ハンユニス
ガザ地区中南部のハンユニスエリア東部にある、クザァという場所に取材に行く。
過去にもあまり取り上げられていない場所だが、イスラエル軍がハンユニス市内に侵攻していくときのルート上にあり、今回も地上軍に1週間以上占拠され、家屋破壊や農場の破壊があった。
この場所を訪れるのは8年前のインティファーダのころ以来。
点在している家屋と、それに付随する農場はことごとく破壊されている。ただ、農場の敷地が広いため、あまり写真にはならないために、記録としてビデオを中心に撮る。
クザァに住む人も、インティファーダの頃から度々侵攻、攻撃を受けているが、今回のような「動くものは何でも撃つ」的な攻撃、かつ集中的な密度の濃い攻撃は経験したことがないという。
クザァに限らないことだが、この侵攻でイスラエル軍はヒットアンドアウェイではなく、やれるだけのことをやって帰って行った、という感じの攻撃のやり方だった。
「じゃあなんのために?」という疑問が湧くが、選挙の票集めのためという推測は外れていないし大きな要素だと思うが、それ以外に「何か」理由がある気がしてならない。
多用しすぎる白燐弾、ハマスを本気で叩きにかかったとは思えない中途半端な侵攻、ガザやハンユニス周辺を取り囲むような侵攻のやりかた、攻撃の規模のわりには少なすぎる、投入された地上部隊の兵員数…。
これは何かの演習のつもりだったのか。
または、投入された地上部隊(戦車兵など専門兵種を除く)の兵士の出身地や属性を調べれば、何かが見えてきそうな気がする。
クザァのあと、ラファの国境へ。
国境付近では、昨年の夏よりもさらにトンネル業者が大繁盛。
80パーセントをイスラエルはこの侵攻中に破壊したといい、それが実際に破壊されていたのかどうかは分からないが、それにしても至るところにトンネルを囲っているビニールテントが乱立している。
この逞しさ、厚かましさが小気味いい。
人は日々生きないといけないし、食うためにはどんなにパニッシュメントがあろうと商売は繁盛する。
これぞ人が生きる姿だと思う。
ただまあ、トンネル商売人は金にうるさいし、ギャアギャア寄ってくるし、車を降りて少し歩くとかなりうっとうしかったので早々に立ち去る。
3月7日に大阪の枚方市で急遽講演が決まりそうなので、当初の予定より早く帰国することになりそう。