再び雨のガザ(昨日の取材) | ジャーナリスト藤原亮司のブログ

再び雨のガザ(昨日の取材)

昨夜、ブログを書いていたものの、ネットの状態が悪くて繋がらなかったので、1日遅れで掲載。



昨夜から降り始めた雨が朝になっても残り、一旦晴れたものの、また激しい雨に。

京は朝から何度か通ったベイトラヒアの村を再訪、午後からはまたファウジーを訪ねてザイトゥーンへ。土の道と掘り返された家の跡や畑の跡がぬかるみ、ガザ市の街中のアスファルトの道路も、川のように水が流れている。


雨と、水煙草とチャイと、土の匂いが混ざっている。

雨宿りに招かれた、壊れた家のブロックを積み上げ、屋根代わりにトタンを乗せた掘っ立て小屋で、ベドウィンのおじさんにふるまってもらった、ベドウィン自慢の強い紅茶。久しぶりに冷え込んだ気温と、雨に濡れた寒さでブルブルしながら、砂糖をたっぷり入れた甘くて強い紅茶を飲み、カメラを乾かす。


雨が小降りになり、晴れ間が出てきたとき、向こうからファウジーが走ってくる。

「フゥ~ジ~~!」とはにかみながらおれの名前を叫んで近づいてくる足元に、水溜りを踏んだしずくが飛ぶ。サンダル履きの裸足についた、黄色い泥と水。顔を合わせると恥ずかしそうに、「やっぱりまだ学校に入ってないんだよ」。

「いいよいいよ、行きたくなれば行けばいい」


壊れた家の裏にある、ドンキー小屋に案内し、「こいつでお父さんと海まで釣りに行ったり、畑に行ったんだよね」と話す。

「名前はないのか?」と聞くと、「ドンキーはドンキーだよ」と言う。

横で聞いていたサミールが、「じゃあこのドンキーの名前をフジ(フジワラ)にしたら?」と言うと、「ダメだって、ドンキーは働かないときはムチでバシバシ叩くからフジなんて名前付けられないよ」。

ファウジーに「乗ってみる?」と聞かれ、しばらくドンキーライディング。

「こいつ、今とても幸せなんだよ」とファウジーは言う。崩れた家の瓦礫に挟まってぺしゃんこになっている荷車を指差して、「だって当分は仕事しなくていいからね」と笑う。


ファウジーと、怪我をして生き残ったドンキーが、兄弟のように仲良くポクポクと瓦礫と土のザイトゥーンを歩き回る。

ファウジーはドンキーと二人で、亡くなったお父さんが守っていた畑に収穫期を過ぎたレタスを取りに、ぬかるんだ道をポクポク、ポクポクと進んでいった。