと、前立腺の下側にあった組織を引っ張りあげて膀胱(膀胱頸部)と縫い合わせるのだが、術後、じわじわと、その短くなった分(前立腺の長さの分)、ペニスが体の内側に引きずりこまれてしまうことで発生する。全員がこうなるわけではないが、よく知られた副作用だ。論文が出ているので、誰でも調べられるが、知らない泌尿器科医もいるようだ。
(医師は、患者の副作用には関心がないことが多いので、患者たるもの、自分で調べておく必要がある!)
1年くらいたつと、少し戻るが(少し長くなるが)、それでも、術前の長さまでは戻らない。
もし、ここで救済放射線治療をすると、組織が弾力を失って縮むため、ペニスが再度、奥にひっぱられて、また短くなることがある。
そのほか、鼠径ヘルニアや足のむくみ、直腸損傷、吻合部狭窄、吻合部縫合不全などの合併症が出ることがある。
全摘は、難易度の高い手術なので、これらの合併症(特に、尿漏れ)は、執刀医の技術により、そして、がんの位置により、左右される面があるようだ。また、ロボット支援手術は、出血が少ないとか、癒着がおこりにくい(開腹して、臓器が空気に触れると癒着がおこりやすくなる)とか、尿漏れしにくいなど、合併症(副作用)が少ない、という点では優れているが、しかし、治療成績のほうは、ほかの術式よりもダヴィンチのほうがすぐれている、というわけではない。
以上、全摘は、大きなアドバンテージはあるものの、深刻 かつ 不可逆的な副作用があり、治療成績のことも考えると、「全摘は、放射線外照射よりもすぐれている」とは言いがたい、と私は思う。
{3}小線源
小線源治療(LDR)は、前立腺がんを死滅させるのに必要な線量(BED200~237Gy)を照射できる。
冒頭で、「前立腺がんは、放射線にやや強いがんである」と述べたが、LDRなら、その強い線量で、 「がん幹細胞(Cancer Stem Cells)」も含めて、がん細胞を死滅させることができる。
副作用も小さい(後述)。
根拠:岡本圭生(おかもと けいせい)医師ら2020年の論文によると、中間リスクの場合、小線源単独、または、外照射併用小線源で、BED204Gy~221Gyの照射をして、非再発率は99.1%だ。
また、Itoら は、2018年の論文で、低・中リスクの2316人は、7年たっても、非再発率は90%を超えていた、と報告している。
高リスクでは、岡本圭生医師らは、2017年の論文で、トリモダリティでBED227Gy~237Gyを照射し、非再発率は95.2%だったと報告している。
しかも、再発した人の前立腺をMRIで調べると、前立腺からは再発はしておらず、骨転移からの再発だった。
この事実は、「前立腺内のがんは、完全に消滅した。しかし、治療前から画像に映らないような微小な骨転移がすでにあり、それが治療後に再発(再燃)した」、つまり、岡本圭生医師の腕とは無関係に再発していることを強く示唆する。
それゆえ、もし、治療前からの微小な転移がなかったら、非再発率が100%になった可能性がある、ということだ。
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註:なお、この2017年の論文によると、リンパ節から再発した人はいない。
この論文では、GS8以上の患者は96人いる。そのうち5人は、治療前にリンパ節転移が見つかり、骨盤内照射をしているが、残りの91人は、骨盤内照射をしていない。GS8以上の人は、治療前から、すでにリンパ節に微小な転移をしている人が5%~20%いるので、つまり、5人~18人は、治療前から画像に映らないような微小なリンパ節転移があると考えられるのに、不思議なことに、この5人~18人は、骨盤内照射をしていないにもかかわらず、誰もリンパ節から再発していない。
アブスコパル効果(abscopal effect)の可能性が考えられるが、しかし、当の岡本医師は、「アブスコパル効果ではない」と否定している。謎だ・・・
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後ろ向きコホート試験ではあるが、Kishan ら2018年によると、GS9~10の高リスク患者の治療においては、トリモダリティがもっとも効果的であった、と報告している。
この論文は、アメリカとノルウェーの病院における1809人を対象に、全摘、『外照射+ホルモン療法』、そして、トリモダリティの3群に分け、それぞれの前立腺がん死亡率、無遠隔転移生存率、全生存率を調べたものだ。
その結果は次の通り。
<1>補正後5年前立腺がん死亡率は、全摘が12%、『外照射+ホルモン療法』が13%だったが、トリモダリティは、わずか3%だった。
<2>補正後5年遠隔転移発生率は、それぞれ、24%、24%、8%だった。
<3>補正後7.5年の全死因死亡率は、それぞれ、17%、18%、10%だった。
以上、Kishan ら2018年の論文は、「全摘 および 『外照射+ホルモン療法』は、どちらも治療成績は同じで、つまり、統計学的に差はないが、トリモダリティは、全摘や『外照射+ホルモン療法』よりも、統計学的に有意に治療成績は良かった」ということだ。
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註:詳しく言うと、この論文における『外照射+ホルモン療法』の群においては、70Gy以上の照射と2年以上のホルモン療法を受けている患者は、全体の41%であるなど、『外照射+ホルモン療法』の群は、それぞれの患者で微妙に治療内容が異なるため、これら三者を単純比較はできないが、しかし、GS9以上の高リスク患者には、トリモダリティがもっとも効果的である、という事実はゆるがない。
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また、Stoneら も、2009年の論文で、「高リスクの場合は、トリモダリティをして、BED220Gyにするのが最も効果的である」と述べている。
さらに、Yorozu A らは、2023年の論文で、高リスク患者にトリモダリティをした場合、9年後の非再発率は、90%(全日本平均)だったと報告している。
(なお、ホルモン療法の期間は、6ヶ月と30ヶ月の2群あったが(非再発率は、それぞれ、89.6%と90.5%)、どちらも、統計学的な有意差はなかった。つまり、トリモダリティにおけるホルモン療法は、原則、6ヶ月で充分ということだ。)
この Yorozu Aらの2023年の論文が意味することは重大だ。
なぜなら、全摘や外照射(IMRT)の治療成績は、トリモダリティの『高リスク・9年後の非再発率は90%』という治療成績には、到底、及ばないからだ。この事実は、トリモダリティがいかに優秀な治療法であるか、証明されたと言っていい。
つまり、高リスクの治療は、トリモダリティが最適ということだ。
<<<まとめ>>>
以上、{1}~{3}をまとめると、EBM および 副作用などを総合的に考慮した結論は、『低リスク~中間リスク(+ 一部の高リスク)の治療は、小線源単独、または、「小線源+外照射」、高リスクは、トリモダリティが最適』ということだ。
なお、中間リスクまでなら、粒子線治療やSBRTも賢い選択だと思う。
ただし、ホルモン療法を併用すると、(その期間にもよるが、そして、個人差もあるが)、その副作用はとても強いので(後述)、慎重な検討が必要だ。
小線源単独 および 外照射併用小線源の場合は、ホルモン療法をしないので、治療後のQOLは、非常に高い。
副作用が小さいことは重要だ。
体験したら、わかる。
また、PSAが10未満で、GSが3+3以下の低リスクなら、将来、GSが上がることはまれなので、つまり、一生、がんと共存できる可能性が高いので、監視療法をする(治療をしない)のも賢い選択だ。
体内にがんがあるからといって、怖がる必要はまったくない。
前述したように、今や世界的に、「甲状腺乳頭がんや腎臓がん、そして、乳がん」で共存できる場合は、監視療法をすることがトレンドになっている。
「完治をめざすのなら、切り取ってしまうのが一番!」(全摘が一番!)と思い込んでいる人は多いが(泌尿器科医だけでなく、他科の医師にも多いが)、しかし、限局性がんであっても、全摘は、お勧めしない。
なぜなら、低リスクなら、治療する必要がない場合が多いし(ただし、病理医によるGSの判定が間違っていないことが前提)、高リスクなら、再発する危険が高すぎるからだ。また、限局性の中間リスクでも、全摘をすると、10年後には半数近くが再発するからだ。
なお、本ブログの結論は、誰でも、論文から導き出せるものだ。
「チビ太が出した結論」というよりも、引用したこれらの論文が出した結論だ。
このことは、重大だ。
なぜなら、本ブログの結論こそが、科学的根拠(論文)に基づいた医療(Evidence-Based Medicine)だからだ。
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註:しかし、高リスク患者がトリモダリティを希望しても、担当医に「低リスクの人にしか、小線源治療はできない」と否定されることがある。
私も言われた。
なぜなら、私の前医(国立病院)がトリモダリティという言葉を知らなかったからだ。高リスクにこそトリモダリティが必要なのに、EBMをしていないとは、こういうことだ。そして、不勉強すぎる!
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註:小線源治療のアドバンテージとディスアドバンテージについて
小線源治療(LDR)には、次の8つ(+1)のアドバンテージがある。
1つ目は、画像的には限局性がんであっても、私のように、生検の陽性率が59%もあり、かつ、GS9という高リスク患者は、皮膜外浸潤している可能性が高いが、小線源治療なら再発防止対策ができる、というアドバンテージだ。
全摘の場合は、前述したように、もし、画像に映らないような微小な皮膜外浸潤があると、再発してしまう危険がある。だが、その点、小線源なら、皮膜の内側ギリギリにシ-ドを留置することで、皮膜外に浸潤したがん細胞を死滅させることができる。
精嚢も同様に、精嚢内へシ-ドを留置することで、再発防止対策ができる。
私も岡本医師にそのように留置してもらった。
(ただし、これらの留置は、高度な技術を要するので、どの医師でもできるわけではない。)
要するに、「画像的にはcT2cだったが、実際にはpT3bだった」ということが少なからずあるが、そういう場合でも、小線源治療なら安心、すなわち、対応可能(根治可能)ということだ。
このアドバンテージは重要だ。
2つ目は、小線源治療は、「高線量でも、重篤な副作用なく照射できる」という大きなアドバンテージだ。
重篤な副作用が出ないからこそ、これだけの高線量を照射できるのだが、(前立腺がんは、放射線で死滅しにくいがんではあることは冒頭で述べた通りだが、しかし、だからといって)、「放射線量は、高ければ高いほど良い」というわけではない。
至適線量というものがある。
すなわち、「それ以上、線量を上げても、副作用が強くなるだけで、治療成績は向上しない」、そして、「これ以上、線量を下げたら、がんは死滅しなくなる(再発する)」という線量だ。
それが、おおよそ、低リスクはBED169Gy~191Gy、中間リスクはBED200Gy~220Gy、高リスクはBED220Gy~235Gyだ。
前立腺がんは、線量依存なので、つまり、それぞれの患者に必要な線量(至適線量)を照射すれば、すべてのがん細胞を死滅させることができる。
その点、外照射では、「この患者には、BED230Gyを照射したい」と思っても、前立腺の周辺部へも強い放射線が当たってしまうため、SBRTでも、BED200Gyが限界となる。
3つ目のアドバンテージは、小線源は、安全&確実に照射できることだ。
前立腺は、動きやすい臓器だ。直腸にガス(おなら)があるだけで、1cmくらい移動する。
それゆえ、外照射の場合、位置決めがむずかしい。
しかも、せっかく位置決めができても、照射中に腸のぜんどう運動で、前立腺の形が変化したり(ねじれたり)、移動したりする。そうなると、前立腺への線量が不足したり、前立腺以外の臓器に照射されたりして、思わぬ副作用が出てしまう。
だが、その点、小線源なら、前立腺がどんなに動いても、埋め込まれたシ-ドも一緒に動くので、安全(他の臓器が照射されない、つまり、副作用が出ない)、かつ、確実に前立腺がんに照射できる。
これも重要なアドバンテージだ。
4つ目のアドバンテージは、小線源治療の副作用は、その多くが可逆的である、ということだ。
小線源治療は、全摘と比較すると、合併症(副作用)は、ケタ違いに小さいが(私の師匠・ichiさんは、副作用はなかったほどだ)、それに加えて、副作用は可逆的なので、治療前の状態に戻れることが多い。
この「副作用が可逆的」というのは重要なアドバンテージだ。
治療前から副作用の話をしてもピンとこないかもしれないが、治療が始まると、患者は、がんとの戦いだけでなく、副作用との戦いも始まるので、「副作用が小さい」「副作用が可逆的」というのは、重要なアドバンテージだ。
体験したら、わかる!
5つ目のアドバンテージは、患者の手術時のしんどさは、経会陰式生検とほぼ同じ、ということだ。生検より楽だったと証言する人も少なくない。私も楽に感じた。
だが、こういう重要なことも、市販の解説本には、いっさい書かれていない。
おかしなことだ。
6つ目は、入院(個室)は、2泊3日(1泊2日、3泊4日という病院もある)で済む、というアドバンテージだ。
付き添いも不要だ。
宇治病院の場合は、午後3時頃に入院して下剤を飲み(1日目)、次の日、手術をして(2日目)、退院は、3日目の午前9時半頃だ。入院してからは、絶食となるが(3日目の朝の食事は出る)、ブドウ糖の点滴をし続けるので、おなかがすくことはない。
7つ目は、退院したその日から、いつも通りの生活ができる、というアドバンテージだ。
手術の翌朝、午前9時半頃に退院し、荷物を持って病院から駅まで歩き、駅の階段の登り降りをして、新幹線や飛行機に乗って帰宅することなど、余裕で可能だ。私もした。会陰部の痛みはないので、クルマの運転もできる。私もした。病院から、そのまま出勤することも可能なくらいだ。
(ただし、0.5%の人に、前日の腰椎麻酔の副作用で頭痛が出る人がいる。これは経会陰式生検時の腰椎麻酔も同じだ。どちらも一週間以内に自然に治る。)
8つ目は、小線源治療をすると、放射線のせいで前立腺の細胞は繊維化していき、その大きさは治療前の約60%まで縮小するので、治療前に前立腺肥大症が原因で排尿障害が発生していた人は、治療後、改善する、というアドバンテージだ。
私も、治療前よりも、尿の出は良くなった。
ただし、「繊維化する」ということは、「前立腺としての機能を失う」ということなので、子どもを作ることは困難になる。
(高齢者にとっては、前立腺は、無くても問題ないので、全摘という治療が可能となる。)
外照射でも、前立腺が繊維化するので、子どもを作ることは困難になる。
全摘は、精管も切除するので、子どもを作ることは、完全に不可能となる。
要するに、前立腺がんの治療をしたら、どの治療法を選んでも、子どもを作ることはむずかしくなる、ということだ。
じつは、小線源は、外照射よりも、EDになりにくい。
これは、若い人には、9つ目のアドバンテージとなる。
海外の調査だが、EDになる割合は、外照射が6~84%なのに対して、小線源は、0~51%だ。
なお、(ディスアドバンテージというわけではないが)、もし、何らかの理由で、患者が小線源の手術日に病院に行けなくなった場合、病院側は、シ-ドを廃棄しなくてはならなくなるので、患者側がそのシ-ド代として数十万円を負担しなければならなくなる。この場合、保険適応されない。手術日まで、感染症や交通事故など、気を遣う必要がある。
また、小線源治療をした場合、バウンスなどがあるために、完治したのかどうかがわからないまま長い年月が経ってしまうことがあるが、最近、「治療後5年で、PSAが0.2以下」であれば、その後に再発することはまれなので、これを基準にして判定しよう、とする動きがある。
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さて、再発には、PSA再発(CTやMRIに映らないレベルの再発)と、臨床的再発(症状が出たり、CTやMRIに映るレベルの再発)があり、さらに、局所再発(前立腺、および、骨盤内のリンパ節からの再発)と、遠隔転移先(骨や肺、肝臓、そして骨盤外のリンパ節)からの再発とがある。
そして、転移する時期については、治療前と治療後とがある。
治療前とは、「治療前に、すでに微小な転移がおこっていた」という意味だ。
また、限局性がんと診断されていても、画像に映っていないだけで、すでに転移していることがある。
なぜなら、(CTやMRI、骨シンチで、がんが映っていなければ限局性と診断されるが)、CTの場合、リンパ節に微小転移がおきていても、(その大きさの平均値は1.8mmだが)、約8.0mm以上ないと映らないからだ。
そして、一般論だが、最近、「がんが発生した頃(初期)でも、全員ではないが(高リスクに多いが)、すでに転移が始まっている」ことがわかってきた。これまでは、「がんは、大きくなってから転移する」と考えられてきたが、必ずしもそうではない、ということだ。
たとえば、私のように、陽性率が高く、かつ、GS9という高リスク患者においては、数%~二十数%の人が、治療前にすでに、リンパ節 and/or 骨に微小転移している、というデ-タがある。
しかも、複雑なことに、転移先ですぐに増殖を始めることもあるが、休眠癌(Dormant Cancer)となって、何年も再発の機会をうかがっていることもある。どうして転移先で休眠するのか、そして、なにをきっかけに眠りから覚めるのかなど、詳細なメカニズムはわかっていない。
なお、DWIBS または、PSMA-PET/CTを使えば、3mm以上の転移であれば、見つけることができる。治療前に発見できれば、放射線での対応が可能だ。
一方、治療後の転移とは、局所制御が完璧でなかったために、治療後に前立腺から骨や骨盤外のリンパ節へと遠隔転移することだ。この場合、原発巣(前立腺)と転移先の両方から再発する。
さて、前立腺がんは、冒頭でも述べたように、再発すると、根治はむずかしくなる。
たとえば、全摘をしてPSA再発した場合は、救済放射線治療が可能だが、(かつて前立腺があった場所に照射するのだが)、放射線による合併症(排尿障害や直腸出血など)が発生しやすくなる上、10年後には、64%の人が再々発する。
放射線外照射をしてPSA再発した場合は、救済放射線治療をすることはできない。前立腺への照射は、基本、一生に一度しかできない。
なぜなら、最初の放射線治療で前立腺の周辺部がダメ-ジを受けているため、再度、照射した場合、副作用がひどくなりすぎるからだ。
救済全摘をすることは可能だが、血管や癒着に邪魔されたり、直腸に穴をあけてしまう危険があるため、むずかしい。たとえ、運良く全摘できたとしても、深刻な合併症が出やすくなるため、あまり実施されていない。アメリカのデ-タでは、救済全摘の5年後は、31%~45%の人が再々発する。
救済的小線源治療をすることも可能だが、こちらもあまり実施されていない。
小線源治療でも再発することがある。
その理由は、小線源治療に慣れていない医師は、線量を上げられないから、そして、皮膜外浸潤や精嚢浸潤の再発防止対策ができないからだ。
もし、小線源治療後にPSA再発した場合は、救済全摘や救済的小線源治療をすることは可能だが、あまり実施されていない。
以上、(繰り返しになるが)、再度まとめると、再発を避けるチャンスは一生に一度しかないので、つまり、初回の治療で再発を避けるしかないので、『中間リスクまでなら、小線源単独、または、「小線源+外照射」、高リスクは、トリモダリティ』というのが本ブログの結論だ。
もし、PSA値が10以下で、かつ、GSが3+3以下の低リスクなら、監視療法がいいと思う(ただし、病院によっては、数年おきに針生検をすることがあるので、そういう場合は、「腕のいい病院で、小線源単独治療を1回」したほうが楽かもしれない)。
また、中間リスクなら、SBRTや粒子線治療をするのもいいと思う。
ただし、(繰り返すが)、ホルモン療法を併用する場合は、その副作用は強烈なので(ただし、個人差あり)、そのことを念頭において決める必要がある。
治療の決定権はあなたにあるので、医師から、「2週間以内に」となどと言われても、気にしなくていい。
GS9以上の高リスクでもない限り、返事は、3ヶ月くらい遅れてもだいじょうぶ。
もし、セカンドオピニオンに行く場合は、放射線科にいく、という手もある。同じ病院内でも、泌尿器科と放射線科とで連携がとれていないことが多い上に、放射線科医の見解は、泌尿器科医と違うことがあるからだ。
あるいは、放射線治療を得意とする病院にいく、という方法もある。地方には少ないが、HPを見れば、判別がつくと思う。医学物理士がいるような病院だ。
もし、泌尿器科医にセカンドオピニオンを聞きに行く場合は、主治医と違う大学を卒業した医師のところにいくのがいいと思う。なぜなら、多くの医師は、科学者というよりは技術者で、かつ、従順な人が多いため、同じ大学出身者だと主治医と同じ治療法を推薦することが多いからだ。
