ガザの雨 | ジャーナリスト藤原亮司のブログ

ガザの雨

今日は朝から、父親と弟を殺された少年に会うためにザイトゥーン地区を再訪。

彼がいないかと思ってそのへんの人たちに聞いて回ると、壊れた家の向こうの瓦礫の山から、彼が現れた。

一人で何してたのと聞くと、「一人でお父さんや弟のことを思い出していたかったんだ」と言う。


写真も撮らず、ビデオもほとんど回さずに座って彼と話す。

「毎年秋から冬にかけて、お父さんと釣りに行くのが楽しみだったよ」と言う。「この時期の魚はフライにしたり焼いたりして食べるとすごく美味しいんだ」。

いつも父親と少年について回る4歳の弟が殺されたことを、彼は今も夢の中のようだと話す。「目が覚めないまま今も悪い夢を見続けているみたいだ」と。

「絵を描いたり、釣りをするのが趣味だったよ」と話す。彼の趣味はそのまま、彼の亡くなった父親の趣味と同じだ。彼は父親の描いた絵と、埋もれて取り出せなくなった釣り道具を見せるために、私たちを連れて瓦礫の中に入っていった。


午後からは、ガザには珍しい激しい風と雨。

テントや瓦礫のバラックで暮らす被害者たちの上に、激しい雨と砂が降り注いでいる。

干されたままの洗濯物は濡れ、道はぬかるみ、壊れた家に残された家財道具や子供たちの教科書は濡れてもう使えない。

半日たった今も、ガザには雨が降り続けている。